ヨーロッパ留学 ー 安全で充実した生活を送るために
海外留学といっても、数週間の短期から、数年にわたるものもあるでしょう。
また、目的も将来の仕事のために英語を上達させたい、といったものから、ヨーロッパ内の多くの国々を旅行したい等、さまざまでしょう。
ヨーロッパと一口にいっても、言葉も違えば国の法律や交通システム、病院システム等も違いますが、基本的には、文化の土台は共通点はたくさんあり、どう安全に過ごすか、適切なコミュニケーションのあり方や大人として期待されている言動はヨーロッパ内では似ています。
留学の目的や期間に関わらず、安全であることは充実した留学生活に欠かせませんが、安全性を守ることについては、日本で過ごしているときとは考え方と習慣・行動を変える必要があります。
基本は、自分の言動に責任をもち、自分の身はできる限り自分で守り、犯罪等の個人でコントロールしようがないことについては警察や救急等のサポートを頼むこととなります。
「自分の身を守る」というのも、日本とヨーロッパではかなりコンセプトが違うのですが、基本的には自分の持ち物は常に自分の目に見えて手が届くところにある状態を保ち、家にいるときもきちんと施錠し、窓を開けっぱなしにしたりせず、外から簡単に見える場所に価値のあるもの(ラップトップコンピューターやブランド品等)を置かない、車を駐車するときは貴重品や現地人ではないということを示すようなものはすべてトランクルームにいれる等です。また、いかにもブランド品と分かる持ち物は持たない(友人が車で家まで迎えにきてくれて高級レストランに直行し、帰りも友人が車で送ってくれるという場合等を除いて)、ブランド店での買い物したときもスーパーのバッグ等に入れ替えて外から分からないようにする等の工夫も大切です。友人たちと夜出かけるときは、グループで出かけ、一人になる状態を作らず、帰りも友人の家にみんなで一緒に帰って泊まる、というほうが安全です。知らない人から勧められたドリンクは飲まない、飲みかけのドリンクを残して席を外さない(友達に飲みかけのドリンクを預けていくことはあり)も基本です。どうしても、一人で帰らないといけないときは、タクシーであればライセンスのある認可タクシーを使い、かつタクシーに乗ってから家に着くまで友人に定期的に電話をかけてもらうのはヨーロピアン間ではよくある安全確保のやり方です。酔っていたり体調が悪い時は、一人にならないことが大切です。友人に一緒に家まで来てもらうか友人の家に泊まり、体調がよくなってから、明るい時間に自宅に戻りましょう。
また、海外にいるということは、以下の点からどうしても弱い立場におかれがちです。
これらを理解して、備えられることを備えておけば恐れる必要はありません。
― 現地のシステム(法律、病院や警察の仕組、交通、ガスや電気の基本的なインフラストラクチャーの仕組等)を十分に知らないこと
― 現地に現地の友人や家族といった強く広いネットワークが少ない/ないこと
― 現地語や現地の文化が十分に分からないこと
― 現地でのさまざまな情報へのアクセスが限られていること(言語の問題/どこで正しい情報が得られるかが分からない等)
― 経済力が弱いこと
― 年齢が若くさまざまな経験が少ないこと
― 移民・有色人種であること、等
残念ながら、海外にいる現地日本人による日本人留学生への加害も耳にします。
「日本」のパスポートを持っていて「日本語を話す」ということと、その人の信頼度や人間性の良さとは何の関連性もないことは心に留めておく必要があります。当たり前ですが、特定の国籍の人々の遺伝子に「正直・誠実」ということが組み込まれているわけではありません。
大事なのは、基本的な知識を確保し、かつ何か予期しないことが起きたときの対処法を前もって知っておくことです。
これは、自分を守るだけでなく、周りの人々を助けることにもなります。
まず本質的な部分として、理解しておく必要があるのは、ヨーロッパでは大人である(18歳以上くらい)ということは、以下を期待されています。
ー 自分で考えることができる
ー 自分の良心に従う
ー 良い判断を行使する
ー 自分の言動に責任を持つ
ー 常に物事がどのように、どうして起こっているのかに興味を持ち続ける(社会問題等)
日本を含むアジア全般で育つと、権威(親、先生、警官、医師や弁護士、年上の人々、会社の上司や社長、いわゆる大企業に勤めている人々)に対して、盲目的に従う・信じるように無意識にたたきこまれています。これは、知らない国では危険を招く可能性があるし、コミュニケーションにおいて誤解を招く可能性もあります。
また、日本で育つと気づかないと思いますが、日本を含むアジア全般は非常にヒエラルキーの強い文化で、自分や周りの人を常にハイラルキーのピラミッドに配置し、自分や相手に上下関係やラベルをつけますが、ヨーロッパでは「すべての人々は対等で同じ権利をもっている」と見なされており、社会的な地位や性別、年齢等に関わらず、誰に対しても基本的人権、個人の尊厳は尊重されます。
ハイラルキーに関連して、ヨーロッパ全般では、日本のように男尊女卑が強くないか、ほぼ存在しないので、男性の顔を立てないいけないという考え方や、男性の機嫌を損ねてはいけない、女性はいつもスマイルしていないといけない、Noといってはいけない・いつもYesと言わなければならない等の考え方は存在しません。国によって多少違いはありますが、基本的に人々は対等だと見なされており、会社の上司ともファーストネームで呼び合い、かなりカジュアルに話します。
日本だけで育つと、言葉で説明する、言葉で違う意見や希望をや要望を表現し聞き、お互いの折り合えるところで折り合うという訓練に欠けていることがよく観察されます。日本だと、「No」と明確に言わずに、話題を変えたりして相手が察するのに頼る、という方法は普通だと思いますが、「言わなくても分かってほしい」ということは、ヨーロッパでは機能しません。大人であるということは、言葉できちんと自分の考えを表明できる言語能力が十分に発達しているということなので、きちんと言葉で説明することが要求されます。言葉で自分の考えを説明しないのは、未成熟であり無責任(自分のことなのに他の人々に判断を委ねようとしている)とみられる可能性もあり、尊敬されません。また、「No」と言ったことにより、自分のBeingを批判されたと勘違いして嫌がらせをされるようなこともまずありません。逆に日本でのみ育った場合、「No」と言われ慣れておらず、相手が自分の勧めた食べ物を断ったというような小さなことで、自分のBeingを否定された、或いは自分の尊厳を傷つけられたという極端な捉え方をする例もかなり見ました。お互いの意見や要望を言うこと・聞くことは大事なことだと見なされているので、自分がどうしたのかを明瞭に言えること、相手の考えや意向を尊重することも大切です。
ただ、頭で分かっていることが行動に結びつくまでには訓練や時間が必要です。
ワークショップ、或いはOne on Oneで実践を通して学びます。
個人相談:50分 50ポンド
学校毎: ワークショップは最大8人。料金については、内容によって違ってきますので、下記の相談フォームよりお問合せください。シンプルなマテリアル抜きのワークショップであれば、50分 200ポンドより。

About Me
イギリス在住20年以上。
日本の国立大学の美学美術史卒業。
元 ITエンジニア(日本・イギリスで10年以上ーイギリスで労働許可証を取得)/ジュエリーデザイナー / リクルートメントプロフェッショナル (イギリスで8年以上)
すべての人はギフト(個人個人のよいところー誰もが違う)をもっていて、それを見つけ、伸ばし活かして、みんなで共に希望のある、信じられる未来をつくっていくことは可能だと信じています。出生や出身大学、年齢、国籍ということにとらわれず、Possibilities(可能性)を基本に、一人一人と社会にとってポジティブな未来をつくる一歩を踏み出すお手伝いをします。
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ヨーロッパで働くことや、人権や社会正義について。
Reference
イギリスで困ったときに。転ばぬ先の杖。プラス、転んだ時の対処法