Reference:働くことについて
イギリスで困ったときに。転ばぬ先の杖。プラス、転んだ時の対処法
イギリスで困ったときに。転ばぬ先の杖。プラス、転んだ時の対処法
2025年1月時点で、分かる範囲で、できる限り正しい情報を掲載しています。情報は日々変わるので、最新の情報を調べて、ここに記載しているものは参照として使い、自分で判断するようにしてください。
【Online Immigration Status(eVisa)について】
多くのBRP(Biometric Residents Permits)は、2024年12月31日が有効期限となっています。
2025年1月1日からは、システム上でチェックできるようになる予定なのですが、多くの人がHomeofficeの指定したシステム上に自分で登録手続きを行う必要があります。
ここに2024年5月20日時点での公式な情報を記載しています。
私自身、登録手続きを終えましたが、BRPとシステムをリンクする画面が出てくるはずがでてこない、という現象がありました。よく知られている現象のようで(だったら修正可能だとは思うのですが...)、同じ状況になった人がHome officeに電話して教えてもらった方法をシェアしているサイトがあり、解決しました。
早めに行動しておけば、気持ちに余裕もあるので早めに片づけておくことをお勧めします。
【2024年4月1日から変更になるMinimum Wage(ミニマム・ウェージ/最低賃金)】
2024年4月1日からMinimum Wage(ミニマム・ウェージ/最低賃金)が21歳か21歳以上だと11.44パウンズにあがります。
イギリス政府公式サイトのここより、確認できます。
イギリス全域に適用されます。
最低賃金は、毎年一度見直しが行われます。
【2024年4月6日から施行される予定の法律】
情報は、イギリスの人事セクターのプロフェッショナル組織、CIPD(the Chartered Institute of Personnel and Developmen)のサイトここより確認できます。
- Employments Rights(Flexible Working) Act 2023
働く初日からFlexible Working Hours(フレキシブル・ワーキング・アワーズ)のリクエストが可能、12か月内に2回リクエストを行える、雇用者はリクエストを断る場合は必ず法律に基づいた理由が必要等と、改善されました。詳細は、ここより。 - Carer's Laeve Act 2023
病気や心身障害のある家族や子供の面倒を見る義務がある人が、働きやすくするための法律です。 - Protection from Redundancy (Pregnancy and Family Leave) Act 2023
子供が生まれてから18か月間は、Redundancy(リダンダンシー/余剰人員削減)から守られる法律です。男性・女性両方に適用され、Maternity leave, Paternity leave, (Shared)Parental leaveすべてに該当します。ただ、条件をきちんと確認しておく必要があります。
残念ながら、海外の日系企業で、新しく加わった日本人が現地の労働法を知らないことを利用して、労働者の権利を無視している場合もあります。
必ずしも契約書がないといけないわけではないのですが、まともな会社であれば、契約書があります。
あとから訴えることも不可能ではないですが、労力もコストも精神的な負担も大きくかかり、裁判に勝てるとも限りません。怪しげな会社とは関わらないのが一番です。
何らかの事情で口約束のみだった場合、メールで、「いつ、どこで、誰と、何を合意したのか(給料や時給、休み時間、働く期間・休日、残業代等)」を記載したメールを雇用主に送っておきましょう。これは、後日証拠となるし、このメールに対して、そんなことは合意していない、というのであれば、少なくとも働く条件の確認→紙面(契約書)という流れになるでしょう。もし、ここでの条件が最初と違ってあなたにとって納得できないと思えば、給料が払われない等のトラブルに発展する前に、去ることができます。
これも、日本人間で起こります。「日本人同士だからお互いを信用するのは当たり前。信用してるなら(契約書を)読む必要ないでしょ。すぐサインして」がよく使われるセリフです。
イギリスでビジネスを行っている限り、イギリスの法律が必ず適用されます。こういった人々の虚言を信じこまされないよう、注意しましょう。
こういった人々は、日本人以外をだますことはまずありません。
なぜなら、日本人以外のヨーロピアンだと確実に公式な場に訴えを起こし正義が行われるようにします。
また、立場が上だから/社会的な権威がある、という理由で人々を盲目的に信じる慣習はないからです。100パーセント正しい人は存在しないのは当然で、健康なレベルでの猜疑心は必要です。
その人は、違法であることを押し付けてくる上司と恋愛関係にあるかもしれないし、その人自身も会社での自分のポジションを守るために、違法だと気づいた人を黙らせようとするかもしれません。社内の利害関係や社内政治に影響されない、他の会社に勤めているイギリス人の友人やヨーロピアンの友人に相談するか、公式な相談機関(ACASやCitizen Advice)に聞くのが確実でしょう。
- サービス残業という概念は存在しません。違法なので、残業支払いがなければ雇用主と直接話し、それでも払わない場合は、ACASかCitizen Adviceまで相談しましょう。
- 日本のような正規・非正規といった区別はありません。直接雇用でフルタイム/パートタイム/期間限定、間接雇用でフルタイム/パートタイム/期間限定(リクルートメントエージェンシーを通す=リクルートメントエージェンシーの雇用者として扱われる)、フリーランス(自営業者)でのプロジェクト毎での雇用(直接・間接雇用と違い自営業なのでNational Insurance等の税金は自分で処理ー通常はエンジニアやファイナンスの専門家で非常に高いレートでの賃金が普通)
厳密にいえば、三種類のステータスがあり、Employee/Worker/Self-employmentとなります。詳細はここより。 - 同一職務、同一賃金は厳しく守られています。(例/アカウント職ーフルタイムもパートタイムも時間計算した賃金は同じ)
- 同一職務、同一賃金はホリデーにも適用される。(例/同一職務でフルタイムは週35時間働き、30日ホリデー。パートタイムが週17.5時間働く場合は、勤務時間がフルタイムの50パーセントなので、ホリデーも半分の15日)
- 一定の条件を満たしていれば、会社は自動的にWorkplace pensions (年金)に従業員をEnrolするよう法律で義務付けられています。条件は、イギリス政府のWebsiteに記載されています。会社に雇用されていて年間給料が10,000パウンドで22歳以上等の条件を満たしていればWorkplace pensionsに自動的に入り、自分の給料から引き落としとなり、例えば自分が40ポンド入れると、会社が30ポンド、政府が10ポンドと、合計80ポンドが年金ポットへと入ります。雇用主が勝手にこのWorkplace pensionsから雇用者を抜けさせたり、心理的にプレッシャーをかけてそう仕向けるのは違法です。
- 仕事を始めるにあたっては、通常、契約書が交わされます。その上に、Staff Handbookがある場合もあります。どちらもよく読みこんだうえで署名しましょう。「日本人同士だから信用できるでしょ」と契約書なしで口約束だけで終わらそうとするのは、トラブルの元です。日本人が日本人をだますのも残念ながら起こっています。彼らは日本人だけをだまします。なぜなら、日本人は法律的に絶対に訴えないとたかをくくっているからです。必ず契約書を要求し、「日本人なのに疑うのか!」とおどしてくる場合は、立ち去りましょう。さまざまな理由で、どうしても契約書なしでその仕事を受ける場合は、口頭で交わした契約内容をメールで雇用主に送っておきましょう。(例/〇年〇月〇日に〇〇(場所)にて、〇〇(雇用主の名前)と以下の就業内容を確約しました。就業時間 〇~〇、月~金、年間休日 〇日、給料 〇ポンド/年、残業代 通常のProrata(時間給:年間給料と年間に働く日数から割り出し)の1.5倍、Probation period(試用期間)ː 1か月(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日まで)、就業場所:(住所)等)
- 賃金については、日系企業は、往々にして、ヨーロピアン企業での同等の仕事の賃金と比べて30~40パーセント低い場合が多いです。結局は、日本式の年功序列に倣ったところが多く、10年以上勤めていれば、実際に行っている業務を鑑みると良い給料となる場合もあります。英語にあまり自信がなかったとしても、イギリスには移民も多いし、面接に落ちても失うものはないので、ヨーロピアン企業にどんどんアプライしましょう。
- P45とP60についてー イギリスで合法的に働いている場合、仕事を辞める際にP45と呼ばれる、Tax Year(イギリスの税金は前年の4月6日から4月5日の区切り)にどれだけの税金を払ったかが記載されいている用紙を、雇用主が雇用者に渡す法律的な義務があります。このP45の一部は、同じTax Year内に次の仕事についた際に新たな雇用主に提出する必要があるので、きちんと保管しておきましょう。P60は、在職中のTax Yearに、給料に対してどれだけの税金を払ったかを記載しているもので、雇用主が雇用者に渡す法律的義務があります。P45もP60も発行して雇用者に渡すのは、雇用主が法律で義務付けられていることです。当然、P45とP60の発行について、支払いが生じることはありません。雇用主がこれらをさまざまな理由をつけて渡そうとしない場合は、違法となるので、Citizen Adviceに相談しましょう。HMRC(税務署)へ直接連絡することもできます。基本的には、P45がない場合でも、仮のTax Codeを発行して新しい雇用先で給料を支払うことも可能なようですが、場合によっては状況が複雑になる可能性もあります。
- Reference(リファレンス)ー 通常、職を得る際に2通のReference(理想的には、以前の職場のHRや上司の書いた正式なレター:会社のHeaderが入っているもの)か、以前の会社での働きぶりや人柄を知っていて、雇用者から連絡を取っても良いと言われた人の連絡先(名前、会社名、会社でのポジション、メール、電話)が必要です。以前勤めていた企業の上司が問題のある人であった場合であれば、同僚でも大丈夫です。また、ある程度大きな企業となると、Referenceは、その企業で働いていた期間を証明するシンプルなレターのみをHRが発行するという決まりにしているところもあります。ギャップがあったり、以前働いていた企業が閉鎖・倒産して連絡の取りようがない場合は、休日や空いた時間にVolunteer(ヴォランティアー)をして、そこでReferenceをもらうことも一つのやり方です。可能であれば、辞める際も、一緒に働いていた人々とはある程度いい関係を続けられるようにしておきましょう。
- 一般的には、会社からの交通費の支給や家賃の負担等はありません。
- Minimum Wage (最低賃金) ※毎年4月に見直し。会社の規模には関係ありません。2024年4月からは、21歳以上だと、最低賃金は11.44ポンド
https://www.gov.uk/government/publications/minimum-wage-rates-for-2024 - 最低賃金が払われているのか疑わしい場合 ー 下記のイギリス政府公式サイトで質問に答えていくと、最低賃金が支払われているかどうか診断できま す。最低賃金が支払われていない場合の公式相談先(ACAS)についても記載されています。
https://www.gov.uk/am-i-getting-minimum-wage - Rest breaks at work (仕事での休憩時間について)
https://www.gov.uk/rest-breaks-work - Contract (コントラクト/契約書について)
https://www.gov.uk/employment-contracts-and-conditions
Umbrella Companyは比較的新しい仕組で、Umbrella companyの定義や決まりも明確ではなく、リクルートメントエージェンシーで話をして、雇用契約はUmbrella companyとなった場合(これ自体は問題ではなく、すべてのUmbrella companyが悪いというわけでもありません)、ホリデーを取得できなかったり(違法)、ホリデーを取らない場合はHoliday-Payといって時給に換算されたものが支払われるはずなのですが、支払われなかったりします。
また、給料がさまざまな名目でUmbrella companyに(違法で)さまざまな名目でぬかれているケースもあるそうです。以下に詳細があります。
外国に来たばかりのときに心細いのも、弱い立場にあることも当然で何も恥じることはないのですが、日本語を話す人を誰でも信じたい、という状況にあるということを自覚しておく必要があります。
イギリスの基本的な仕事に関する法律を自分で理解し、自分で判断することが大切です。
数十年イギリスに住んでいても、家族も日本人か日本語で過ごし、会社も日本人だらけで、日本語のみで働き・暮らし、イギリスの法律、慣習、ニュースも知らない人たちもたくさんいます。
レストラン等でいかにも流暢に英語を話しているように見えても、中学校程度の英語レベルがあれば、数か月イギリスに住んでいれば誰でもレストランでオーダーできる程度の英語は話せます。
その人は、もしかしたらあなたを善意でサポートしたいのかもしれませんが、間違ったアドバイスをしているかもしれないし、この国に来たばかりの弱い立場にいる日本人を標的に、相手を支配したい、という欲求を満たそうとする人々もいます。
正しい知識、どこで的確で正しい情報を得るかを知っていること、自分の状況を自覚していることは、自分の身を助けます。
About Me
イギリス在住20年以上。
日本の国立大学の美学美術史卒業。
元 ITエンジニア(日本・イギリスで10年以上ーイギリスで労働許可証を取得)/ジュエリーデザイナー / リクルートメントプロフェッショナル (イギリスで8年以上)
すべての人はギフト(個人個人のよいところー誰もが違う)をもっていて、それを見つけ、伸ばし活かして、みんなで共に希望のある、信じられる未来をつくっていくことは可能だと信じています。出生や出身大学、年齢、国籍ということにとらわれず、Possibilities(可能性)を基本に、一人一人と社会にとってポジティブな未来をつくる一歩を踏み出すお手伝いをします。
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