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Reference:働くことについて

イギリスで困ったときに。転ばぬ先の杖。プラス、転んだ時の対処法

2024年3月時点で、分かる範囲で、できる限り正しい情報を掲載しています。情報は日々変わるので、最新の情報を調べて、ここに記載しているものは参照として使い、自分で判断するようにしてください。

また、下記はThe United Kingdomの連合国4か国のうち、イギリスの情報となります。
ウェールズ、スコットランド、北アイルランドではそれぞれの国で決まりが違う場合もあるので、該当する公式な情報を確認してください。


【2024年4月1日から変更になるMinimum Wage(ミニマム・ウェージ/最低賃金)】

2024年4月1日からMinimum Wage(ミニマム・ウェージ/最低賃金)が21歳か21歳以上だと11.44パウンズにあがります。
イギリス政府公式サイトのここより、確認できます。
イギリス全域に適用されます。


【2024年4月6日から施行される予定の法律】
情報は、イギリスの人事セクターのプロフェッショナル組織、CIPD(the Chartered Institute of Personnel and Developmen)のサイトここより確認できます。

  • Employments Rights(Flexible Working) Act 2023
    働く初日からFlexible Working Hours(フレキシブル・ワーキング・アワーズ)のリクエストが可能、12か月内に2回リクエストを行える、雇用者はリクエストを断る場合は必ず法律に基づいた理由が必要等と、改善されました。詳細は、ここより。
  • Carer's Laeve Act 2023
    病気や心身障害のある家族や子供の面倒を見る義務がある人が、働きやすくするための法律です。
  • Protection from Redundancy (Pregnancy and Family Leave) Act 2023
    子供が生まれてから18か月間は、Redundancy(リダンダンシー/余剰人員削減)から守られる法律です。男性・女性両方に適用され、Maternity leave, Paternity leave, (Shared)Parental leaveすべてに該当します。ただ、条件をきちんと確認しておく必要があります。

【イギリスでの仕事についての基本情報】
イギリスでの、さまざまな法律や決まりに対しての、公式な情報は以下にあります。

英語だと臆するかもしれませんが、日本のお役所の非常に分かりづらく曖昧な文言ではなく、シンプルな英語で明確に書かれていることが大部分です。
自分の権利を守るためには、きちんと知識を身につける努力をする義務・必要があります。
問題が起こってストレスフルに感じる前に、一通り理解しておきましょう。

残念ながら、海外の日系企業で、新しく加わった日本人が現地の労働法を知らないことを利用して、労働者の権利を無視している場合もあります。

私が知っている限り、これは日本人間で起こるケースが大半です。
例えば、契約書に関しても、「日本人同士だからお互いを信用するのは当たり前。信用できないというなら、きみと仕事はできない」という脅しをかけ、その場では口約束で済ませ、約束した時給を払わないケースも聞きました。
必ずしも契約書がないといけないわけではないのですが、まともな会社であれば、契約書があります。あとから訴えることも不可能ではないですが、労力もコストも精神的な負担も大きくかかり、裁判に勝てるとも限りません。怪しげな会社とは関わらないのが一番です。
また、契約書を読む時間を与えずにSign(サイン/署名)することを強要するケースも聞いたし、実際に経験もしました。これも、日本人間で起こります。「日本人同士だからお互いを信用するのは当たり前。信用してるなら(契約書を)読む必要ないでしょ。すぐサインして」がよく使われるセリフです。
契約書を読み込んで理解することなしにサインしてはいけません
契約書の内容自体がイギリスの法律に違反していれば、それは無効です。
契約書を読む時間を与えないのは完全に間違っています。
礼儀正しく、契約書をきちんと読んでから、質問事項があれば質問して、契約書をきちんと理解した上でサインする旨を伝えましょう。
それで相手が怒鳴り始めたり脅すような言動をとるなら、その会社で働く価値があるのかどうか、考えたほうがいいでしょう。
また、日本でもイギリスでも同じですが、上司から違法と思われることを指示された場合は、その指示に従う義務はなく、また従ってはいけません。
明らかに違法であるのに、その指示に従った場合はあなたもComplicit(コンプリシット/共犯)だと見なされます。
日本では上司の指示は絶対に正しくて守るもの、と洗脳されているかもしれませんが、ヨーロッパ全般では、個人にはagency(エージェンシー/主体性・自分で考え感じる力)があると見なされ、「上司の指示に従ったから自分に罪はない」という言い訳は通用しません。あなたには、上司からの違法なこと・モラルに反する指示を拒否することが可能で、そうする必要があります。モラルに反すること、違法なことを指示されたときに、それに従わない/会社のしかるべきプロセスに従って報告する、というのがごく普通のプロセスです。もし、身体的・精神的な脅迫を行われたのであれば、警察に通報/ACASに連絡等、迷わず行動に移しましょう。
また、会社のStaff Handbookには、Compliance(コンプライアンス/法律・法令・ルール順守)についての事項があるはずです。前もってしっかりと読み込んでおきましょう。

よく見かける問題(休憩時間が取れない、残業代が支払われない等)については、以下に明確に、何が働く人の権利かが記載されています。
内容は変わることもあるので、最新情報を確認しましょう。
※2021年度の私の記事になりますが、このサイトの過去のBlogに、契約書・休憩時間・ホリデーについて。

法律違反があった場合に、どう対応するかは個人の状況にもよりますが、少なくとも、何が労働者の権利なのかは最低限知っておく必要があります。
日本人経営者や日本人マネージメントで、「日系企業だから/自分は日本人で特別だから、イギリスの法律は自分には適用されない(自分はイギリスの法律よりも上の存在)」と明確に述べている人々にもかなりの割合で出会いました。イギリスでビジネスを行っている限り、イギリスの法律が必ず適用されます。こういった人々の虚言を信じこまされないよう、注意しましょう。こういった人々は、日本人以外をだますことはまずありません。なぜなら、日本人以外のヨーロピアンだと確実に公式な場に訴えを起こし正義が行われるようにします。また、立場が上だから/社会的な権威がある、という理由で人々を盲目的に信じる慣習はないからです。100パーセント正しい人は存在しないのは当然で、健康なレベルでの猜疑心は必要です。
イギリスは、他のヨーロッパ諸国と比べて労働者の権利はずっと弱いのですが、それでも、Temp(テンプ)でもホリデーが保障されている等、日本よりもずっと労働者の権利が守られています。
判断がつきにくい場合は、上記のACAS或いはCitizen Adviceに相談してみるといいでしょう。
※残念ながら、社内の日本人への相談は、会社のパワーダイナミクス(権力関係等)をよく見た上で慎重に行う必要があります。その人は、違法であることを押し付けてくる上司と恋愛関係にあるかもしれないし、その人自身も会社での自分のポジションを守るために、違法だと気づいた人を黙らせようとするかもしれません。社内の利害関係や社内政治に影響されない、他の会社に勤めているイギリス人の友人やヨーロピアンの友人に相談するか、公式な相談機関(ACASCitizen Advice)に聞くのが確実でしょう。
  • サービス残業という概念は存在しません。違法なので、残業支払いがなければ雇用主と直接話し、それでも払わない場合は、ACASCitizen Adviceまで相談しましょう。
  • 日本のような正規・非正規といった区別はありません。直接雇用でフルタイム/パートタイム/期間限定、間接雇用でフルタイム/パートタイム/期間限定(リクルートメントエージェンシーを通す=リクルートメントエージェンシーの雇用者として扱われる)、フリーランス(自営業者)でのプロジェクト毎での雇用(直接・間接雇用と違い自営業なのでNational Insurance等の税金は自分で処理ー通常はエンジニアやファイナンスの専門家で非常に高いレートでの賃金が普通)
    厳密にいえば、三種類のステータスがあり、Employee/Worker/Self-employmentとなります。詳細はここより。
  • 同一職務、同一賃金は厳しく守られています。(例/アカウント職ーフルタイムもパートタイムも時間計算した賃金は同じ)
  • 同一職務、同一賃金はホリデーにも適用される。(例/同一職務でフルタイムは週35時間働き、30日ホリデー。パートタイムが週17.5時間働く場合は、勤務時間がフルタイムの50パーセントなので、ホリデーも半分の15日)
  • 一定の条件を満たしていれば、会社は自動的にWorkplace pensions (年金)に従業員をEnrolするよう法律で義務付けられています。条件は、イギリス政府のWebsiteに記載されています。会社に雇用されていて年間給料が10,000パウンドで22歳以上等の条件を満たしていればWorkplace pensionsに自動的に入り、自分の給料から引き落としとなり、例えば自分が40ポンド入れると、会社が30ポンド、政府が10ポンドと、合計80ポンドが年金ポットへと入ります。雇用主が勝手にこのWorkplace pensionsから雇用者を抜けさせたり、心理的にプレッシャーをかけてそう仕向けるのは違法です。
  • 仕事を始めるにあたっては、通常、契約書が交わされます。その上に、Staff Handbookがある場合もあります。どちらもよく読みこんだうえで署名しましょう。「日本人同士だから信用できるでしょ」と契約書なしで口約束だけで終わらそうとするのは、トラブルの元です。日本人が日本人をだますのも残念ながら起こっています。彼らは日本人だけをだまします。なぜなら、日本人は法律的に絶対に訴えないとたかをくくっているからです。必ず契約書を要求し、「日本人なのに疑うのか!」とおどしてくる場合は、立ち去りましょう。さまざまな理由で、どうしてもその仕事を受ける場合は、口頭で交わした契約内容をメールで雇用主に送っておきましょう。(例/〇年〇月〇日に(場所)にて、(雇用主の名前)と以下の就業内容を確約しました。就業時間 〇~〇、月~金、年間休日 〇日、給料 〇ポンド、残業代 通常のProrata(時間給:年間給料と年間に働く日数から割り出し)の1.5倍、Probation period(使用期間)ː 1か月(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日まで)、就業場所:(住所)等)
  • 賃金については、日系企業は、往々にして、ヨーロピアン企業での同等の仕事の賃金と比べて30~40パーセント低い場合が多いです。
    結局は、日本式の年功序列に倣ったところが多く、10年以上勤めていれば、実際に行っている業務を鑑みると良い給料となる場合もあります。
    英語にあまり自信がなかったとしても、イギリスには移民も多いし、面接に落ちても失うものはないので、ヨーロピアン企業にどんどんアプライしましょう。
  • P45とP60についてー イギリスで合法的に働いている場合、仕事を辞める際にP45と呼ばれる、Tax Year(イギリスの税金は前年の4月6日から4月5日の区切り)にどれだけの税金を払ったかが記載されいている用紙を、雇用主が雇用者に渡す法律的な義務があります。このP45の一部は、同じTax Year内に次の仕事についた際に新たな雇用主に提出する必要があるので、きちんと保管しておきましょう。P60は、在職中のTax Yearに、給料に対してどれだけの税金を払ったかを記載しているもので、雇用主が雇用者に渡す法律的義務があります。P45もP60も発行して雇用者に渡すのは、雇用主が法律で義務付けられていることです。当然、P45とP60の発行について、支払いが生じることはありません。雇用主がこれらをさまざまな理由をつけて渡そうとしない場合は、違法となるので、Citizen Adviceに相談しましょう。HMRC(税務署)へ直接連絡することもできます。基本的には、P45がない場合でも、仮のTax Codeを発行して新しい雇用先で給料を支払うことも可能なようですが、場合によっては状況が複雑になる可能性もあります。
  • Reference(リファレンス)ー 通常、職を得る際に2通のReference(理想的には、以前の職場のHRや上司の書いた正式なレター:会社のHeaderが入っているもの)か、以前の会社での働きぶりや人柄を知っていて、雇用者から連絡を取っても良いと言われた人の連絡先(名前、会社名、会社でのポジション、メール、電話)が必要です。以前勤めていた企業の上司が問題のある人であった場合であれば、同僚でも大丈夫です。また、ある程度大きな企業となると、Referenceは、その企業で働いていた期間を証明するシンプルなレターのみをHRが発行するという決まりにしているところもあります。ギャップがあったり、以前働いていた企業が閉鎖・倒産して連絡の取りようがない場合は、休日や空いた時間にVolunteer(ヴォランティアー)をして、そこでReferenceをもらうことも一つのやり方です。可能であれば、辞める際も、一緒に働いていた人々とはある程度いい関係を続けられるようにしておきましょう。
  • 一般的には、会社からの交通費の支給や家賃の負担等はありません。
  • Minimum Wage (最低賃金) ※毎年4月に見直し。会社の規模には関係ありません。2023年4月からは、23歳以上だと、最低賃金は10.42ポンド   
    https://www.gov.uk/government/publications/minimum-wage-rates-for-2023
    最低賃金が払われているのか疑わしい場合 ー 下記のイギリス政府公式サイトで質問に答えていくと、最低賃金が支払われているかどうか診断できま      す。最低賃金が支払われていない場合の公式相談先(ACAS)についても記載されています。
    https://www.gov.uk/am-i-getting-minimum-wage
  • Rest breaks at work (仕事での休憩時間について)
    https://www.gov.uk/rest-breaks-work
  • Overtime (オーヴァータイム/残業について)
    https://www.gov.uk/overtime-your-rights
  • Contract (コントラクト/契約書について)
    https://www.gov.uk/employment-contracts-and-conditions
  • Holiday Entitlement (休暇の権利)
    https://www.gov.uk/holiday-entitlement-rights

【イギリスで仕事を探している/転職活動】
外国人がイギリスで仕事を探す際の一般的な注意点や、問題のある企業についてのレポート(給料未払・契約より低い等)を送ることも可能
Jobsaware (ジョブズアゥエア)
Red Flags(赤い旗=危険信号)として挙げられているのは、「給料が明確でない」「Visaのプロセスや渡航費用である程度多額のお金を請求する」等です。
また、日本とは仕組みが大きく違うので、正社員/非正規雇用/フルタイム・パートといった考え方は、いったん忘れましょう。
同じJobsawareのサイト(https://www.jobsaware.co.uk/worker-status)にも、イギリス政府のサイトにもありますが、以下の括りとなります。
Tax Law(税法)からみたときと、Employmet law(雇用法)からの見方があります。
Employee(従業員)ː Employer(雇用主)に直接働く。フルタイム、パートタイム等、時間はさまざま。同一労働同一賃金なので、パートタイムでも同じ仕事をしているフルタイムの人と同じ時給となります。ホリデーも働く時間に関係なく適用されます。雇用者としての権利はかなり強いです。
Workers(ワーカーズ)ːSelf-employed(自営業)とEmployee(従業員)の中間となります。しばしば、リクルートメントエージェンシーから一定期間の契約で派遣された人々が該当しますが、必ずしもそうではありません。ホリデーの権利等はあります。
Self-employed(自営業)ː 自分自身の責任で仕事を引き受けます。税金申請等も通常は自分で行うこととなります。
ワーキングホリデーできている場合は、上記のEmployee(従業員)かWorkers(ワーカーズ)であることが大半だと思いますが、その区分けによって働く人の権利もちがってくるので、知っておきましょう。
現在、問題となっているのがUmbrella companyで、しばしば人手不足でリクルートメントが難しく外国人の雇用が多い業界(ヘルスケア・農業等)でみられる、リクルートメントエージェンシーと別の会社(Umbrella company)が実際に働いている雇用主の間にいる場合です。Umbrella Companyは比較的新しい仕組で、Umbrella companyの定義や決まりも明確ではなく、リクルートメントエージェンシーで話をして、雇用契約はUmbrella companyとなった場合(これ自体は問題ではなく、すべてのUmbrella companyが悪いというわけでもありません)、ホリデーを取得できなかったり(違法)、ホリデーを取らない場合はHoliday-Payといって時給に換算されたものが支払われるはずなのですが、支払われなかったりします。また、給料がさまざまな名目でUmbrella companyに(違法で)さまざまな名目でぬかれているケースもあるそうです。以下に詳細があります。
現在、イギリス議会でこのUmbrella companyに対する新しい決まりの政策も検討されています。 
会社の経営状況や実際に法的にイギリスで登録されているかどうかの確認
Companies House (カンパニーズ・ハウス)
イギリスで登録されている有限会社はここに記載されています。
会社の経営者が誰か、どのぐらい経営者が頻繁に変わっているか、会社の収支を確認できます。
利益が長い間出ていない企業や、利益をほぼすべてShare Holdersに分配してビジネスに投資しないような会社や、経営者が会社を作ってはつぶしてを繰り返している場合は、注意したほうがいいかもしれません。
なお、自営業者については、このサイトには登録されていません。

男女の賃金格差
イギリスでは250名以上の従業員がいる場合、政府に男女の給与格差について報告することが法律で義務付けられています。
下記のイギリス政府のサイトから、上記の条件に該当する企業であれば、男女の賃金格差を確認できます。
Search and compare page from the government -> Can compare

会社の評判
完全に中立で正確な情報を得ることは不可能ですが、参考にされているものは以下です。
あくまでも個人の一意見、感想に過ぎないということを心に留めておくことは大事です。

Glassdoor UK
離職して会社に対してよく思わない人が投稿しがち、という意見もあるのですが、参考程度に。

LinkedIn
同じ大学出身の人等が社員だったり、過去に勤務していたことがあるようであれば、Connect requestを送って話を聴いてみてもいいかも。

知合やビジネスネットワーク
その企業に勤めている人を知っている友人や知り合いがいたら、話を聴ける機会を作ってもらえるか聞いてみましょう。
ただし、同じ企業でも部署によって働く条件や環境が大きく違う場合もあるので、あくまでも一つの意見として考えることが大切です。
もし自分が話をきく機会をお願いされたら、自分の時間の余裕がきくかぎりで協力してあげてくださいね。

イギリスに来たばかりの状態で、よく知らない/知り合ったばかりの日本人からのアドバイス
イギリスに来たばかりで、英語にも苦労し、戸惑うことも多く、日本語で話したいことがある状態のときに、たまたま知り合った日本人が数年~数十年イギリスに住んでいる人だと、その人の言うことを全部信じてしまいたくなるかもしれません。外国に来たばかりのときに心細いのも、弱い立場にあることも当然で何も恥じることはないのですが、日本語を話す人を誰でも信じたい、という状況にあるということを自覚しておく必要があります。イギリスの基本的な仕事に関する法律を自分で理解し、自分で判断することが大切です。数十年イギリスに住んでいても、家族も日本人か日本語で過ごし、会社も日本人だらけで、日本語のみで働き・暮らし、イギリスの法律、慣習、ニュースも知らない人たちもたくさんいます。レストラン等でいかにも流暢に英語を話しているように見えても、中学校程度の英語レベルがあれば、数か月もイギリスに住んでいれば誰でもレストランでオーダーできる程度の英語は話せます。その人は、もしかしたらあなたを善意でサポートしたいのかもしれませんが、間違ったアドバイスをしているかもしれないし、この国に来たばかりの弱い立場にいる日本人を標的に、相手を支配したい、という欲求を満たそうとする人々もいます。
正しい知識、どこで的確で正しい情報得るかを知っていること、自分の状況を自覚していることは、自分の身を助けます。

Salary Calculator (給料計算)
イギリスやヨーロッパでは年棒制のことが多く、残業がないのが普通なので、以下の給料計算Websiteから大体の手取り給料を知ることができます。
また、フルタイムではなく、時間給で不規則な働き方をしている場合にも
どの程度の税金がひかれ、どのぐらいが手元に残るのかが確認できます。

【ヨーロピアン企業(非日系企業)への就職】
ヨーロピアン企業では、プロフェッションやスキルがベースとなる就職となります。
年棒制で、残業はないのが前提です。
非常に明細なJob Descriptionがあり、どういった仕事をするか、どういったReport lineか等が明確です。
上記のJob Descriptionで契約した仕事内容を遂行することと引き換えに給料が支払われており、「自分の技術を提供=会社の利益に貢献していて給料」です。日系企業は、海外でもやたらと「忠誠心(日本のLoyaltyとヨーロッパのLoyaltyは全く違うもの)=日系企業の場合は、自分の人生すべてを会社に捧げ、休みでも電話に出て(無給で)働く/上司の言うことは、質問も疑問もさしはさまず何でもやる」といいますが、日系企業以外では、こういった信じられないことは存在しません。
また、先述した考え方から、会社と働く人は対等であり、上司と部下という立場上の違いはあっても、人としてはみな対等です。
日本のように仕事の内容が明確ではなく、「何でもやる(=女性だけが無給で掃除、お茶くみ等)」ということはあり得ないし、同僚がやらない/できない仕事をすることもありません。同僚が彼/彼女のJob Descriptionにあることをやらないのであれば、マネージャーに責任があり、マネージャーが仕事ができるよう指導・サポートし、それでも仕事ができないようであれば、Probation period(プロベーション・ピリオド/試用期間ー1~3か月)」にさよならとなります。これは、雇用されている側が「ここでは私のキャリアの未来がない/合わない」と思った場合にも、すぐ辞められる仕組みです。ヨーロッパでは、(自分にとって)未来のない仕事にしがみつくことは珍しいです。
出張が多い仕事であれば、出張の扱いについて確認する必要があります。
(例/就業時間は自分の家を出た時間から支払われるのが多い、残業時間をどう定義しカウントするかー企業・職種によっては振替時間とする場合も)
日本での一般的な考え方(会社は家族、会社に100%自分を捧げる等)はUnlearnする(今までの考え方を捨てて、新しい考え方を学ぶ)必要があります。
また、多くの企業やリクルートメントエージェントは、その企業独自のシステムに情報を入力させる場合も多く、履歴書を書く必要があるのかと思うかもしれませんが、自分のキャリアを整理するためにも、常に更新しておきましょう。
また、多くの企業で最初の選考は、「ひと」を通さず、ビデオに出てくる質問に答えたり(録画されて、アルゴリズムが自動的に点数づけ)することになっているので、それほど熱望していない企業の選考で慣れておくことをお勧めします。

リクルートメントで多く使用されているアリゴリズムについての私が書いた記事↓

Digital Profile
LinkedInやXing(ドイツ版のリンクトインのようなもの)といった、プロフェッショナル場で使われるDigital Profileは常に更新した状態にしておきましょう。同じ業界や興味をもつ人々のグループに参加するのもお勧めです。ヨーロッパでは個人情報に対する規制が日本やアメリカに比べると厳格ではあるものの、就職や転職の際に、個人的に使われることが多いFacebookやTwitter、Instagram等を人事がチェックすることは法律的なグレーゾーンで、チェックしていないとは言い切れません。個人的なポストはPublicに見られないように設定しておく(友人にも、むやみにタグづけしないよう言っておく)ことも大切です。

履歴書についての提案
自分が働きたい業界やプロフェッションと、日本での経験が同じだったり似ていれば、イギリスの大手のリクルートメントサイトで、似たような業界やプロフェッションの人々のCVを探して、どのように仕事の経験を記述しているか、どのような資格が記載されているかを観察しましょう。
※アメリカとイギリスでは書き方や好みは違うので、UKのRecruitment agency(Reed等)で確認することをお勧めします。
上記で、イギリスで、該当する特有のプロフェッションに必要な資格(NVQ等の国内資格)も理解しましょう。
もし、そのプロフェッションに就いているイギリス人やヨーロピアンの友人がいれば、どういった職業経験や資格が役立つか、役立ったか聞いてみましょう。
もし、日本での資格がイギリスでの資格にConversion(変換)可能であればConversionすることも考慮しましょう。
また、必要な資格が住んでいる地域のAdult collegeや、通える範囲のEvening course等で取得できるかもしれないので、可能であればEnrolしましょう。オンラインでもいいのですが、同じ目標や興味を持つクラスメイトがいることはとてもいいことです。また、講師はその業界をよく知っているので、履歴書の書き方や仕事の探し方等も、その業界に特化した情報を持っているはずです。運が良ければ、Refereneをもらえたり、職場の紹介もあるかもしれません。

Cover letterについて
読まれない可能性もありますが、本当に熱意がある場合は伝わるので、念のため用意しましょう。
書き方は、以下のサイトも参考になります。

経験のない業界やプロフェッションに挑戦したい場合
もう少し広くプロフェッションについて考えたい場合は、Prospectという大学向けの、学位によってどんな進路が可能で、そのプロフェッションについての大まかな給料や働き方、どういった企業がどのようなポジション(職種)を応募しているかが見えます。
また、公式なチャンネルだけでなく、自分が熱意をもって働きたいと思っている企業に非公式(仕事の募集はない)のチャンネルを使ってアプローチしてみることもできます。例えば、スタートアップ企業のオーナーにLinkedInで直接連絡をしたり、履歴書をもって実際に会社に行くのも一つの方法です。仕事がもらえなかったとしても、失うものはありません。運が良ければ、同じ業界の別の会社に紹介してもらえるかもしれません。
一つだけ注意しておくのは、「自分が何を獲得したいのか」「バウンダリー」です。無給で働くことに合意するかもしれませんが、どのぐらいの時間/期間をその仕事に使うのか、仕事で獲得したいことは何かを明確にコミュニケーションする必要があります。何も言わなければ、ランチの買い出しや掃除等ばかりで自分が何も学べない環境で時間の無駄となる可能性もあります。あなたの時間は貴重です。

インターンシップ、ボランティアで履歴書に書ける経験を積む/Reference(リファレンス)をもらう
交通費が出る程度で無給の場合が多いですが、仕事経験から遠ざかっていたり、全く違う業界やプロフェッションに進みたい場合は、やってみる価値があるかもしれません。Reference(リファレンス/イギリスでは就職の際に通常2か所からリファレンスが必要とされることが多い)をもらうことを忘れずに。

職歴がLinear(直線的)でなく、異なったプロフェッションや業界に渡っている場合
職歴がいくつかあれば、すべての職業経験について書いたMaster Versionを用意することをお勧めします。
応募する企業によって、求められているスキルやCompetency(コンピテンシー/スキルよりも広く、マニュアルにないような新たな予期しなかった状況に対応できる能力)を観察し、強調したほうがよい経験を上部に移動、不要だと思われる部分は削除する等します。

専門分野に特化したリクルートメントサイト
ジュエリー・時計業界
教育関係
LGBTQにきちんと理解のある企業を探す場合

Direct Employer(直接雇用)だけに絞れるリクルートメントサイト 
Guardian Newspaper (ガーディアン紙)
検索機能の「Recruitment Type」で「Direct employer」のボックスにチェックすると、直接雇用者のみに絞れます。

【リクルートメントエージェンシーと問題があったとき】
イギリスのリクルートメントエージェンシーは、通常以下に所属しています。
REC( the Recruitment and Employment Confederation)(レックと呼ばれる 採用・雇用連盟)
例えば、許可していないのに、履歴書を合意なしで勝手に企業に送った場合は、エージェンシーに対して文面と口頭で明確に、そういったことはしないよう言う必要があるでしょう。それでも止めない場合は、RECに連絡するということもできます。
リクルートメントエージェンシーの担当者は、あなたが興味のない仕事を引き受けるよう強く押してくるかもしれませんが、彼らは一般的に基本給が低く、仕事が決まった際のコミッションによって給料を得ているので、本来の仕事の意義を忘れて/無視して、本人のコミッションをあげるために押しているだけのことが大半です。気にせず、自分の希望を貫きましょう。
また、リクルートメントのどの段階でも候補者に対して課金することは違法です。

また、自分の情報をリクルートメントエージェンシーのデータベースから消去するようリクエストしたのに、何度も連絡してくる、といった場合は、個人情報保護法への違反となるので、以下に連絡することとなります。
ICO (Information Commissioner's Office) (アイ・シー・オゥ/プライヴァシー監視機関)

【仕事に関する問題が起こったとき】
​​ACAS (エイカス the Advisory, Conciliation and Arbitration Service)
無料での電話・オンラインでの相談可。
私も何度かお世話になりましたが、外国人の発音にも慣れていて親切なので、直接電話で話すことをお勧めします。

​​Citizen advice (シティズン・アドヴァイス) 
困りごとならなんでも。
フラットの賃貸契約問題、仕事での問題や借金の問題等、なんでも。
「Search Button」から、自分の住んでいるPost code(郵便番号)で最寄りの場所を探せます。
上記のサイトにも記載されていますが、Citizen Adviceには、その区域の住人のみに相談をオープンしているところもあります。
また、区域によっては、多くの人がCitizen Adviceに相談にくるため、First come First served Basis (ファーストカム・ファーストサーヴド・ベイシス ー 列に並んだ人の最初の人から順に対応)で、対応できる人数は限られているため、開庁時間の1時間以上前から長い列ができている場合もあります。時間通りに行くと、人が多すぎて、他の日にきてまた並び直してください、いう場合も。
まず電話で確認することをお勧めします。

Trade Union(トレード・ユニオン 労働組合)
Trade Unionに加入していれば、仕事での問題があったときに無料で法律相談や、会社との話し合いの場に専門家を同伴してもらえる等の恩恵があります。
日本や他のヨーロピアン諸国とは、かなり違う仕組みなのですが、職業の種類で分けられている場合が多いです。
よっぽど大きな会社でない限り、会社個別で労働ユニオンは存在しません。
月々のサブスクリプションだったり、年会費だったりしますが、職場での複雑な問題があったとき、労働ユニオンに加入していることは、大きなバックアップをもっていることとなります。
就職面談等で、ユニオンに加入しているかどうかを聞くのは違法だし、ユニオンに加入していることを理由に解雇することも違法です。会社によっては労働ユニオンを良く思わない場合もあるので、加入していることは、職場では口にしないほうが安全かもしれません。
私の北アメリカ出身の友人は、加入していたおかげで、法律アドバイスがもらえ、会社との話し合いにはユニオンから専門家が同伴してくれ、とても心強く、かつ問題も満足のいく形で決着したそうです。心理的な安心感も大きかったと言っていて、加入することを勧めていました。
イギリス政府の公式サイトでの労働ユニオンについての情報は以下より。

楽しく快適な生活を送るためには、安全でいることが前提条件です。
自分の安全を、正しい情報と知識から確保し、余裕があれば、周りの人々のことも気にかけてあげてくださいね。
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About Me

イギリス在住20年以上。

日本の国立大学の美学美術史卒業。

元 ITエンジニア(日本・イギリスで10年以上ーイギリスで労働許可証を取得)/ジュエリーデザイナー / リクルートメントプロフェッショナル (イギリスで8年以上)

すべての人はギフト(個人個人のよいところー誰もが違う)をもっていて、それを見つけ、伸ばし活かして、みんなで共に希望のある、信じられる未来をつくっていくことは可能だと信じています。出生や出身大学、年齢、国籍ということにとらわれず、Possibilities(可能性)を基本に、一人一人と社会にとってポジティブな未来をつくる一歩を踏み出すお手伝いをします。

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イギリスで困ったときに。転ばぬ先の杖。プラス、転んだ時の対処法


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