仕事の選び方、仕事が合わないと判断した場合の対処法
Xingはドイツ語版のリンクトインのようなプラットフォームですが、日本では恐らく聞かないような新卒へのアドバイス、しかし、ヨーロッパ内ではごく標準だと思える記事があったので、以下にざっとまとめています。Originalの記事はドイツ語ですが、ここより。私もドイツ語はほぼ分かりませんが(家族がドイツで仕事をしていた期間は、ドイツとイギリスを行ったり来たりでしたが、ドイツ人は英語が上手なので英語で対応していました)、英語訳で十分理解できます。
ポイントはいくつか。
- 最初のキャリアは、最終的な目的地ではない。定期的にReviewして、必要があればキャリア変更、転職を考慮、行う
- 自分の価値(資格、スキル等)を理解し、自分の中での働く上での最低条件(仕事内容、仕事環境、給料、福利厚生等)をしっかり持っておき、明確に伝える
- 将来性のない仕事に無駄な時間を費やしている → その時間に自分のやりたい仕事に応募していたほうがいい
- 給料が自分のスキルに対してとても低い場合、そこから上げるのはとても難しい (現在の給料からのパーセンテージで考慮される為)
- 職業人生を誤ったマインドセットで始めることとなるし、やる気もそがれる
最低条件を満たさない仕事を選んだ場合の危険性)
- もし仕事が合っていないと明確に判断した場合は、アクティブに自分の望む仕事を探す(自分にとって正しい道を行く)。経済的安心や居心地が悪くないという理由のみで、その仕事に残ることはしない
転職するのはごく普通のヨーロッパなので、日本とは状況は違うかもしれませんが、転職するのは自分にとって正しい方向へ進むことであり、ほぼ確実に給料は上がります。給料が下がるような転職を選択することは、よっぽどの理由がない限り珍しいと思います。数年前に新卒のドイツ人、日本語・英語も流暢に話す方で、年収が45K Euro(約600万円)が自分の中での基準ということで、実際にほぼそれに近い給料で契約を結んだ方もいました。新卒でもスキルが違えば給料が違うのは当然であり、入社する時期もばらばら(大学卒業後、数か月外国でインターンシップや研修に参加する人もヨーロッパでは珍しくない)で、当人たちも、自分のスキルや能力がどう労働市場で判断されるかはリサーチしています。仕事選びについては、ドイツだとインターンシップで1年ほどいた会社(卒論もその企業での研究等、特に理系学生)にそのまま就職することもあるし、イギリスだと大学のキャリアオフィスが卒業生を招いて仕事の話をしたり、キャリアフェアでいろいろな企業が学生に対して説明会を数日にわたって行うことも普通です。
ヨーロッパ内でも雇用法は国によって違いはあるものの、仕事の契約は正規雇用(日本と違って働く時間による正規・非正規等の区別の概念は存在しない。パートタイムも正規雇用で、フルタイム社員と同じ時給、同じ権利を持つ)だと通常は期限を定めないものなのですが、オランダの場合は、通常、契約社員(年単位を扱ったことが多いですが、月単位も可能なようです)の契約締結を2度行い、3度目の契約更新の際は自動的に正規雇用となります。ここにオランダ政府の説明があります。新卒で入った会社の業績が悪化して、3度目の契約更新が行われなかった方をサポートしたことがありますが、契約社員の間の給料も仕事内容も良く、正社員との違いは無期限契約なのか期限あり契約なのかだと理解しました。彼の場合は、しっかりと仕事をし、上司からもよいReference(推薦状)をもらっていたので、次の仕事もすぐ決まりました。上司からは、3度目の契約時期の数か月前に、業績の悪化で契約更新が不可能であることを明確に知らされており、上司たちも転職にとても協力的だったそうです。(転職活動は在職中に行い、契約が切れる前に次の仕事が決まった)このあたりのFairness(フェアネス)の感覚は日本だけで暮らして働いていると分かりづらいところではないかとよく感じましたが、仕事が自分のアイデンティティそのものではなく、仕事は生きるために必要なもののひとつであり(ヨーロッパだと働かなくてもいいレベルのBillionaireの子息・子女に出くわすこともあります。この場合は働く必要がないので、世界を旅してまわって勉強しているような興味深い人々もいれば、広大な土地や家の管理に名前のみを載せていて破格な給料をもらっている人もあり)、それ以上でもそれ以下でもないというリラックスしたアプローチは、日本でも参考になるのではないでしょうか。