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2021年6月時点でのイギリス雇用状況

Yoko Marta
09.06.21 04:42 PM Comment(s)

イギリス雇用状況ーRECレポート 2021年6月

 イギリスでは、インドで発見されたデルタ変異のコヴィッドの感染者が増大しており、当初は6月21日にすべての制限を外す予定でしたが、延長される可能性が高くなりました。BBCの記事はここより。現在、ワクチンを2回接種した割合は約43パーセントであり、日本の約4パーセントに比較するとワクチン接種は進んでいますが、デルタ変異は若い世代に大きく広がっており、若い世代への接種も開始されました。以前の隣人がロンドンのナイトクラブのシニアマネージャー(女性で30代前半)でしたが、最初はFurlough(一時帰休)となり、去年の5月くらいに、「ナイトクラブは恐らく1年以上営業できないし、開いても以前のように盛況で利益が出ることは考えにくいわね」と言っていて、そのときはちょっと大袈裟な気がしていたのですが、ナイトクラブは最終制限に含まれているので、現段階で1年半閉鎖されており、またしても営業開始時期が延期される可能性が高い運びとなりました。彼女は、もともと興味があった専門職の仕事をするために大学院へ行くことにし、去年の9月に仕事を辞め、大学院での勉強を開始しました。イギリスの大学院は通常1年なので、今年の9月には卒業です。プロフェッショナルだから業界に関する先見性があったのでしょうが、きちんと自分のキャリアを考えて、計画・実行できるのは素晴らしいと思います。

 RECはRecruitment and Employment Confederationというイギリスで一番大きなリクルートメントに関する団体ですが、イギリスでの雇用に関するレポートを定期的に発行しています。私もメンバーとして加入しています。このレポートによると、仕事の募集件数はここ数か月で増大しましたが、レストランやホテル等のHospitalityセクターで大幅な人材不足が起きているということです。原因としては、以下を挙げていました。

  • パンデミックがいつ収束するか分からない不安や不確実性(レストランやホテル等は多くの人々に接するので感染確率も高め、感染率が高くなれば職場閉鎖で仕事を突然失う可能性)
  • EU離脱によるEU市民のイギリス国外への大きな数での移動と、新規雇用がとても難しくなった(日本人や他のEU外の外国人と同じように就労ビザが必要となった)
  • Furlough (一時帰休)中-少しずつ企業の負担分を増やしながらも2021年9月30日まで続くため、実際にその企業に戻って働くことができるかどうかが現段階でも不明な場合でも、現企業にとどまっている可能性が高い。

 最後のFurlough中については、現在募集が多く出ているHospitalityセクターは、低賃金だったり、転居を伴うことも多い(イギリス南西部のコーンウォールは国内旅行先で有名でホテルでの仕事が多いけど、セカンドホームとしてお金持ちが家を買い続けた結果、家賃が非常に高くなり、ホテルで働いて出る給料では家が借りられない等)で、パンデミック前から存在する社会問題も絡んでいます。ただ、需要が多く供給が少ないことで、時給は上がっているとレポートにありました。BBCニュースでは、ロンドンから少し離れたベッドタウンのような街で、ガストロパブのマネージャーがシェフの給料を12ポンド(約1,850円)まで上げたが、本当に応募してくる人がいない、とインタビューに答えていました。前述した仕事だと、労働時間も長く、スキルも体力も必要な仕事なので、実際はもっと時給が上がるべきだと個人的には思います。Hospitalityセクター以外では、IT系の仕事でも人材不足が発生しており、地域でいうと、ロンドンは仕事はそう増えてはおらず、北イギリスではPermanentの仕事もTempの仕事も増えているとのことです。イギリスの場合、パンデミックとEU離脱が同時期に起こっていることと、Furloughが終了するのが9月末ということもあり(この時点で多くの人が解雇される可能性もあり)、先の予測は難しいですが、ITセクターもHospitalityセクターも数か月は確実に人手不足が続くでしょう。これを機会に、すべての人が尊厳をもって働ける状況に向かっていく(良い仕事とそれに見合った十分に生活ができる賃金、セーフティーネットが機能する社会)ことを願っています。

Yoko Marta