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ドイツでのFuture Jobに対する取組 ー AI技術

Yoko Marta
28.06.21 01:57 PM Comment(s)

ドイツでの長期的な人への投資

 ドイツ連邦共和国という名称からも分かるようにドイツは一つ一つの州が大きな自治権を持っていて、国家を作っている仕組みです。同じヨーロッパでも、イギリスとは大きく違う統治形態です。ドイツは製造業での強みを知られているとは思いますが、そこには、国を挙げての長い将来を見越した業界、企業、人々への投資が見られます。過去の例でいえば、中国が経済的に大きくなることを見越して、早いうちに中国との提携市、提携大学を数多く設立し優秀な中国人学生を招き、相互に学び、ビジネスだけでなく人々の交流にも力を入れています。私自身、家族の仕事の関係でドイツに頻繁に滞在している数年の間、ドイツの大学で学んだ多くの優秀な中国人エンジニアに会いました。ちなみに、彼らも中国の都会では、家の価格も生活費も高い上に家も狭く、長い就労時間があり、ヨーロッパでの生活のほうが生活のQualitiyは高くて気に入っている(特に家族がいる場合)とのことでした。イギリスでは、マーケット(市場)に任せるということで、国での長い計画はなく、足りない人材があれば外国人移民でまかなうという形態を長年取ってきましたが、Brexit(EU離脱)もあり、その方法の限界が様々な場所で見られています。

 現在、ドイツではAI技術に関する教育を強化しています。オリジナルの記事はここより参照できます。

 既に政府が大きな投資を決めており(133 million euro, 現レートで約174億円)、ドイツの大学ではAI教育については、90パーセントが中央政府から、10パーセントが州政府から予算がおります。すでにAIを専門として教えることができる講師は1校に1人程度の人数は存在しており、AIを専門としない学生(文系やサイエンスでAIを専門としない人々)も学ぶこととなるようです。課題としては、AI技術と学生の専攻している学問とをどううまく関連付けるかということのようです。既にAIはさまざまな場所に使われており、アート専攻や文系の学生たちにも避けては通れません。また、授業だけでなく、オンラインプラットフォームを使用し、オンラインでの勉強、推奨プログラムを提案する等の個人に合わせたサポートを計画されているようです。なお、この記事によると、アメリカと中国はAI部門で大きな投資をしているものの、AIのリサーチという観点に限ればドイツが進んでいるとのことです。もちろん、ドイツの新聞なのでドイツに対して欲目はあるとは思いますが、他のエリアでも文系・理系ともにドイツはリサーチが良いことで知られています。大学は多くが国立で授業料もほぼ無料、また英語で学べる学科もあるので勉強、働く場所としてドイツは個人的にもお勧めです。日本では、ドイツ学術交流会にドイツ留学の情報があります。ドイツでの就職サポートも行ってきましたが、働くという面でみると、税金は日本に比べると高いものの、給料も高めで国の福祉がしっかりとしており(病欠も取りやすく、当然ですがホリデー日数からは引かれません。産休、育休の制度も良く、残業時間も厳しく制限されていて、労働者の権利がかなり守られています。)、物価や家賃、家の価格もイギリスと比べると給料と良いバランスが取れています。

 私自身、日本の国立大学で美学・美術史を専攻しましたが、20年以上前でもコンピューターのC言語で簡単なプログラムを作る授業を大学で受ける必要がありました。これは、アルバイト先でコンピューターを使った統計等の仕事をすることにも抵抗がないことにつながり、ITエンジニアとして新卒就職し、イギリスでの就職(労働許可取得)にもつながりました。AIはさまざまな場所で使われており、市民としてもそれがどのような仕組みで、どのように使われているのかを理解しておくのはとても重要なことです。日本も今後、AIのような技術は仕事としても必要となる部分であり、大学のカリキュラムにも組み込まれることを願っています。もしなければ、オンラインで無料で学べるコースもあるので、空き時間に気楽に挑戦してみましょう。コースが分かりにくいようであれば、他のコースも試してみて、自分に合ったコースを見つけて楽しみましょう。 

Yoko Marta