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TATE KIDS - テートギャラリーの子供向けアート

Yoko Marta
18.10.22 09:27 AM Comment(s)

テート美術館ー子供向け

Tate(テート)はイギリス国内に4つの美術館を有しており、そのうち2つはロンドンにあります。どちらもテムズ河沿いにあり、ボート(通勤用も)が美術館のすぐ前でとまるので、天気が良い日にボートで美術館に行くのも楽しみの一つです。

ロンドンには、Tate ModernTate Britainの2つがあり、現代芸術的なもの、例えば草間彌生さんだとModern, イギリス人画家ターナーのようにどちらかというと古典的なものはBritain,とある程度使い分けられているようです。どちらも特別展示は有料ですが、通常の展示は無料でみることができます。美術館では、子供向けの楽しいアクティビティもたくさんあるので下調べして参加するといいでしょう。

また、Tateでは子供向けのとても楽しいチャンネルがあります。ここより。

最新は、ポルトガルの女性画家、Paula Rego(パウラ・レゴ)が取り上げられています。英語も聞き取りやすく、英語でのサブタイトルも表示できます。また、分からなくてもビデオを見ているだけでも、ある程度は内容が理解できると思います。ビデオはここより。ざっとした内容は以下となります。※ダイレクトな翻訳ではありません。

パウラ・レゴはポルトガルの首都リスボンで1935年に進歩的な考えを持った両親の元に一人っ子として生まれました。ポルトガルの独裁政治は1970年代まで続き、人々の生活は秘密警察に厳しく監視される自由がなく恐れに満ちたものでした。パウラは子供の頃、祖母の下で育ち、物語や民話をたくさん聞いて、想像の羽を伸ばしました。力のない人々に起こる不運な出来事や悪いことと戦う話は、日常の恐怖からの自由であり、後になってから、自分の周りで起こっていたことを理解するのを助けました。パウラはおとなしく口数の少ない女の子でしたが、絵を描くのが好きで、鉛筆が紙の上をすべる音を聞くと安心しました。自分の考えや気持ちを口に出すのをとても恐れていましたが、絵を描くことを通して自分の物語を語ることができました。誰かがパウラのことをからかうと、パウラはその子を絵の中で動物に変身させて、しっぽを切ったりしました。パウラは後に、実際の生活ではことさら勇敢ではなかったけれど、絵を描くときには何をするにも恐れはなかった、と語っています。17歳のときに、両親の強い勧めもあり、ロンドンのアート学校へと進みました。そこでは、抽象画がさかんで、パウラは何人かの先生にも、彼女の具体的な形を持ったアートスタイルを古いものだと否定され、落ち込んだ日々も過ごしました。でも、パウラは絵(抽象画ではなく、実際に形のあるものを描く)を通して自分の物語を語りたかった。幸いなことに、アート学校ではパウラのことを理解して励ましてくれる先生や友達がいました。パウラは現在、彼女の勇気のある個性的な作品で世界中に知られています。彼女は今でも、魔女や骸骨、巨大やクモ等が出てくる物語が好きで、彼女の作品は夢のようで、想像力を働かせるよう励まします。彼女の多くの作品は、ウサギやサルといった動物を通して、言葉で表現することが難しい感情や複雑な人間関係を描いています。彼女が74歳になったとき、生まれ故郷のリスボンに彼女の作品だけを集めた美術館(物語の家)が開かれました。もしあなたの人生も物語になるのであれば、それはどのようなものでしょう?

当時では(恐らく今でも)多くはない女性画家や女性裁判官の人生を振り返ると、とても進歩的な考え方の両親を持っていることに気づきます。彼女らの両親は、性別やその国や地域での伝統等に縛られず、子供たちは一人一人それぞれのユニークな才能をもって生まれてきて、それを発揮して独立した一人の人間としての尊厳をもって生きていくべきだという強い考えをもっていることがうかがえます。ノーベル賞を与えられたマララ・ユスフザイさんの父親も、パキスタンの家父長制の強い国(女性は男性よりずっと身分が下で、教育も必要なく、家庭で母・妻として夫の所有物として黙々と家事と子育てをしていればいい)で育ったにも関わらず、マララさんを一個の人間として尊重し、彼女の才能が活かせるよう最大限にサポートし、励まし続けてきました。また、パウラ・レゴの両親も、パウラの画家になる夢と才能を信じて、独裁政治で厳しい環境下だったにも関わらず、パウラをサポートし続けました。パウラ・レゴは80歳を超えてからもロンドンのスタジオで作品を作り続けていましたが、2022年7月に亡くなりました。

Yoko Marta