The Green Catalyst
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働くということ

Yoko Marta
06.06.22 02:17 PM Comment(s)

Paid Job(給料が支払われる仕事)という概念を超えて

「はたらく」という言葉を聞いて、すぐに頭に思い浮かんだのは「WORK」「JOB」「CAREER」「VOCATION」。イギリスに限らずヨーロッパでは、まず言葉を定義することから始まることが多いです。さまざまな国籍や民族、宗教等が混在した社会では、それぞれが違った考えやアイディアを持っていることが前提で、同じ用語についても、最初にある程度お互いの概念を対話を通して確認しないと、話がかみ合わなくなります。

この中で最初に外したの「VOCATION」。これは、もともとがCALLINGからきているので神職など宗教について使われることが多く、日本語では「天職」と訳されているようですが、日本語の文脈で使われる天職とはかなり隔たりがあります。次に「JOB」。「JOB」の定義は、給料等のお金と引き換えに、雇い主に対して自分のスキルを提供する責任があり、雇い主の要求にこたえるもので(自分の内部から生じるものではなく、外側からの要求)、期限つき。私にとって「はたらく」とは、自分の内側からの生じるものであり、必ずしも給料や特定の雇い主が関わることではないので、これも除外。次に「WORK」。これは、非常に広義で何かを作り出す行動で、社会に役立つようなものであったり、自分を喜ばすためのものであったり、お金との交換があったりなかったりと様々。そのため、これも除外。最後に「CAREER」。ラテン語起源の言葉で、意味合いは「A Journey of a work life of an individual(個人のワークライフの旅)」と使われることが多いようです。給料の支払と引き換えになる場合もならない場合も含まれ、生涯をかけて追及していくもので、外側からの要求ではなく、自分の内側から生じるもの。CAREERの概念は、CAREER自体が目的・到達点であり、生活の必要性を満たすことが目的のJOBとは大きく異なります。このCAREERという概念のフォーカスは、イノヴェーション、学び続けること、自分の中で計算されたリスクを取ること。私の中での「はたらく」という概念はこの「CAREER」にほぼ一致しています。以降は「キャリア」と表記しますが、日本で使われている「キャリア」とは大きく意味合いが違います。

ITエンジニアとして日本で5年ほど働いた後、いろいろな偶然が重なり、ロンドン(英国)でITエンジニアとして労働許可→永住権取得を通してイギリス生活も21年を超え、22年ちかくとなりました。現在は、未来に希望がもてる平等でフェアな社会への変革をサポートするための記事を書くと同時に、キャリアに関しての相談を受け付けています。平等でフェアな社会には、基本的人権が守られ、誰もが対等で同じ機会にアクセスできることは必須です。これは環境問題、ジェンダー問題、社会・国際政治問題、未来に必要となるスキル等、多岐に渡ります。ヨーロッパを中心にさまざまなウェビナー、カンファレンスに参加、書物を読み、英語が分からないとアクセスが難しい内容を、エンジニアであった背景も生かして、分かりやすく伝えるようにしています。また、文化面での他国での考え方や状況が興味深い形で伝わってくるスタンダップコメディーや演劇等についても情報を発信しています。

日本で働いていたときは、残業が月100時間近いレベルで、仕事が人生の100パーセントに近い状況でした。イギリスでは、はたらくことは人生の一部であり、プロフェッショナルとして質の高い仕事としながら、家庭・自分の時間を大事にし、年に数回は日常を離れてホリデーを楽しむという年月を過ごしています。私自身のキャリアも一直線ではなく、Paid Job(給料を支払われる仕事)と並行して常に別のことを勉強し、結果的に縄のようにそれらが編みあわされています。一見つながりがないように見えるかもしれませんが、自分の中では、人々をサポートし橋渡しをすることが共通の目的となっています。
国立四年制大学の美学・美術史を日本の就職氷河期に卒業して、IT企業でITエンジニアとなり、そこを去った後はプロジェクト単位でアプリケーション開発に従事しました。ITエンジニアとしての自分の将来にも疑問があり、英語をプラスすることは武器になると考え、ロンドンに3か月の予定での語学学校を予約。日本の息苦しさから解放され、とても居心地がよく、帰りの航空券は捨てて、とどまることにしました。これがミレニアムの2000年。

ロンドンにきてからのJOBとしての変遷は、以下の通り。

ITエンジニア(労働許可→永住権、5年弱)→ ジュエリーデザイナー(イギリス人のジュエリーー工房でフリーランスとして働く+自分の作品作り/展覧会への出品、3年強)→1年お休み→リクルートメント(リモート勤務、5年)→ リクルートメント(オフィスベース、2年弱)→自分のビジネスを設立(約1年弱)


この間に勉強してきたことは、以下の通り(大学時代の2年とイタリアのジュエリー学校の1か月を除いてはすべて仕事を続けながら受講)

Westminster大学のビジネス英語コース → イタリア語(短期間)→ジュエリー制作コース(現役のジュエリーデザイナーが先生、大学に行く前まで3年以上)→ロンドンメトロポリタン大学 HNDジュエリー2年コース(いくつか単位を残す)→ イタリアのコンテンポラリージュエリー学校Alchimiaで一か月集中コース → GIAで宝石学のコースをいくつか修了→ Goldsmith Collegeでアートセラピーファンデーションコース修了 (1年) → 同大学でムーブメントセラピーの夏季集中コースを修了 → 子供向けの短期セラピーコースを受講


趣味となったのは以下の通り

アルゼンチンタンゴ(現在のイタリア人夫ともタンゴクラスで偶然知合う、15年ぐらい始めたりストップしたりしながら緩く続けている)、フェルデンクライス・瞑想(どちらも5年ぐらい自然と続いている)、絵を描くこと、演劇・スタンダップコメディー・映画・バレエ(パンデミックまでは一か月に数回)、イギリスの劇団Compliciteのプロジェクト「everything that rises must dance」に参加(2018年ー3か月) 

ボランティアは、以下の通り

アートセラピストのアシスタントとしてアートセラピーグループの補助(8か月)

リモートワークを5年ほどしていた間は、家族がドイツで仕事をしていた時期と、イギリスの西の果てのコーンウォールで仕事をしていた時期があり、私自身はロンドンに拠点を置きつつ、ドイツやコーンウォールでも定期的に過ごし、仕事をしながら別の場所での生活も楽しみました。また、家族の生死にかかわる手術もあり、人間の命なんて儚いものだとつくづく感じ、これを機に自分の大切なValueである、平等でフェアな社会の実現、弱い立場へ追いやられている人々へのサポート(アートセラピー、カウンセリング)ということを強く意識しました。リクルートメント業務の一環の、日本語を学んでいるイギリスやヨーロッパの大学生に日本での仕事についてのワークショップを英語で行った際も、これらのセラピーやカウンセリングの知識・経験は役立ちました。いろいろと回り道をしているようですが、ゆっくりと回り道をしながらでないと見えないこともたくさんあります。苦痛だった経験も含めて、自分にとって無駄な経験はなかったと思っています。

私にとってキャリアは旅で人生の一部であり、到達点である「希望をもてる平等でフェアな社会への変革を目指す」は北極星のように変わらないものですが、どの道を選ぶのか、或いはどの道を切り開いていくのかは、その時代によっても適応していく必要があるものであり、これらのチャレンジはWelcomeです。この私自身の北極星を見失わず、日常の小さな幸せを大切にしながら、少しでも多くの人に未来に希望をもって進んでいける機会を一緒に作っていければ、と思います。