The Green Catalyst
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Creating futures we can believe in

社会・政治の仕組を理解することの大切さ ー NESRINE MALIK(ネスリン・マリック)さんの記事より

Yoko Marta
25.07.22 03:46 PM Comment(s)

トップ数パーセントの「勝者」が、残りの人々を搾取し続け、集合的不幸をキープするねずみ講のような詐欺システムに気づく→ 多くの人々が本質を理解し、このゲームからおりれば、詐欺システムは崩壊する

イギリス在住ジャーナリストのNesrine Malik(ネスリン・マリック)さんの本「We need new stories」を読み終えました。英語圏では、大きく問題になっているPolitical Correctness(ポリティカルコレクトネス)やGender equality(女性・男性の平等)についての間違った神話を一つ一つ事実を元に丁寧に分析し、暴いていきます。

ネスリンさんは、スダーン生まれで、スダーンとエジプト、イギリスで教育を受け、独立系新聞の
Guardian Newspaperのコラムニストでもあります。
ちなみに、スダーンもエジプトも旧イギリス植民地です。そのため、ネスリーンさんは、英語で教育を受ける選択肢が多くあり、英語の教育機関で学んだそうです。
独立系新聞とは耳慣れないかもしれませんが、個人実業家等に支配されていないイギリスの数少ないメディアを指しています。
イギリスもアメリカもほぼすべての新聞は、強力な権力・経済力・政治力を持つ個人実業家(例/ルパート・マードック)が所有していることが多く、少数の企業が多数のメディアを支配しています。イギリスの場合は、ここより確認できますが、2021年時点で、3つの企業が国内新聞の90パーセントを独占しています。このメディアの独占化の進みは偶然ではありません。買収や統合を通して一部の強力なビリオネアや企業がメディアを意図的にコントロールする動きです。
ネスリンさんも、多くのアメリカのジャーナリストや政治学者やアカデミックも指摘していますが、アメリカで二番目に大きい非公開企業の主要オーナーで、ビリオネアでもあるコーク兄弟は、40年近くにわたり、さまざまなシンクタンクや大学に多大な献金を行い世論を大きく操作しています。また政治に対しても共和党への大きな献金を行い、政治家たちよりも陰で大きな力をもっているのでは、というレベルです。イギリスのEU離脱には、アメリカのビリオネア、Robert Mercer(ロバート・マーサー)が裏で大きく関わり、「トルコからの移民が大量にやってきてイギリス人の職がなくなる/社会保障を彼らが多く使い、イギリス人が社会保障を受けられなくなる」等の虚偽の噂をFacebook等を通して効果的に広げ、人々の恐怖心に火をつけてEU離脱へと追い込んだことでも知られています。また、EU離脱の国営放送等のディベートでも、これらの特定個人から資金を受けたジャーナリスト、アカデミックや団体が、自分たちがどこから資金を得ているかを明確にせずに、その特有思想(イギリスの主権を取り戻すためにEUを離脱するべきだ、EUは規制を設けすぎで規制のない自由市場を作るべきだ、等)に沿ったことだけを言い世論を煽っていたことで知られています。もし彼らが自分たちは特有の個人・団体に資金を受けていて、こういう発言を行っている、とディベートの前や記事の最初に述べるのは透明性があり、視聴者の判断次第となりフェアですが、背後の資金提供者や意図を明らかにせずに、知らないうちに洗脳を行うのはフェアではありません。

なぜ、少数の企業やビリオネア個人がメディアをコントロールしていることに問題があるのでしょうか?

メディアに限らず、権力や富が一部の人々に集中すると、Corruption(コラプションー不正・腐敗)が非常に起きやすくなります。
そのため、「独占法」といった法律、規制委員会(イギリスではメディアの規制はOftcom)が規制を行い、権力の集中状態が起こらないよう努力はしているものの、メディア形態もどんどん変わり、規制が追い付かない部分がどうしても出てきます。
フェイスブックのように、「自分たちはメディア媒体ではなく、インターネットプラットフォームである」ということで、実際にはメディアとして機能しビジネスを行っているにも関わらず、誰がどのように規制を行えるのかが複雑なケースもあります。

また、メディアが独占されていると、一部の権力を持った人々による大衆のコントロールも可能とします。
かけ離れた話のように聞こえるかもしれませんが、ナチスは、効果的にラジオやテレビを使いプロパガンダを行い民衆を間違った方向へ向かわせ、また独裁政治の国々では、メディアは厳しくコントロールされ、独裁政治家に都合の良いように情報が操作されます。イタリアの元首相ベッルルスコーニ氏は、首相になる前からテレビ局を複数所有していたミリオネアであり、首相になってからもメディアを自分の利益になるように操作し、自分の気に入らない報道には大きくプレッシャーをかけたことで知られています。イギリス在住のトルコ人作家、Elif Shafak(エリフ・シャファック)さんは、彼女が書いた物語の中の登場人物が反トルコ的な発言をしていた、ということで国辱在の裁判にかけられました。トルコは美しい国ですが、多くのジャーナリストや知識層(大学教授等)が囚人として、まともな裁判もないまま、長い間収容されていることで知られています。

あなたは、民主主義が機能している日本では、こういった心配は必要ない、と思うかもしれません。
そうでしょうか?

日本の政治の話になると、ヨーロピアンの友人からも新聞でも、「首相や政治家のほとんどが数世代続いている政治家ファミリー」ということに驚かれます。
なぜなら、政治腐敗で知られている開発途上国では、家族や親戚が代々政治の中枢を占めるのは普通ですが、先進国で民主主義の国々では、考えられません。
そこで、「日本は、そのように見えないけれど、Autocratic country(専制政治の国)なのか?」ということをよく聞かれます。

日本は、他のヨーロッパの国々と比べても殺人も少ないし、絶対的な貧困も少ないので、何の問題もない、と思うかもしれません。
ただ、相対的貧困(国民の所得の中央値の半分以下)は非常に高い国であり、その中には多くの子供たちも含まれています。
また、経済力も高く、失業率も低く、教育レベルの高い国でありながら、自殺率も高い国です。
それでも、権力と富の集中は、日本ではなんの問題も起こさない(未来)/起こしていない(過去・現在)と信じられるでしょうか?

日本は富と権力の集中が戦前からずっと長い間続いていて、そのシステムは、どこにでもあり、あまりにも当たり前になっていて、日本にだけ住んでいると、目の前にあるのに認識できない、という状況になっているように見えます。
ネスリンさんは腐敗政治で知られる国(スダーン、エジプト)で育ち、腐敗政治というのがクーデターや軍事政権によってドラマティックに起こる分かりやすいケースだけでなく、微妙にさりげなく起こる・進むケースについて、ここで述べています。
日本は後者の例に近いように思います。
いくつか例を挙げると
電気事業
Tepco等の10電力会社が、発電・送電・小売を社内で行い、かつ地域を分割して、それぞれを大きく独占。近年の改正で、事業を分けたものの、いまだに同じ傘下で営業できる(=内部で自企業のみに利益を出すために、電力の出力調整や価格操作を行うことが可能)。ヨーロッパでは、早いうちに、市場独占や企業の価格操作を避けるために、法律的に、発電・送電・小売りを完全に分けています。日本の電力事業の現状は、ヨーロッパでは独占法違反となる可能性が高いです。また、日本の再生電力の価格はヨーロッパと比べて約2倍近くと高価です。市場の独占は、市場の原則である自由競争を妨げ、少数の企業のみが大きな利益を上げ、消費者にはとてもネガティブな影響を及ぼします。電力は、水のように誰もが必要なものであり、基本的人権の一部であり、誰もが安価に安定してアクセスできる仕組になっているべきです。

医療
日本では、家族経営で代々家族が医者というパターンも多く、公的サービス(国立大学病院等)は少ない。イギリスでは、医療は公的サービスであり、For Profit(利潤追求)でも家族経営でもありません。通常は、医師は公的サービスのNHS(National Health Service)に所属しています。歯科でNHSでカバーしきれない治療(ルート・カナル等)を専門にプライベート歯科医として働いている人々もいますが、家族代々、病院となる土地・建物を所有して家族経営しているというのは、一つもないとは言い切れませんが、まず聞きません。イギリスでは、病院での診察・検査、癌治療や手術、入院もすべて無料です。失業しても当然無料です(ただし、歯科は有料で、治療毎の価格は国によって決められています。これも、病院治療と同じく、無料にしたほうがいいのでは、という声も上がっています。失業すると、歯科治療は無料となります)
また、健康保険についても、国のNational Insurance(ナショナル・インシュランス)でカバーされており、働く時間数や日数に関係なく(ウーバー等の特殊な働き方でない限り)、雇用主は必ず雇用者をナショナル・インシュランスに加入させる義務があり、雇用主が雇用者より多く費用負担をします。ナショナル・インシュランスは収入に応じて国レベルで費用負担率が決められていて、公平感があります。医療費は、ナショナル・インシュランスからの収入と他の税金から拠出されています。
日本のように、大企業に勤めていれば自社の健康保険組合に所属し、少額の負担で大きな医療サービスを受けられ、自営業で収入が少ない場合は地域の自治体の健康保険で、大企業の健康保険組合に比べて大きな金額を納めるにも関わらず医療サービスの幅は少ない。しかも、地域の健康保険に払う金額は、地域によって違う。これは、ヨーロッパの仕組に慣れると、非常に不公平な仕組にうつります。
イギリスの保守党は、現在の国営医療システムを私有化させることを長年狙っており、医療に対しての税金の拠出を大きく削減させ医療システムをうまく機能させないようにし、「国営医療システムは機能しない→ 私有化すればすべてがうまくいく」という図式を国民に植え込もうとしていますが、「ひとびとの病気は、ビジネスの機会(お金儲けのチャンス)ではない」という声も大きいです。
病気になったときに、個人のおかれている状況に関わらず、安心して治療が受けられることは基本的人権として守られるべきものでしょう。

教育
ヨーロッパでは、大部分が国立大学で、イギリス(The UKの4か国の中のイギリスを指す。ウェールズ国と北アイルランドはイギリスと同じ仕組。スコットランドは大学は無料)を除いては、学費は無料に近いかとても低いです。イギリスは1998年に授業料無料→有料となったものの、自国民であれば、最大限授業料は国で設定されています。導入当時は、年間授業料の最大額は、1000ポンド(約15万円)。徐々に上がっていき、2021年~2022年の授業料の最大額は、年間授業料9250ポンド(138万円程度)。人気のある大学だと、最大限まで授業料をあげるでしょうが、地方にある大学だと低く設定する場合もあります。ただし、外国人学生に対しては授業料の規制はなく、自国民の授業料の2倍程度が多く、3倍以上課しているケースもあります。
イギリスでも、長い間、教育はFor profit(利潤追求)ではなく、基本的人権であり、無料に戻すべきだという意見も根強いです。
日本を振り返ると、大学の約7割が私立で、国公立は約3割です。また、地域によっては、高校ですら私立が多いケースがあるそうです。大学教育の質に関しても、ヨーロッパの大学と比べると、日本の大学のランキングはとても低く、ヨーロッパのように国が教育・人にある程度大きく投資をするのと、日本のように国が教育・人に投資をほぼしないところでの違いの結果だともいえると思います。
また、ヨーロッパでは、同じ仕事をしている限り、大卒と高卒で給料・待遇・キャリアパスに違いはありませんが、日本では仕事の能力に関わらず、高卒か大卒の違いでキャリアパス・給料・待遇が違う、という不可解な仕組が存在しています。そうすると、とりあえず大卒の証書を得る為だけの、利潤追求型の私立大学が増え、全体の大学の教育の質を低めるのも仕方のないことでしょう。また、7割が私立大学であれば、たまたま生まれ落ちた家族の経済状態に大きく左右され、実際に能力のある人々が大学へ進めないという状況を作りだすでしょう。大学の学費の無償化を行っても、教育システムの改革を行わず、質の低い私立大学教育に多額の税金が使われるのは良いことだとは思えません。ヨーロッパのように大学もほぼすべてが国立で授業料は無償とし、しっかりと国が人に投資をするほうが大多数の国民のために良いのではないでしょうか。
また、学校の先生についても、医療や政治と同じく、家族代々先生というのも通常の民主主義が機能している国では、まず考えられないことです。

電力といった、水のように誰もが必要なサービスがカルテルに近い状態であり、医療だけでなく教育も公的サービスでなく、For profit(利潤追求)とNepotism(ネポティズムー縁故主義)で、一部の人々や企業に富と権力が集中・蓄積している社会は健全でしょうか?
また、大部分の市民にとって、それは良い社会なのでしょうか?

ネスリンさんは、上記の記事の中で、以下のようなことを指摘しています。

権力のチェックと均衡をとることが行われず、権力者が結果や責任の追及を恐れずなんでもできる状況に置かれている場合、不正を引き起こすのに以下の3つの条件を必要とします。
臆病で、脅しに屈した報道、メディア
現政権に代わることのできる信頼できる政権の不在
大部分の国民たちは、無気力感か、部族主義から静止している
良いニュースは、腐敗政治の元に生きているのはあなただけではありません。
悪いニュースは、いったん不正・腐敗が始まると、それをリバースさせるのは簡単ではありません。
政治の腐敗・不正はすでに人々の政治家に対する予測・期待(政治家は誰もが不正を行っている、という印象)となり、不正と見なされていたことが、制度として正式に成立することすらあり得ます。
分かりやすい腐敗政治の元に生きている人々は、さりげない腐敗政治の進行を次のように語るでしょう。
ー 政府のスタンプ(本来なら無料)が賄賂によって手に入っていたのが、賄賂が公式な手続き料となる
ー 民主的に選出された政府から力を横取りすることが、国際的な監視団体による監視者からも認められた、選挙で祝福された法的なプロセスとなる。
ー 道義心のない無節操な政治家は敬遠されるのではなく、富を得て尊敬される
ー 報道陣は、あなたが目の前でみていることと反対のことを報道する
ー 誰もがNarrative(ナラティブー話)をでっちあげるので、陰謀説が栄える。その結果、「真実」というのは、よく売れる説得力のある嘘を紡ぐということになる
ー 政府の役人は、規制システムを自分の都合の良いように操作しようとしたのちに、国民に対して、政府は「社会にきわめて高い正直さと高潔さを取り戻すために」行っていると説明する
これらは、あなたの怒りの感覚を摩耗し、あなたの正しいこと・まちがっていることという感覚をゆがめ始めます。
そのうち、いくら自由があっても ー 投票権、プロテストする権利 ー があったとしても、(自分を含めた)個人には何もできないという諦めの気持ちに落ち着きます。これらの自由は、何にもコネクトされていないLevers(てこ、操作棒)のように思えてきます。私が中東・北アフリカで育っていて感じた主要な政治的な感情は、抑圧に苦しんだということでなく、ひがみに苦しむものです ー 私たち民衆から盗み、自分たちの都合の良いようにルールを作り替えた政権の下での人生の絶望に対して自分たちを守るために培われた冷笑・皮肉。

(イギリスで保守党内での政治腐敗に関する大きな論議が起こっている状況を鑑みて)
国家が正直なブローカーとファシリテーターとしての役割から撤退すると、結果は致命的です。
私たちは引き続き私たちが持っているもので不十分ながらも間に合わさなければなりません。
イギリスの場合、「自分たちは特別」と信じていることと、海外の失敗した国々(腐敗がはびこっている国々)と比べて、あの国々よりはまし、そこまではひどくないと思うかもしれません。
でも、それは偽の安心感です。
政治腐敗はシステムの中で生まれ、システムの中に住み着くので、私たちはそれが何かはっきりと見ることができません。
イギリスで最近議論を呼んだのは以下:
保守党への多額な募金→ 募金をした人々を貴族院に就任させる
保守党議員や大臣の家族や友人への政府とのビジネス契約を他のビジネスとの競争なしで行う → パンデミックで緊急事態のため、国民のためにやったことだと保守党や保守党政府は主張
それぞれの腐敗政治は、それぞれの腐敗のスタイルをもっている。
でも結局は、集合的な不幸であるということは同じ。

ネスリンさんも言っていますが、このピラミッド型のトップの一部の人々のみが、ピラミッドの下にある人々を搾取する仕組みは世界に多く存在します。
トップにいる、いわゆる「勝者」は、自分たちが利益を得続けるためにこの仕組みを続けることを狡猾に計画、実行します。
よくある手段は、法的・経済的な規制を緩く、或いは廃止してしまうことです。例えば、極端に低いビジネスへの税金や、銀行や投資機関を監視する監視規制を極端に緩くする、等です。代表的な言い訳は「規制や税金は、個人がさらに豊かになる機会を妨げている」です。実際は、自分たち、ピラミッドのトップにいる企業や個人が、責任を問われることなしに、制限なく人々を搾取して富を蓄積することを可能にするためです。
このシステムが機能するためには、最初に「自分たちは勝っている。このシステムは機能している」という幻想を多くの人々に信じ込ませる必要があります。
でも、実際に利益を得るのは、この非常に限られた少数の「勝者」だけです。
これは、ねずみ講のような詐欺の仕組と非常によく似ていることに気づく必要があります。
ピラミッドの下にいても、さらに下にいる人々もいます。
たまにおこぼれがあることもあれば、さらにこのシステムを信じるかもしれません。
でも、これは幻想であり、詐欺です。
ピラミッドの下部にいる人々が不満の声を上げ始めると、「勝者」は、自分たちには注意がいかないように、常にピラミッドの下をみて争うように仕向けます。例えば、自分よりピラミッドの下にいる人々(移民、女性、貧しい人々)があなたのステータスを奪いにきている、という恐れをあおります。
でも、本来の問題は、この「勝者」が大勢をだまして大多数の人々を搾取していることです。
でも、人々は、今自分の持っているものが奪われるという恐怖から、本当の問題を見ることができません。
これこそが、このねずみ講システムがまやかしのシステムであるにも関わらず、長期に渡って成り立つ理由です。

結局は、詐欺なので、このシステムはいずれ壊れますが、その前に、トップ1パーセントのいわゆる「勝者」はすべての冨を持ち逃げし、99パーセント近い人々は、自分たちの作った富を盗まれて何も残されません。

私たちは、冷静に仕組みを観察・理解し、本来の問題に対して、手をつなぎ団結してアクションを起こす必要があります。


アパルトヘイトでも、人口の10パーセントの白人が、人口の大部分の90パーセントの黒人・アジア人を抑圧・搾取するのに用いた手段は「Divide and Rule (分離、そして支配)」です。

これは、黒人・アジア人を細かい区分でピラミッドの下部に巧妙に配置し、アジア人・黒人の中で多くの分離(住む場所や入れる場所や座れる場所の制限、職業の制限、教育の制限を人種・民族等でさまざまに違った制限をかける)を設け、お互いを怪しみ、お互いが自分を持っているものを奪いに来ているという疑いを投げかけ、彼らの間での憎しみと争いが続くようコントロールしました。そうすることで、「勝者」の位置にいる自分たちの地位を保ち搾取を続けました。
最終的には、この仕組に気づいた人々からの多くの死を伴う忍耐強い抵抗でこのシステムも崩れます。ただ、このシステムの影響は今も続き、完全に消えるまでにはまだ長くかかるでしょう。

私たちは、
目の前に見えていることだけでなく、それを越えるものを観察する必要があります。
実際にこのシステムで得をしているのは誰か?
何のためのシステムなのか?
そのうえで、仲間と一緒に協力しあってより良い社会へと変えていく必要があります。

「勝者」が私たちに信じ込ませたいのは「何をしても、何も変わらない」ということ
です。
ねずみ講は大多数の人々が仕組みのまやかしに気づけば、結局はまやかしなので崩れます。
ものごとを、しっかりと観察することから始めましょう。

わたしもあなたも、変化を見届けることも、変化からの良い点も享受しないまま、この世を去るかもしれません。
でも、私たちには、子供たち、若い人々に希望のある社会を残す義務があります。
未来は過去の積み重ねからできています。

今日の一歩、たとえ半歩の前進でも、それが未来を作ります。

Yoko Marta