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ファイナンシャル・タイムズのウェビナー:ファイナンス

Yoko Marta
04.05.22 03:13 PM Comment(s)

データとテクノロジーを活用して生産的な財務チームを構築

先日、Financial Times(ファイナンシャル・タイムズ/日本でいうと日本経済新聞に近い)主催の「Leveraging Data and Tech to Build Productive Finance Teams(データとテクノロジーを活用して生産的な財務チームを構築)」Webinarに参加しました。

いくつかの興味深かった点について。

ファイナンスに今後必要となる人々(特に若い人々に向けて)
  • どの学部(アカウントやファイナンス等)が一番ファイナンスに向いているかは特定するのは難しい、或いは重要ではない。ファイナンスのバックグラウンドは役に立つが、急速にビジネスも世界も変わっていく中で、必要なのは、ダイナミックな人。新しい知識を素早く自分のものとし、新しい技術を柔軟に受け入れる人たち。専門だけに絞るのではなく、フロントラインでの仕事(マーケティングやセールス)のことも包括的に考え、ビジネス全体をみることができる人が望ましい。
  • 「 time of competency(エクスパート/有能となるまでにかかる時間)」と「currency of knowledge(知識の価値)」は大きく変わった。現在は、新たなソフトウェアや技術がどんどん出てきており、12か月ぐらいその特定のソフトウェアや技術を使っていただけで、その分野でのエクスパートとなる可能性が高い。ただし、また新しい技術が出てくるため、その知識は1年半ぐらいで古い知識となる可能性もある。以前は、一度身につけた技術や知識は、長年にわたって有効なものだった。長年働いている人々の知識は、時間をかけて積み重ねていくもので、現在でも非常に価値のある部分もあれば、あっという間に役立たなくなったものもある。若い人々のダイナミックな部分を活かしつつ、仕事を長くしている年長の人々を隅に追いやらず、彼らの貴重な経験分野を尊重して、誰もが得意分野を生かして、バランスよくチームワークを行い、ビジネスを良い方向にもっていくことが大事。
  • 多くの分野で自動化できる部分は急速に自動化している。以前は、「End to End View」というプロセスの見える化(文書化)は、この文書を書く専門の人が書いていたけど、今では必要な情報を入れるとソフトウェアが自動的にこの図を書いてくれる。

Rotation Program /ロテーション・プログラムについて
日本では、西欧のジョブ型と日本のメンバーシップ型(ロテーション・プログラム)と、極端に単純化した図式で見ているケースが多いようですが、ヨーロッパにもロテーション・プログラムは存在しています。ただ、メンバーシップ型(社員が入社からリタイアメントまで同じ会社で働くことが前提となった仕組)とロテーションプログラムは結びついていません
このWebinarのパネリストの一人、Ocado(オカド/イギリスでも最大手の一つのオンライン食品を扱う企業)のファイナンシャル・ダイレクターのVineta(ヴィネタ)さんは、Ocadoでのロテーション・プログラムについて話していました。ちなみに、彼女は女性です。イギリスでは、女性が要職についていることはごく普通で、要職についている人々の性別が話題になることは、そうそうないのですが、日本では、まだまだ前進する必要のある領域でしょう。
この企業では、本人の希望もよく聞いて18か月くらいを一区切りとして、次はプロモーションレベルなのか(マネージャー等に昇進)、別の部署で経験を積みたいのかをアセスメントするそうです。目的は、ビジネスでのさまざまな役割や仕事を知り、さまざまな角度からビジネスをみられる人々を養成することです。だからといって、こういった人々を自社に縛りつけようとする意図はありません。有能で努力する人には、相応のポジションと相応の給料等のパッケージが用意され、彼ら/彼女らが、この企業でぜひ力を発揮したい、という環境を作れるよう、企業側が努力します。日本式の「若いうちは仕事の質に見合わない安い給料で働く代わりに、年をとってからは仕事の質に見合わない高い給料で補填する」という図式は存在しません。現在の彼ら/彼女らの仕事の質に応じて、給料やポジションは決定されます。
これらの人々が、他に良い機会を見つけて転職することになれば、自分たちが企業としての魅力をつくりだせなかった、彼ら/彼女らに適正な機会を作り出せなかった、ということで、会社側がさらに努力することとなります。
ロテーションプログラムを採用している企業は、会社の中枢部に行ってほしい人々の育成と位置付けている場合が多いものの、そうでない場合もあります。

なぜ、ファイナンスを仕事として選ぶのか?
ファイナンスは、どのビジネスにも欠かせないもの。
ファイナンスは、シンプルな例でいえば、領収書の発行/回収プロセスや、タイムシートの処理等にも関わり、ビジネスの最終プロセスには必ず存在する。
現在は、サステイナビリティもファイナンスには欠かせないものとなっており、シェアホルダーだけでなく、従業員やクライエントに対してのコミットメントも、短期/中期/長期で行う必要がある。
サステイナビリティに関しては、これからも法律(企業の二酸化炭素の排出抑制等)が新規に設定されたり、既存の規則が変っていく可能性も非常に高い。こういった規準や規則をよく理解して、最新の情報を常に頭に入れておくことは必須。

ファイナンシャル・トランスフォーメーションに必要なもの
その決定に影響されるすべての人々を巻き込むこと
プロジェクトがうまくいかない原因の多くは、実際にその決定によって影響を受ける人々を見落としてしまうことです。
最初に、多くの部署と誰が影響されるのだろうか、とよく話し合う必要があります。このジャーニーは、一見時間の無駄に見えても、とても重要です。あなたが、確固とした自信をもって誰が影響されるかを知っていると思う場合は、確実に見落としているので、なおさら話し合うことが必要です。
現在は、シナリオ・プランニングやモデリングはとても洗練されてきており、今後もますます進化していくでしょう。これらのどんどん新しく出てくるツールを素早く使いこなせる柔軟さは大切です。

最後にパネリストが賛同していたのは、どんなに良いソフトウェアやAIの進化があったとしても、結局は、それらを理解して使いこなし、創造的に考えられる人々がいない限りは、前進しない、ということです。

ファイナンスは、イギリスが強い分野で、良い大学コースもあります。
ファイナンスと聞いても、どんな仕事があるんだろうと、と思う場合は、イギリスでよく使われているProspectsというWebsiteに、ファイナンスの学位や修士の後での仕事の例について、掲載されています。
私の友人の中には、ファイナンスの修士を持ち、国際機関のAuditorとして、いろいろな国を飛び回って仕事をしている人もいます。例えば、パナマで3週間、4週間本拠地のヨーロッパオフィスで働いた後、今度は、エジプトへ3週間等。転勤も、アフリカ大陸からヨーロッパ大陸等、スケールが大きくなります。仕事では、現地の組織の人間関係や文化(権力者の家族や親戚を仕事の有能性に関係なく雇うことが基盤となっている=政治腐敗がある)を理解することも、アカウンティングに不正が起きていないかを判断するのに重要となります。数字を追っているとはいえ、結局は人間が関わるので、この複雑さは、まだまだ人間が扱うしかない部分でしょう。
ファイナンス系の仕事の中にはプロセスが明確で自動化しやすい作業が多いことは事実ですが、人間にしかできないこともたくさんあります。どういった企業に投資して、世の中を変えていくのかにもファイナンスは大きく関わっています。不正がよく話題になる業界ではありますが、良い未来を創るために努力し続けている人々も存在しています。