The Green Catalyst
The Green Catalyst
Creating futures we can believe in

未来は私たちが創るもの

Yoko Marta
20.06.22 03:53 PM Comment(s)

不正義で不公平な過去が私たちの未来を規定することを、もはや受け入れない

私のイタリアに住んでいるイタリア人家族のかかりつけ医は、ウクライナ人です。
下の階の難病にかかっているイタリア人隣人の24時間ケアを10年近く住み込みで行っているのもウクライナ人です。彼女には、息子さんがウクライナにいて、「ウクライナ」という言葉を聞くと涙が止まらず、とても痛々しく感じます。
平和な世界に住んでいる私たちには、できることは限られているとはいえ、彼らのこと/ウクライナで起こっていることを忘れないこと自国政府に対してウクライナをサポートし続けるよう、呼びかけを続けていくことでしょう。

2週間ほど前のThe UKのガーディアン紙の記事から。
(アメリカの)キッシンジャーの「ウクライナは(ドンバス等の)領土をロシアに正式に渡して戦争を終息すべきだ」という言葉に対しての、ウクライナの元防衛長官の反論の一部です。

そのような不正義(今までのように強い大きな国からの要求や侵略には降伏するしかない)を受け入れることを止めるべき時です。
人々は、何度、
「今までいつもそうだったから」という理由で何かを容認するよう言われてきたでしょう?
人種差別、性的虐待、家庭内暴力、政治腐敗、社会の不平等さ、組織的な犯罪は、長い間社会にはびこっていました。
これらが変ったときというのは、人々が古いやり方やシステムにチャレンジし、それらを許容することを拒絶した
ときです。
私たちには、過去のやり方や考え方が、今の私たちの生き方を支配することを許すことはできません
キッシンジャーは、ある時点での世界、完璧には程遠い世界、を作ることに大きな役割を果たしたかもしれません。でも、私たちは、
不正義で不公平な過去が私たちの未来を規定することを、もはや受け入れません。

日本で働いたことのあるヨーロピアンから、日本でフラストレーションを感じたこととしてよく聞いたのは、どんなに不公平や不平等、不正義がまかりとおっている環境でも、だれもが「ずっとそうだから」という理由で諦めきっていて何もしようとしない、ということでした。
ヨーロッパ全般では、銃を頭に突きつけられて命令されれば選択の余地はありませんが、通常の状況であれば、何かを選択して行動に移すことができると考えます。悪い状況に、何もせず甘んじる、というのは理解しづらいことです。もちろん行動すれば何らかのリスクが伴いますが、シナリオをいくつか考え、周りの人々と協力してリスクを下げることも十分可能です。もちろん、最終的には「去る」という選択肢もありますが、さまざまな選択肢を考え、検討して試してみることは重要でしょう。
また、未来は私たちの今日の行動・選択から、大きな影響を受けます。
ウクライナの現大統領は、ロシアの侵略数日後に、アメリカ政府から国外避難の申し出を受けましたが、「自分に必要なのは武器であって、乗り物ではない」と断りました。
ここで、他国や過去の大統領たちのように自分と家族の身を守ることを選択し国外退去していれば、ウクライナは既にロシアの手に落ち、ウクライナ全土で、ソビエトに侵略されたときのポーランドのように、多くの知識人は殺されたり投獄され、出版物も厳しく検閲され、学校での教育も大きく制限され、秘密警察が反体制派と判断した人々を誘拐・投獄・拷問し、行方も命があるかも分からない人々が大量に出ている世界となっていた可能性もあります。
東ヨーロッパの国々は、ソビエトに侵略され、ポーランドと同じような歴史をたどった過去もあり、他国に侵略され降伏した際に何が起きるかを身をもってよく知っています。そのため、キッシンジャーや西ヨーロッパの一部の国のように、「ウクライナの領地を渡して、ロシアに降伏」という意見は聞きません。
また、他の国々が、ウクライナという独立国に対して、「(違法侵略を行った国に)きみの領地を渡して降伏すべきだ」と勧めるのも、おかしな話です。
イギリスが、他の国から侵略された場合に、「ロンドンと周辺の地域をあなたにあげるので、侵略をここで止めてください」とはならないし、「イギリスの代わりに(フランスの)パリをあなたにあげるよう交渉するので、侵略をいったんやめてください」ともならないでしょう。もちろん、イギリスはNATOの加盟国なので、イギリスへの侵略があればNATOの加盟国すべてがサポートする条約なので、そういったことが起こる可能性は非常に低いとはいえます。
ただ、そういう
安全な立場にあるからといって、他の国々の複雑な歴史や未来についての想像力がないことの言い訳にはなりません。

私の尊敬するジャーナリストのAnne Applebaum(アン・アップルバウム)さんは、ソビエト・東ヨーロッパの専門家でもありますが、最初から「
ウクライナは勝たなくてはならない」と明言しています。
「勝利」が何を意味するのかは、ウクライナの人々が決めることで、他国が決めることではありません。他国は、ウクライナが勝てるよう最大限のサポートをするだけです。
よく聞くのは「ウクライナが闘うことを止めればウクライナは消滅する、ロシアが闘うことを止めれば戦争が終わる」
実際に私もそうだと思います。
違法な侵略戦争、数々の国際法違反や戦争犯罪が目の前で起こっているのに、国際的になんら有効な手立てが取れないのは歯がゆいし、ある意味信じられないと思うのですが、心配なのは、目を背けて自分には関係ないと無関心になる人々、国々が増えることです。
ヨーロッパでは、インフレーション、特に石油価格の上昇(イギリスでは普通のファミリー車で満タンにすると100ポンドː 約15000円を超える高さ)もあり、現首相のボリス・ジョンソンの不信任案が否決されたものの、政府が弱体化して迷走しているものの、国民の多くはウクライナのサポートを続けることに大きく賛成してしています。