The Green Catalyst
The Green Catalyst
Creating futures we can believe in

伝えること ー 簡単な単語でどうにかなる

Yoko Marta
22.08.22 05:34 PM Comment(s)

伝えること

私の夫はイタリア人ですが、だからといって私がイタリア語を上手に話せるわけではありません。

私たちは、どちらも踊ることが好きで、ロンドンのアルゼンチンタンゴ教室で17年ぐらい前に出会い、それまでもそれからもずっとロンドンに住んでいるので、私たちの共通語は英語です。どちらも外国人なので、台所の小さな器具等の名前が分からないときは、二人の間ではイタリア語だったりするので、カナダ人やイギリス人の友人からは不思議がられたこともあります。

ロンドンだと、働いていても外国人、特にヨーロピアンはたくさんいるので、英語での会話にフランス語やイタリア語の単語が混ざることは普通にあります。

イタリアはイギリスから近いこともあり、家族や友人を年に数回訪れます。

土日やクリスマス等のハイ・シーズンでなければ、格安航空のRyanairやEasyjetで往復の航空運賃(手荷物のみ)が30ポンド弱(約4800円)で、ロンドン内で自宅から空港に移動する往復電車賃のほうが高いという場合も往々にして起こります。

イタリアの家族には、イギリスで数年働いていて英語をとても流暢に話す人々もいて、イタリア語で表現しきれないときには、助けがあります。

ただ、家族の間では、誰に何が起こったとか、誰と誰が結婚するとか既に知っているので、名前や動詞等がでてくれば、分からない単語が混ざっていても話の内容はつかめます。

数年前に亡くなりましたが、私の夫の父は、イギリス人のようなSarcasm(諧謔・皮肉)を使ったジョークがうまい人で、たくさん笑ったことを覚えています。私の夫の母は、対照的に身振り手振りを伴ったパンチラインのあるジョークで、一般的にイメージされるイタリア人のジョークに近いのかな、という気がします。ユーモアは、国や人によってさまざまなフレーバーはありますが、いろいろな壁を越えて人々をつなぐものだと思います。私のイタリア語はとても限定的ですが、私の夫が私をイタリア人ばかりの中に一人にしても安心していられるのは、私がユーモアを理解して一緒に加わって楽しめるからです。

10年以上前に、イタリアのフィレンツェに一か月、コンテンポラリー・ジュエリーの集中コースのために住んでいました。

私の夫は、私が集中コースを終えた後に合流して、ピサの友人たちとホリデーに行く予定だったので、休日は、ジュエリーコースのクラスメートとアンティークマーケットに言ったり、一人で電車で隣町の歴史的建造物を訪れたりしていました。

ある日、電車の切符を買おうと、券売機にお金を入れて行く先を押したのに、切符がでてきません。

でも、券売機から切符が出てこない、といっても今一つどの単語か思いつかないので、私が係員に説明したイタリア語は、「すみません。マシーン(←券売機という単語を知らなかったので、Macchinaという機械全般を指すことば)に10ユーロを入れてAbruzzo(行く先の町の名前)を押したけど、マシーンが10ユーロを食べて、何も出てこなかったんです」です。

こんなイタリア語で通じたのでしょうか?

通じました。

係員の女性が、券売機を開けて10ユーロを取り出してくれ、窓口で往復券を買いました。

もちろん、きちんとしたイタリア語が話せればいいでしょうが、自分の知っている単語の範囲で説明は可能です。

日本語スピーカーにとって、イタリア語の発音は母音が強く、「R」を除いては、発音もしやすく聞き取ってもらえる可能性が高いです。

日本語が母国語だからといって、誰もが常に100パーセント正しい文法で話しているわけでもなければ、日々新しい言葉も生まれてきていると思います。

恐れずに好奇心の扉を開いて、話してみるのは大切です。

意外と通じてしまうことに驚くかもしれません。


※イタリアの鉄道といえば、日本やイギリスと違って切符に日付と時刻のスタンプを押す必要があります。Timbrare(ティンブラーレː 刻印する)という単語ですが、もしこの刻印がなければ、罰金を払うことになるので、必ず刻印を押す必要があります。ただ、この機械が壊れていることもあります。その際は、電車に乗ったらすぐに、電車の前方の車両に進んで車掌さんを見つけ、事情を話して刻印をしてもらいます。イタリア語が今一つでも、車掌さんを探していたことをしっかりアピールすると通じやすいと思います。
イギリスの場合、ロンドン市内のOverground(鉄道ー地下鉄ではなく地上を走る)の駅で、オイスターカードのタッチ・イン/アウトする機械が壊れている場合もあるので、その際は、下車した駅で係員に事情を話すことになります。もちろん疑いの目をもって見られることもあるのですが、一緒の駅で「また、壊れてるね~」と話した人々と一緒に列に並んでると、みんなが「私もその駅でタッチ・インできなかったわよ~」と加勢してくれます。

Yoko Marta