あなたは、私を燃やしたと思いますか?
ある日、Substackの記事から、パレスチナ人の少女が詩を情熱的に、身振り手振りもつかって朗読しているポスティングをみました。
「Defiance(デファイアンス/果敢な抵抗)」ということばが、すぐに心にうかびました。
Substackの記事の著者によると、パレスチナ詩人のタウフィーク・ザイヤード(Tawfiq Zayyad)さんの詩を朗読しているそうなのですが、タウフィークさんの詩がすべて英語に訳されているわけではなく、事実かどうかは確かめられなかったのですが、とても心に残りました。
もともとの少女の詩の朗読は、インスタグラムのこのポスティングのようです。
少女がアラビア語で朗読するのに合わせて、英語の翻訳も画面に出てきます。
この少女の朗読した内容と、Substackの記事の著者がタウフィークさんのオリジナルの詩として翻訳していたものは、内容はほぼ同じでも、英訳の言い回し等が少し違うのですが、抵抗の詩であることには変わりありません。
詩のタイトルは、「あなたは、私を燃やしたと思う?」ですが、ガザでは学校などの避難所や校庭のテントなどにイスラエルが爆弾を落とし、生きたまま焼き殺されている多くの子供たちがいる今、この詩は、とても心に残りました。
この少女は、ガザではなく、ウエストバンク在住のようですが、今も生きているかどうかは分からないし、彼女の親戚や家族の一部はガザにいるかもしれません。
パレスチナ人の女性や子供たちは、無力な被害者として西側主要メディアに取り上げられがちですが、イスラエルの70年以上にわたる、Occupation(オキュペィション/占領)やアパルトヘイト、虐殺、エスニック・クレンジングに対して、さまざまな手段で抵抗し続けている強さを思いおこさせます。
イスラエルが行っている、「移住者植民地主義」「ユダヤ人(特に白人系ユダヤ人)至上主義」はヨーロッパやアメリカ・カナダ・オーストラリアなどが数百年にわたって行ってきたことの続きです。
違いは「白人至上主義」で「ユダヤ人至上主義」ではなかったことぐらいですが、そのため、西側主要メディアや西側政府は、Colonised(コロナイズド/植民地化された側の人々=パレスチナ人)が、Coloniser(コロナイザー/植民地宗主国側の人々=イスラエルのヨーロピアン系白人ユダヤ人)に抵抗する姿勢に、潜在的に我慢できない(自分たち白人は完全に人間だけど、有色人種たちは動物にちかい野蛮なものー自分よりも低いものたちが抵抗するなんてつけあがったことは、絶対に許さない)ので、無力な子どもや女性、という被害者像だけを報道したがりますが、多くの人々が抵抗し続けたからこそ、イスラエルからの残虐な扱いや殺害にも負けず、パレスチナ人として存在し続けていることを忘れてはいけないと思います。
(少女の詠んだ詩にあった英訳から日本語に訳しました ー アラビア語が分かる人には、英訳より深い部分や、韻を踏んだりしている部分といった、英訳にはない美しさ・深さ・ニュアンスを発見するのでは、と思います)
あなたは、私を燃やしたと思いますか?
あなたが私を燃やしたあと
私の灰の上で悪魔のように踊り
私を風にまき散らし
荒れ果てた地の、太陽の目を囲うコール(※1)のように
あなたは私のなまえを消し去り
私の歴史と私の信仰を根こそぎにした
そう思いますか?
あなたの試みは無駄でした。
反逆者(抵抗する者)に、「No」は存在しません
私は、「復活(※2)」のようです
ある日、私は戻ってきます(※3)
(※1)コールは、中東の女性がアイライナーのように目の周りを囲んでかくのに使う炭
(※2)「Resurrection/(リサレクションー復活)」は、最後の審判の日に、すべての人々が生き返り、生きていた間に何をしたかについて、審判を受けることを指しているのだと思います
(※3)Substackにあった英訳では、「私は復活ですーある日、確実にやってくる日」とあったので、審判の日(=正義が行われる日)に戻ってくる、正義は確実に行われる、という強い意志を示しているのでは、と思います。