Global Uprising (世界的な蜂起)ー 地球上の普通の市民たちが立ち上がる
ガザの封鎖をやぶるための「Madleen(マドリーン)号」は、イスラエルによって、国際海域を進行中に拿捕され、グレタさんを含む乗組員12人はイスラエル兵によって誘拐され、船はイスラエルの港へと強制的に向かわされました。
マドリーン号は、The UK(イギリス、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの連合4か国)で登録された船であり、国際海域ではThe UKのみが管轄権をもっていて、この船を拿捕し強制的にイスラエルの港へと向かわせたのは国際法違反だし、乗組員を誘拐したことも国際法違反であることは、認識しておく必要があります。
また、ガザは国際法でパレスチナに属すると認められていて、イスラエルがガザに向かう船や人々を止める権利はありません。
西側主要メディアでは、イスラエル側の主張ばかりを報道しますが、上記は、国際法の専門家の多くも認めていることで、西側主要メディアのガス・ライティングに惑わされないことは重要です。
アメリカやイギリスが全面的にサポートしている、イスラエルのパレスチナ人に対する虐殺がとまったあと、アメリカやイギリスの政治家だけでなく、主要メディアも国際裁判にかけられる可能性は高いとみられています。
実際に、さまざまな国の弁護士や運動家たちが集まって、既に政治家たちの人道に対する犯罪、戦争犯罪で訴えを起こしています。
毎日、多くのパレスチナ人がイスラエルによる爆撃・狙撃・人工的につくられた飢饉などで死んでいる今、正義がくるのは遅すぎて意味がない、と思うひともいるかもしれませんが、生き残ったひとたちのためにも、生き残る人が増えるよう正義が来る日を早めることができるよう、誰もがパレスチナに関心を持ち続けることは重要です。
人道に対する犯罪・戦争犯罪には時効がないので、イギリス議会でも、この虐殺を支え続けている現政府に対して、虐殺に反対する議員が、既にイギリスを含む地球上の多くの地域で彼らを国としてだけでなく、個人的に裁判に訴えるケースが増え続けていることを示唆する発言もありました。
プレッシャーが高まることで、虐殺を止めるアクションが行われる可能性は高まります。
このFreedom Flotilla Coalition(フリーダム・フロティラ連合)の代表の一人、Nicola Jenes(二コラ・ジェニス)さんへのインタヴューは、Palestinian Deep Dive(パレスティニアン・ディープ・ダイヴ)という、イギリスをベースとするパレスチナ人ジャーナリストたちが運営しているポッドキャストで行われました。
ここから無料で見ることができます。
今回のインタヴュィーは、ガザ出身の女性パレスチナ人ジャーナリストのHala Hanina(ハラ・ハニーナ)さんで、イギリスの大学で博士課程を学んでいる途中でガザ虐殺がはじまり、夫も数か月後にイギリスで一緒に暮らす予定だったのにガザから出られなくなり、彼女の両親や兄弟たちも、みんなガザに閉じ込められた状態だそうです。
このポッドキャストを運営しているもう一人のガザ出身ジャーナリストのAhmed Alnaouq(アフメッド・アルナゥク)さんは、直近の家族全員の21人が虐殺がはじまってすぐに爆撃で殺されたそうです。
アフメッドさんととても親しかった兄は、2014年のイスラエルによる爆撃で既に殺されていて、イスラエルの国際法違反の占領、エスニック・クレンジングが数十年にわたって続く中、アフメッドさんの経験は、パレスチナ人にとっては例外ではありません。
でも、こんな非人間的なことが、地球上のどこにでも、誰にでも、起こっていいわけはありません。
アフメッドさんは、さまざまなイギリスのニュース番組にも登場していますが、とても残酷な質問や、パレスチナ人全員をテロリストと決めつけて話すようなフレーミングに対しても、落ち着いて誠意をもってこたえ、西側メディアの完全にイスラエル側に偏った報道に風穴をあけています。
フリーダム・フロティラ連合の二コラさんは、今回のマドリーン号は、はじまりでしかないとしています。
フリーダム・フロティラ連合では、既にほかの船でガザへむかう計画があり、虐殺がとまるまで、ガザの封鎖が止まるまで、何度でも挑戦するとしていました。
二コラさんは、多くの政府(特に、虐殺をほう助している西側政府)が虐殺を止めるという義務を全く行わない現在、これは普通の市民たちのGlobal Uprising(グローバル・アップライジング/世界的な蜂起)であり、多くの人々に加わるよう、よびかけていました。
同時に、二コラさんは、国際社会(特に西側政府)のイスラエルの国際法違反に対してのinaction(インアクション/何もしないこと、怠惰)について、鋭い批判を行っています。
マドリーン号が航海する一か月ほど前には、フリーダム・フロティラ連合から、別の船「Consience(コンシェンス/良心)」がマルタ島(欧州連合の一国)から出航し、マルタ島からとても近いヨーロッパ内の国際海域にいる間に、ドローンによる爆撃を受け、航行不可能となりました。
これは、通常であれば、「Declaration of war(デクラレーション・オブ・ウォー/戦争宣言)」であり、欧州連合の国々は、大きな批判・抗議を行うことは間違いありませんが、イスラエルが加害者である今回は、欧州連合も欧州連合に所属する国々も、国際社会も無言です。
イスラエルのimpunity(インピュニティー/懲罰がなく好き放題にできること)は、あまりにも長く続いており、地球上の大多数の人々がイスラエルのパレスチナ人に対する虐殺や人工的につくりだした飢饉について、即時に止めるようデモンストレーションやマーチを行っていても、各国政府はイスラエルに対してプレッシャーを与える義務があるのに、ほとんどの政府は何もしません。
本来なら、政府は、私たち市民の意見を代表するために存在していますが、イスラエルに関することとなると、その役目は全く機能していません。
二コラさんは、私たち市民には、プロテストを行う権利、このような非常事態においては暴動を起こす権利すらあることもあげ、西側政府が、私たち市民をいつまでも「mental slave(メンタル・スレィヴ/精神的・心理的な奴隷)」にしておくことはできない、としていました。
このメンタル・スレィヴという表現が出てきたのは、西側主要メディア、西側政府のいうことは、(完全にイスラエルよりの)プロパガンダにみちていて、虐殺を止めることを要求して平和にマーチする市民たちをテロリストとして扱い逮捕したり、フリーダム・フロティラ連合のように人道救助のために水や赤ちゃんの粉末ミルクなどを運んでいる船を脅威として犯罪者のように扱うことで、一般市民をガスライティングしていることを指しています。
日本の報道がどのぐらいイスラエルのプロパガンダに満ちているのか、あるいは、プロパガンダの手段の一つで、重要な情報を報道しない、という流れになっているのかはわかりませんが、西側主要メディアでは、記事のヘッドラインやインタヴューにしても、完全にイスラエルのプロパガンダをサポートしていることが長く続いています。
私自身、イギリス国営放送BBCのガザやウエスバンクの報道をきくことには耐えられず、以前Subscriber(定期購読)だったGuardian Newspaperも、パレスチナに関しては読むことをやめました。
パレスチナについては、独立新聞紙の「Declassified UK」「Middle East Eye」「Middle East Monitor」などを読んでいます。
中東地域を拠点とする「Al Jazeera(アル・ジャジーラ)」も参考になります。
日本だけで育つと、権威(大企業、いわゆるいい大学、社会的地位、経済力)を盲目に信仰するようにトレーニングされますが、「自由・民主主義・人権」と謡い、「民主主義をひろげるために」という美しいことばでアメリカやイギリス(世界の権威)が、アフリカや中東地域に国際法違反で軍事侵攻などを行いつづけている世界の状況からしても、自分でより正確な情報を探すことをし続け、自分で考える努力は必要です。
これは、筋力トレーニングのようなもので、「誰もが嘘をいっている」と無力であることを当たり前にすると、情報を探す・理解する能力ーひいてはヒューマニティーも失われていきます。
完全に正しい情報は難しいかもしれませんが、より正確な情報は存在します。
また、日本だと、「世の中にはさまざまな見方があり、どこにも普遍的な見方は存在せず、普遍的に正しいことはない、状況によって異なる」という考えが強い印象がありますが、誰だろうと、どんな状況だろうと、虐殺を行う権利は誰にもありません。
これは、普遍的なことです。
これが「状況によっては(虐殺も)仕方がない」となれば、私たち世界中のひとびとは、無法地帯に住むことになり、特に、弱い立場におかれている人たちにはとても危険な状態となります。
二コラさんは、多くの人々が現状に希望を失い、無力感を感じ何もしなくなる、ガザへ関心をもつことをスイッチ・オフしたくなる気持ちも分かるとしながら、以下を語りかけています。
これは、Humanity cause(ヒューマニティー・コゥズ/ヒューマニティーの大義)です。
これは、あなたのHuman Value(ヒューマン・ヴァリュー/ひととしての価値観)が試されることです。
もし、あなたが今ストップすれば、あなたが闘っている、この限りない資金に支えられたプロパガンダの怪物は勝ちます。
私たちは、この闘いで人々を失うことはできません。
最初は、このディジタルで起こっているプロパガンダ(ソーシャルメディアやニュースなど)と闘うことですが、それだけでなく、ストリートで(マーチに参加するなど)、どこででも、あなたができることで闘い続けなくてはなりません。
Global March to Gaza (グローバル・マーチ・トゥ・ガザ/ガザへの国際的なマーチ)は始まっており、合計で7000人近い様々な国籍の人々が、イスラエルによるパレスチナ人への虐殺を止めさせる・封鎖や占拠を終わらせるために、ラファ(エジプト側からのガザに入る国境)へと向かっています。
マドリーン号はガザへはたどりつけなかったけれど、普通の市民たちが、大挙して船や徒歩でガザにむかえば、イスラエルも何もできない、という可能性をひらきました。
(ガザは国際法でもパレスチナ領として認定されている地域で、イスラエルが、人々をの出入りをブロックするのは国際法違反)
国連特別報告官のパレスチナ自治権担当のフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告官は、民間人が自分を危険にさらして虐殺を止めるように行動するしかない現状にフラストレーションを感じつつも、各国の政府が自国の海軍の船をつかってガザ海上封鎖を破って必要な救援物資を届ける本来の義務をプッシュしながら、同時に、地中海にいる多くの船が水などの救援物資をのせてガザへむかい、それが数千の船になれば、軍事力を誇っているイスラエルですら何もできない、と発言していました。
パレスチナのエルサレムの孤児院で育った女性、Rula Jabreal(ルーラ・ジャブリール)さんは、イタリアの大学へ留学した後、イタリアやアメリカなどでジャーナリスト・作家として活躍していますが、このガザでの虐殺を可能としたのは、西側諸国がimpunity(インピュニティー/懲罰なしで好き放題できること)をイスラエルに与え続け、パレスチナ人を非人間化するようなことばを許し続けたことだとしています。
ルーラさんは、ヘブライ語・アラビア語・イタリア語・英語を母国語レベルで話しますが、ずっと前に、イスラエル国内を歩いているときに、ごく普通に見えるひとびとが、妊娠中のパレスチナ人女性を狙撃する絵のTシャツを着ていて、そのTシャツには、「一石二鳥(=妊娠中の女性と赤ちゃんの合計二人を一発で殺す)」といった内容が書かれており、ショックを受けたそうですが、実際、アメリカからガザを訪れていたユダヤ系アメリカ人医師が、妊娠しているパレスチナ人女性が腹部を狙撃され、赤ちゃんも死んだケースがあることをアメリカ議会で証言していました。
ルーラさんは、このガザ虐殺は、「Humanist(ヒューマニスト/だれものが命は同等に尊いものと信じる人々)」対「今までの世界・社会秩序(白人至上主義)は正しく、プロテクションは西側諸国(=白人)のみに適用され、それ以外には適用しないーひとの間に人工的なハイラルキーを作っている世界が正しい」だとみています。
地球上のどこでも、宗教や性別、民族に関わらず、特に若い人々はこのヒューマニストの立場をとり、ガザの虐殺に対して、大きな反対を示しています。
多くのジャーナリストやアカデミックも指摘していますが、権威からのプレッシャーがとても強いときは、「権威」が、普通の市民たちが真実に気づいて権威をプッシュして社会を変えようとしていることを知っているからで、プレッシャーが強いときほど、変化のときは近く、あきらめずにプッシュし続けることがとても大切です。
中には、権威のいう通りにしておけば、自分はターゲットにならない(ほかの人々がターゲットになることには無関心)、と思うかもしれませんが、権威は、最初に立場の弱い人々(移民など)をターゲットにし、次はマジョリティーの中でも権威の意見に反対したり抵抗する人々、その後は、マジョリティーの誰もがターゲットになり、理由はあとづけとなります。
この地球上の誰もが「US(アス/私たち)」であり、誰もの自由と安全が保障されるまでは、誰にも真の自由や安全がないことを理解して、一緒に分かち合って、生きていくという感覚はとても重要です。
弱い立場にいるひとが不当な抑圧から自由になる闘いは、私たちみんなの闘いでもあります。