オマーン外相 ー 私たちは、ずいぶん長い間、この地域(中東地域)の不安定さの根本的な源は、イランではなく、イスラエルであると知っていました

Yoko Marta
24.11.25 04:47 PM - Comment(s)

オマーン外相 ー 私たちは、ずいぶん長い間、この地域(中東地域)の不安定さの根本的な源は、イランではなく、イスラエルであると知っていました

オマーンのバドル・アルブサイディ外相は、先週、バーレーンで開催されたIISSマナーマ・ダイアローグ会議で、とても重要な発言を公式に行いました。

私たちは、ずいぶん長い間この地域(中東地域)の不安定さの根本的な源は、イランではなく、イスラエルであると知っていました

これは大きな転換地点です。
特に、この演説で、「ずいぶん長い間と明言したのは重要です。
今回の2年に続く残虐なパレスチナ人虐殺のずっと前から起こっている、イスラエル建国前から続く、イスラエルのテロ行為(イスラエルの建国を行ったのは、移住者植民地主義をイデオロギーとして、ヨーロッパ大陸から渡ってきたヨーロピアン白人ユダヤ人ー移住者植民地主義は原住民の消去が必ず伴う)、イスラエルの隣国への攻撃・侵略・占領(パレスチナ地域だけでなく、南レバノン・シリアの一部も含む)を、公式に認めたことになります。

今まで、中東地域のアメリカの大きな影響下にある国々ーほとんどは王家の専制政治で石油リッチ国で国民からの支持はないーは、アメリカの政治指針である「イランは邪悪な国で中東に不安定さをもたらす源であり、イスラエルは、中東の安定を保ついかりの役目をしている」に従い、多くのアメリカ軍事基地をおいて、アメリカをサポートし続けてきました。
アメリカとの関係を保つために大金を注ぎ込みつづけているのは、多くの元植民地国が長い間の草の根の人民解放運動で独立していくなか、元植民地宗主国から特権を与えらえていた王家や富裕層が、自分たちの権力と経済力を保ち続けるために、元植民地宗主国である西側の国の力を借りて、普通のひとびとの力を抑え込み、自分たちが、元植民地宗主国のかわりに権力の座に座り続けているからです。
石油などの資源は、国民みんなのものなのに、これらの王家は自分たちだけに富を集中させていて、国民からの支持はなく、国民からの抵抗で革命が起こると自分たちが地位や財力を失うため、西側の軍事テックを多用して、警察国家にし、国民からの抵抗を押さえつけています。
アラブの国々の政府が、ガザの虐殺についてほぼ反応がなかったのは、パレスチナ人民解放軍や抵抗組織によるイスラエルへの抵抗が実り、パレスチナの主権や基本的人権・自由などが実現すると、自分たちの地域にもその勢いが広がり、自分たちの特権が失われる可能性があるからです。

でも、イスラエルのカタール攻撃は、このアラブの石油リッチ王家(=政府)の対応を変えざるをえない方向に追いやりました。

数か月前に、カタールでガザ停戦の交渉中だったパレスチナ人交渉団に対して、イスラエルが暗殺を試みて爆撃を行いました。
パレスチナ人交渉団は、アメリカ政府の強い要求(アメリカとイスラエルが決めた条約にすぐに合意しなければ、虐殺をさらにひどい状態に加速するというもの)で、カタールに集合させられていて、イスラエルのパレスチナ側交渉団に対する暗殺未遂は、アメリカも加担したとみられています。
パレスチナ人交渉団は、セキュリティーに対しての対応が功を奏して、今回は暗殺されませんでしたが、民間人であるカタールの保安員や、ハマス政治部門の秘書や、パレスチナ人交渉団の家族が殺されたり、深刻な負傷を負ったことを忘れてはいけません。

カタールも、ほかの中東諸国(西側諸国や西側企業が自国の資源を搾取することを拒否しているのは、イランとイエメンぐらい)と同様、大きなアメリカの軍事基地をおき、その軍事にかかる費用も負担している上、アメリカ政府だけでなく、トランプ大統領個人や家族ビジネスにも大きな投資をしています。
カタールへのイスラエル攻撃は、アメリカが許可したことは明白で、カタールほど極端にアメリカに尽くしていても、アメリカはイスラエルの攻撃を許す、ということは、中東の国々は、どの国も安全ではない、というメッセージを送ったことになります。
イスラエルは、中東で唯一の核兵器所有国です。
イスラエルは、どの国際機関にも核施設の視察を許しておらず、正確に、どのぐらいイスラエルが核兵器をもっているかは不明です。
その上、イスラエルには、よく知られている軍事戦略、もしイスラエルの存在が危うくなると判断すれば、イスラエルにも影響が及ぶとしても、核兵器を使う、があります。
イランをはじめ、中東での核兵器撲滅を求めている声はあったものの、イスラエルは核兵器を手放す意図は全くありません。
これは、中東のどの国にとっても、大きな脅威ですが、西側諸国は、この事実については、無言です。

また、イスラエルを100パーセントバックアップしているアメリカは、世界で唯一、核兵器を市民に対して使った国だということは、よく覚えておく必要があります。
アメリカが原爆を落としたのは、非白人である日本人に対してであり、戦略上、原爆を落とす必要はなかったし、市民が密集している場所にそんな危険な爆弾を落とすことは戦争犯罪ですが、いまだに、アメリカ人や友好国の兵士を救った勇敢な行為、としてたたえられていることも、覚えておく必要はあります。
現在でも、非白人の命を白人の数百文の一、ゼロと思っているひとびとは多く、この命の価値のヒエラルキーが存在する限り、虐殺だけでなく、さまざまな差別や誰かを不当に悪く扱うことは止まりません

パレスチナ側の交渉人・交渉団への暗殺・暗殺未遂は、今回が初めてではありません。

この約1年前には、ハマスの政治部門の交渉役で、ガザでの停戦へ合意を行い、サインするだけだった状態のイスマイル・ハニヤさんがイランへ招かれている際に、イスラエルはイランに対して爆撃を行い、ハニヤさんを暗殺しました。
これは、イランの国家主権をおかす行為でもあり、国際法にも完全に違反しています。
イスラエルによる、パレスチナ人交渉人の暗殺は、交渉がまとまると、ガザでの虐殺を中止することになるため、イスラエルはガザの虐殺を続けるために暗殺を行ったとみられています。
これは、この機会に限ったわけではなく、イスラエル建国以来の70年ほどの間にわたり、パレスチナ側の交渉者がどの団体であっても(ハマスが結成される前はほかの人民解放団体で、ハマス以外にも多くのイスラエルの占領・アパルトヘイト・エスニッククレンジングに抵抗する団体が存在し続けている)、交渉団や交渉者がイスラエルによって暗殺されることは、パターンとして続いています

このパターン(イスラエルの国家テロリズム)は、イスラエルの近隣の多くの国々対しても行われています。

今年(2025年)6月に、アメリカとイランが核についての交渉中に、イスラエルはイランを(国際法違反で)急襲し、1000人以上のひとびと(多くは市民で、女性や子どもたち)を殺しました。
アメリカのトランプ大統領は、核施設を含むイランに対するイスラエルの攻撃を完全にバックアップしていたことを、後に自慢げに語っています。
このイスラエルの国際法違反のイラン攻撃の際に、イスラエルが、AIの一人者であった若い数学者や、核科学者である多くの大学教授などの市民を、車に仕掛けた爆弾などで、密集した街のなかで狙って殺したのは、イスラエル国家の行った国家テロリズムとしかいえません。
大学教授のような市民を一人でも殺すのも完全に間違っていますが、その一人を殺すために、そのひとが住んでいるフラット(100人近くが住んでいる)への爆撃を行い、多くの子どもや市民を殺したり深刻な負傷をさせることが許されて言いわけがありません。
たとえ、軍隊の将校だったとしても、戦闘現場で戦闘に実際に参加していない場所と時間ー家族と晩御飯を食べた後、眠っているところーに、爆撃を行うことは、当然ですが、国際法違反であり、モラルとして間違っていることは明白です。

 イスラエルの国家テロリスト行為は2023年10月のハマスによるイスラエルへの攻撃の後にはじまったわけではなく、イスラエル国家建国自体がテロリスト行為や虐殺を伴っており、その後も、ずっと、イスラエルは、ジャーナリストや風刺画家も含めた多くのパレスチナ人を世界各地で暗殺しています。
もちろん、ほかの中東諸国もこれについてはよく知っていますが、アメリカとの友好関係を保つため、誰もこれを公的に非難することはありませんでした。

イスラエルの国家テロリズムや国際法違反の多くが責任を取ることなく続いているのと同様、西側諸国(アメリカやイギリスなどの元植民地宗主国)も多くの国際法違反をおかした侵略を行い続けていますが、「世界的なテロとの戦い」「ドラッグ戦争「ナルコテロリスト(麻薬を密輸・売買するテロリストという意味)の撲滅」などのプロパガンダと、法律の悪用などで、イスラエル同様、全く責任を取ることがない状態がずっと続いています。
責任を取るどころか、アメリカ政府は、イスラエルに対してパレスチナ人虐殺に関する逮捕状を出した国際刑事裁判所に制裁をかけたり、イスラエル人がパレスチナ人に対して行い続けている犯罪について国際的な基準に沿って証拠をあつめ記録を残し、国際刑事裁判所や国際司法裁判所に訴えることを助けている団体などが活動できない状態に追いやりました。
アメリカの議員の中には、「国際法は、アフリカなどの黒人に適用するもので、文明化されている白人や西側諸国には適用されるべきではない」と明確に公言したひともいて、これは、多くの白人特権層が口には出さなくても、共有している考えだと思われています。
もちろん、これは間違っています。
法律も国際法も、誰にでも公平に適用されるべきで、そうでなければ、法律は機能しません。

パレスチナ人を含む非白人や、イスラム教徒(多くは非白人)は、西側メディアやカルチャー(映画や文学、ドラマなど)では非人間化され、すべてがテロリストのような扱いを受け、その家族の命も全く価値がないように扱われますが、彼ら・彼女らも、地球上の誰もと同じように、家族や周りのひとを愛し愛され、夢も希望もあり、同じように生きる権利のある、命の価値が同じ、ヒューマニティーの仲間だという見方を忘れないことは大切です。

イスラエルは、ここ2年ぐらいで、パレスチナ地域の虐殺を含めて、7か国に爆撃を行っています
ガザ・ウエストバンクでは、今も毎日、虐殺とエスニック・クレンジングが続いていて、多くの人々が殺されています。
停戦の第一段階の条約が結ばれて以来、パレスチナ人側は条約を遵守していますが、イスラエル側は毎日条約の違反を起こし、医療品や食料も条約で合意した量の20パーセント程度しか入ってこず、9割以上の家屋が破壊され、テントやプレハブ住宅が必須にも関わらず、これらのガザ地区への搬入はイスラエルが許可しないため、入ってきません。
また、上下水道施設などもイスラエルが徹底的に爆撃したために、これらの施設の修復は緊急に必要ですが、修復に必要な部品の搬入もイスラエルがブロックし続けています。
イスラエルは、ガザの58パーセント近い地域を違法占領していますが、ガザの残りの地域には、撤退する前に、家屋や上水道施設を徹底的に破壊するだけでなく、ぬいぐるみや食料の入っている袋に爆弾をいれて残したことで、多くのパレスチナ人の子供たちが手や視力を失っていることが報道されています。
これらの条約違反を知りながら、この条約を保障したアメリカは何もしません。
ヨーロッパ諸国も、黙ったままです。

イスラエルは、国際司法裁判所で、ガザとウエストバンク・東エルサレムに存在すること・これらの地域をコントロールすること自体が国際法違反であり、即刻これらの地域から去らなければならない、との判決にも関わらず、完全に無視しています。

最近では、罪状なしでイスラエル兵たちに誘拐され、牢獄に閉じ込められていたパレスチナ人男性に対して、イスラエル兵士たちが集団レイプを行ったヴィデオがニュースで放映され、この事実が流出することを許可したイスラエル軍の元法務トップが逮捕されました。
イスラエル軍の元法務トップの女性は、最近、自殺を示唆するようなノートを車に残し1日ほど行方不明となっていましたが、無事に発見されました。
元法務トップは、イスラエルの法律違反もきちんと裁かれなければならない、という職業上の倫理から、この犯罪を調査したわけではありません
このイスラエルによるパレスチナ人人質の集団レイプはすでに(イスラエル側)医師も確認してしていて記録がきちんとあり、もし、イスラエル国内でこの犯罪を扱わなければ、イスラエルは司法がまともに機能していない国として、国際司法裁判所からの介入があることが確実だったので、それを避けるため、仕方なく調査を開始したと見られています。
この調査も、まともに調査する意図はなく、調査を行っているという見せかけの事実をつくり、時間稼ぎを行い、国際的な調査をブロックするためだったと見られています。
それでも、何がイスラエル国内で起こったかというと、「(パレスチナ人を)レイプする権利」を求めて、市民たち(イスラエルの市民には兵役の義務があり、兵役が終わった後も予備兵としていつでも呼び出しがかかるーイスラエルはさまざまな国々に侵略している)や兵士・イスラエル政府の閣僚たちが、レイプ犯人であるイスラエル兵士が捕らえられていた場所に押し入り、彼ら(レイプ犯人たち)を解放するよう要求しました。
これらのレイプ犯人の一人は、ニュース番組で顔をみせ、勇気があるとして、国内で人気者だそうです。
ほかのレイプ犯人たちは、顔をバラクラバで隠してニュースやテレビに登場しますが、一様に、自分たちには自由に(パレスチナ人を)レイプする権利があり、自分たちを犯罪者として扱うのは完全に間違っていて、モラルにも反している、と公式な場で何度も明言しています。
これらの犯罪を扱っていた元法務トップは、毎日のように殺人予告を受け取った上、結果的にイスラエル兵によるパレスチナ人人質に対する集団レイプを調査・公表したことが原因で解雇され、今は、国に対して侮辱するようなことをしたということで逮捕されました。
これが、まともな社会・国であるわけはありません。

この犯罪の被害者であるパレスチナ人男性は解放されたものの、あまりにも残虐なレイプで、腸が破裂し20回以上の手術を受けたものの、今も負傷の後遺症・医学的問題をかかえているそうです。
この男性は、被害者であるにも関わらず、この事件が大きく報道されることで、さらにイスラエルから暗殺される危険が高まることを恐れて暮らしています。

イスラエル兵のパレスチナ人の誘拐・罪状なしでの逮捕・抑留・拷問、イスラエル兵のパレスチナ人に対するレイプや性犯罪は、イスラエル建国時から数十年にわたって続いているにも関わらず、いまだに西側諸国のエリートたち(政治家や大富豪、ジャーナリストなど)の間では「イスラエルは中東唯一の民主主義国」というプロパガンダがまかり通っています。
また、西側主流メディアでは、全く証拠のないハマスによるイスラエル人レイプに関しては、「レイプ」と記述するにも関わらず、イスラエルが長年行っていて、国際的な基準にしたがって調査も行われ、国際裁判所や国際団体が認めているイスラエルによる組織的・構造的なパレスチナ人に対するレイプについては、決して「レイプ」ということばを使わず、「イスラエルが起こしたとされる(← 事実ではないのでは、という疑いの気持ちを無意識に読者に引き起こさせる)パレスチナ囚人(← 囚人は裁判で有罪だと証明されて牢獄に入っているひとで、多くのパレスチナ人は罪状なしでイスラエルに誘拐されて一方的に牢獄に入れられている人質)への虐待(← イスラエル裁判所もレイプであると認めているし、確固とした証拠もあるにも関わらず、虐待というあいまいなことばを使用)」と、イスラエルが行っていることは、すべてホワイト・ウォッシュします。
西側主流メディアだけをみているひとたち(多くは白人中流・上流階級の中年・老人)は、いまだにイスラエルが行っている残虐な行為やパレスチナ人への虐殺を否定することが多いのは、メディアが虐殺に加担しているからです。

でも、世界中の若者たちや、良心のある市民たちは、西側エリートの嘘に気づきはじめ、地球上のあちこちで、虐殺を止めること・イスラエルの国際法違反のパレスチナ地域の占拠・アパルトヘイトを即刻やめさせ、パレスチナ人が解放され、主権をもって暮らせる世界を求めて、デモンストレーションや市民不服従(武器工場の閉鎖、港湾労働者がイスラエルへの武器の輸送をブロックするなどを行い続けています。

レバノンでも、1年前に停戦条約を結んだにも関わらず、イスラエルは一方的に停戦条約を破り続け、毎日子どもたちを含む、市民たちを殺しています。
西側主要メディアでは、レバノンについての報道はほぼ存在しません。
イスラエルに都合の悪い事実を報道しない、という選択も、虐殺に加担していることになります。

イスラエルのスモトリッチ財務相は、「自分たちは神に選ばれた民なので、どんな法律も適用しない(どんな法律よりも上の存在)」と明確に公言しています。
この発言が出てくるのは、実際、イスラエルが、パレスチナ人たちに何をしても罰せられたり、責任を取らされたことはなく、実際に、イスラエルにはどんな国際法も適用されないことが明らかだからです。
今回の2年にわたる虐殺が起こる前に、イスラエルのたびかさなる国際法違反・戦争犯罪などがきちんと罰せられていれば、虐殺までエスカレートしなかったでしょう。

これらの市民への殺人にdesensitised (デセンシタイズド/何も感じなくなる、鈍感にさせられる)のは、とても危険なことは、よく意識しておく必要があります
ガザでの虐殺が始まったとき、ガザの病院への爆破は戦争犯罪だとして、西側主流メディアでさえ一大事として報道しましたが、病院や学校といった公共機関へのイスラエルの爆撃が続き、数役人・数千人が殺されると、毎日100人以上のパレスチナ人が殺され、その中には、毎日約30人ほどの子どもへの殺人がイスラエルによって毎日行われたにも関わらず、西側主流メディアでは、ほとんど報道されなくなりました。
虐殺は、軍事複合産業だけでなく、多くの大企業に多大な利益を生み出すため、西側エリートやほかの地域のエリート(非西側世界で、自国の豊かな資源を自国民から盗み取り、西側企業にわたすことで、賄賂などの大きな利益を個人的に受けている少数グループ)にとっては、誰の命が失われようと、彼らは全く気になりません。
でも、多くの市民たちが、虐殺が続いていることに怒り、デモンストレーションや市民不服従などを起こし、自分(エリート層)の利益や政治的な権力に影響が出ると、なんらかの行動を取らざるをえなくなります。
だからこそ、私たち市民が、何が起こっているかをきちんと観察し続け、ヒューマニティーに反することに対して、これらのエリートたちに、私たちはこれに反対していると表明し続けることは、とても大切です。

スーダンでのアラブ首長国連邦が完全バックアップする武装集団が虐殺を行っていること、アメリカ政府がベネズエラの石油を奪い取るために政権交代を狙っていて、その前置きとして、ベネズエラ周辺の海域の漁船などを爆撃し、多くのひとびとを殺し続けていることも、イスラエルによるガザでの虐殺が、イスラエルがなんの責任を取ることもなしに続いていることとつながっています。
イスラエルが、虐殺を続けながらも、アメリカや西側諸国のバックアップを受け続けていることは、これらの犯罪を行うひとびとをさらに大胆にさせます。
また、西側主流メディアでは、南アメリカの漁船が爆撃を受けて完全燃焼して海に沈められ、ひとびと(南アメリカの漁師たちが大多数とみられ非白人)が殺されているにも関わらず、南アメリカの非白人はみんな麻薬の密輸・密売者(=アメリカ政府が殺すのは、アメリカ国民を守るために必要な自己防衛)といった虚偽の印象・ナラティヴをつくりだし、ある一定の国や地域出身のひとびとを、正当な法律上の手続きなしで殺すことを正当化する、製造された合意をつくりだしていることにも、気づいておく必要があります。

麻薬の密輸が疑われる場合、警察が船に乗り込み調査を行い、調査で麻薬が発見されれば、乗組員を拘束し、弁護士などを手配して裁判を行うことは法律にかなっていますが、なんの証拠もなく、突然、爆撃して殺すことが許されるわけはありません。
実際、ベネズエラ付近の海上で殺された多くの船は、アメリカに密輸を行うのに十分な燃料ももっておらず、方向的にも、アメリカではなく自分たちが出発した港へと戻っている途中であることが確認されています。
たとえ、麻薬の密輸をしていたとしても、法律の手続きなしに爆撃して殺すことは、完全に国際法違反です。
違法に殺されたこのひとたちには、家族も友人もいて、自分の夢や希望もあった、私たちと同じ一人のひとであり、その周りのひとたちにも大きな悲しみを与えていることにも気づいておく必要があります。

殺されていいひとも存在しないし、誰かを好き放題に殺す権利は、アメリカ政府を含めて、誰にもありません。

自分は西側諸国(日本や韓国・台湾も含む)に住んでいて、これは、自分には全く起こりようのないことだと思うかもしれませんが、アメリカでは、移民への(多くは違法な)逮捕・監禁は、アメリカ国籍でないひとが標的 → アメリカ国籍の非白人が標的 → アメリカ国籍の白人も標的と、一気に加速したことを覚えておく必要があります。
逮捕されたひとびとの圧倒的に大多数が、犯罪歴もない普通の市民だと判明しています。
この標的選択・逮捕のテクノロジーには、イスラエルがパレスチナに対して使ったドローン・偵察技術・AI技術・ソフトウェアなどが使われています。

イギリスでは、パレスチナ人虐殺を許容する発言は問題なくても、パレスチナ人虐殺に反対する団体がテロリスト認定され、この団体をサポートするというプラカードをもって静かに立っているだけの多くのひとびとが逮捕されることが続いています。
でも、明らかに虐殺に加担しているイギリス政府の政治家たちは、なんの責任も取っていません。
イギリス生まれ・育ちでイギリス国籍のユダヤ系イギリス人が、わざわざ、イスラエルのパレスチナ人虐殺に加わるめにイスラエル軍に入隊し、虐殺を行った後にイギリスに帰国しても、そのまま以前の職業に戻り、なんの責任も取らないにも関わらず、虐殺に反対することを表明した多くのひとびとが、解雇されています。
これは、完全にUpside-down(アップサイド・ダウン/上下さかさま)の世界です。

このような状況だからこそ、今回のオマーンのバドル・アルブサイディ外相が語った事実ーイスラエルが中東地域の不安定さを引き起こしている犯人ーには、大きな意味があります。
アメリカは、これらの中東諸国は、自分たちの言いなりになり、イランへの攻撃にも加わる・協力する(中東地域のアメリカ軍基地の利用など)ことを当たり前と受け取ってきましたが、バドル外相が、上記の事実を公言したことと、中東地域の真の安定のためには、いくつかの国を取り除いて孤立化させるのではなく、イランもイエメンもすべての国々が一緒に対等な立場で話し合い、協力関係を築くことが必須、と公言したことからも、イランへの攻撃を行うのであれば、イスラエルとアメリカ・西側諸国だけになる可能性が高く、イランへの攻撃をとどまる可能性もあるとみられています。

イランの核については、アメリカの一方的な要求である、イランは核を完全にあきらめろ、というのは、とても考えられないことです。
地球上のすべての国々には、平和的な核使用を目的とした核開発をすることが認められています
核は、がん治療や甲状腺治療などにも使われ、アメリカからの(国際法違反であると多くが認める)深刻な経済制裁が数十年にわたって続くイランでは、医療だけでなく、電力供給のためにも欠かせないものです。
経済制裁は、戦争での直接被害よりも多くの死者(市民が標的となる)を出すことで知られています
例えば、一般的な病気の薬が手に入らない、食料が入ってこない、必要な医療技術が禁止されてはいってこない(スキャンなどに必要な部品が輸入できない)など、市民の生活・健康・命に大きな影響を与えます。
経済制裁は、戦争で直接爆撃するかわりに、間接的に市民を苦しめ殺し、不満をもった市民たちが暴動を起こして、西側のいうことをきかない政権(イランとベネズエラは石油が鉱物が豊富な国で、それらを自国の市民のために使うため、これらの資源を西側企業のコントロール下におくことを拒否し続けている)の内部崩壊を狙ったものだという見方もあります。
アメリカや西側諸国は、これらの西側の言いなりにならない政権が倒れ、自分たちが資源のコントロールを握れる傀儡政権をおくことを好みますが、それが不可能であれば、リビアのように、完全に経済と社会が崩壊された状態にし、そこに西側大企業が入り、石油や鉱物などの利権を奪い取り、大きな利益を出します。
実際、これらは、アメリカや西側諸国が、百年以上にわたって行っていることです。

アメリカでは、半年ぐらい前には、不可能にしか見えなかった、ニューヨーク市長選でのゾーラン・マムダニさん当選が実現しました。
ゾーランさんは、ごく普通の圧倒的に大多数の市民たちの生活や安全を保障する政策をかかげ、公共施設・公共トランスポートの充実・無料化や、補助金のサポートによるスーパーマーケット(誰にも必要な食料が安く買える)の設立、家賃の高騰を防ぎ誰もが住居を確保できるような政策を掲げています。
ゾーランさんは、トランプ大統領をはじめとする、多くの権力・財力のあるひとびと、団体からの強い逆風を受けていますが、多くの市民が支持しているのはゾーランさんの、市民のための政策(大企業や大富豪の利益を増やすためだけの政策ではなく)なのは、明らかです。

市民は何も変えられない、と思うのも無理はないかもしれませんが、実際には、アメリカなどの西側諸国も、マジョリティーである市民が団結すれば、人口では、数パーセントの大企業の経営者や大富豪、政治家の力を越えられます。

そのためには、私たち普通のひとびとが、世界で、自分の地域で、何が起こっているかを、鋭く観察し続け、行動を起こし続ける必要があります。
たとえ時間がかかっても、小さな変化が起こり続ければ、それが大きな変化へとつながります。

参考記事:
https://responsiblestatecraft.org/busaidi-israel-iran/

Yoko Marta