戦争のドラムに踊らされないことの大切さ ①

Yoko Marta
05.02.26 06:10 PM - Comment(s)

ドラムを鳴らしているのは誰?ー「戦争以外に、選択はない」という製造された合意にのみこまれないために

日本に住んでいると、西アジア(イランやイエメン、パレスチナなど)、中央・南アメリカ(ベネズエラやホンデュラスなど)は、どこか遠い国で、そこで何が起ころうと、自分には関係ないと思うかもしれません。

でも、実際には、世界で起こっていることはつながっていて、点と点をつないで考えること、システム・構造をみぬくことは、とても重要です。

現在、アメリカ政府が、地球上のさまざまな地域に(違法である)爆撃、(違法である)主権をもつほかの国(ヴェネズエラ)の大統領を誘拐、(違法である)イランへの爆撃を行い、侵略やイラン・リーダーの暗殺をほのめかしていること、(違法である)デンマークの自治領であるグリーンランドを軍事的に奪うことなどを明言するなどし、今までの「International order(インターナショナル・オーダー/世界の秩序)」や、Rule of law(ルール・オブ・ロゥ/法律ー国際法などーが重んじられていること)」が、トランプ大統領のクレージーな行動によって壊された、とする説も飛び交っています。

でも、トランプ大統領のような個人だけに注目することは危険です。

なぜなら、こういった個人はsympton (シンプトン/症状)であり、トランプ大統領が退陣しても、構造が変わらない以上、同じことは起こります。
実際、トランプ大統領が行っていることは、今までの歴代のアメリカ大統領と違いはなく、大きな違いは、今までは「民主主義・自由・人権を世界中にひろげる/独裁者を倒し、民主主義をもたらすのは、アメリカの重責」といった美しい建前(プロパガンダ)を使っていたところに、本当の目的である「石油や鉱物、戦略的に重要な地域はすべてアメリカのもの」をおおっぴらに明言しているだけです。

アメリカのプロパガンダは根強く、「アメリカは、民主主義と自由と人権の国」と幻想をいだいているひとびとは、世界にたくさんいますが、何を言っているかではなく、実際にアメリカが行っていること、行ってきたことをよく観察することは重要です。

プロパガンダを忘れて、アメリカという国の近年の行動、歴史的な行動をみると、アメリカは、世界各地で、違法な軍事侵略(大統領や首相の暗殺や軍事クーデターも含む)・違法な経済的な戦争(経済封鎖や経済制裁ー直接爆弾を落とすより、多くの死者を出す)を起こし、世界中の多くの市民たちを殺し、民主主義を破壊し、軍事独裁主義を行うアメリカの傀儡政権をおき(特に西アジア、アフリカ、中央・南アメリカ)、その国の市民が抑圧・殺されることに加担してきました。
歴代アメリカ政府は、石油・鉱物などの資源を手に入れるためであれば、アメリカ合衆国以外に住んでいる普通の市民が大量に死んでも、全く気にしません。

アメリカは、2025年の一年間だけで7か国(ヴェネズエラ、シリア、イラク、イラン、ナイジェリア、イエメン、ソマリア)を爆撃しました。
アメリカに攻撃されたどの国も、アメリカ本土に対して攻撃を行ったこともなければ、アメリカに攻撃を行う脅威も全くなく、アメリカ市民がこれらの国々の攻撃によって負傷したり殺される可能性はゼロです。

これは、anomaly (アノマリー/異常・特例)ではなく、誰がアメリカ大統領かに関わらず、ずっと起こり続けていることです。

例えば、オバマ大統領は、大統領に就任してすぐ、ノーベル平和賞を授与しましたが、就任中、7か国へ爆撃を行い、西アジアでも文化的・経済的に一番栄えていたリビア(豊富な石油・ゴールドなどを国有化していて、主権をもった経済を行っていた数少ない国の一つ)を廃墟にしました。
リビアの豊富な資源は、アメリカ企業がハゲタカのように独占しました。
また、法律の悪用で「他国内での人権侵害などを理由に(他国に対して)爆撃や侵略を行うことを合法化」させたことでも知られています。
これは、アメリカが一方的に「人権侵害が起こっている」という判断をくだして侵略を正当化することを可能にしました。
アメリカの盟友国の多くは、独裁・専制主義の国々(西アジアでは、イランとイエメンを除くほとんどの王家独裁・専制主義の国々ーサウジ・アラビアやアラブ首長国連邦など)で、深刻な人権侵害を起こしていることは誰もが知っていますが、これらの国々に対して、批判をすることもなければ、攻撃することもないことは、アメリカ政府のダブル・スタンダードとして、よく覚えておく必要があります。
また、ドローンを使った攻撃や暗殺を数多く行ったことでも知られていて、誤爆も多く、イエメンでは、ウエディングの行進をしていた車の列をドローン爆撃し、少なくとも12人を殺害し、20人以上を負傷させましたが、証拠がきちんとあるにも関わらず、アメリカ政府は全く責任を取っていません。
ドローンの多用・暗殺を数多く行ったのは、全面的な「戦争」となると、議会の許可が必要で、時間もかかり、許可がおりない可能性も高かったからだとみられています。
オバマ首相は、歴代首相の中でも、moderate (モデレィト/中庸)だとされていたことも、覚えておく必要があります。
オバマ首相の(公表されている)数々の戦争犯罪・国際法違反が、「中庸」であれば、ほかの歴代大統領のおかした戦争犯罪・国際法違反がどれだけひどいものかは、ある程度想像がつくと思います。
これは、誰が大統領かが問題なのではなく、アメリカの政治・経済・社会構造の問題であり、システムが変わらない限り、大統領になったひとは、世界中に暴力と脅威をふりまき、世界中の多くの無実の市民たちを殺し続けることに、変わりません。

市民を殺すことの正当化によく使われるのは、「巻き添えになる市民がでるのは、(私たちアメリカ人)のセキュリティーを守るためには仕方ない(=アメリカ人ー特に白人ーの命は、地球上のほかの地域の非白人たちの命よりずっと価値がある/非白人の命の価値はゼロかゼロ以下)」ですが、アメリカが攻撃した国々は、アメリカ市民やアメリカ本土を攻撃したこともなければ、攻撃する脅威すらもっていません。
アメリカ政府が、地球上のあちこち(アメリカ本土だけは除く)で実際にテロ行為や殺人を行うことで、世界中に不安定さをもたらしたにも関わらず、それに対しての正当な抵抗やバックラッシュが起これば、それは「テロ/野蛮で卑怯/復讐しなくてはならない(=多くの市民も共犯者で、殺してもいい)」だとフレーミングされることにも、よく目を開いている必要があります。

私たちのヒューマニティーはつながっていて、上記のように、誰かの命をExpendable(エクスペンダブル/犠牲にしていい)とすることがnormalise (ノーマライズ/当たり前のこととして受け入れられる、誰も疑問にすら思わないこと)されると、それは世界中の誰にでも適用されることには注意しておく必要があります。

現在、アメリカ本土で起こっている、ICE(アイス/アメリカ合衆国移民・関税執行局)が白人のアメリカ人市民のデモンストレーターすら、白昼堂々と射殺し、それについてアメリカ政府は責任を問うどころか、「彼ら(デモンストレーター)は、domestic terrorists (ドメスティック・テロリスツ(国内のテロリストたち)だ(=ICEが射殺するのは正当)」と違法殺人を正当化しているのは、「ブーメラン現象」で、アメリカが、ほかの国々の市民に対して行ってきたことが、アメリカ本土の市民に対して行われている現象だとみられています。
犠牲にしていい、巻き添えにしていい命はありません
地球上のどこにいても、誰であっても、私たちの命の価値は、同等に貴重であり、尊重されるべきものであることを心に留めておくことはとても大切です。

日本は韓国・台湾などと同じく、アメリカのライヴァルとなりえる中国を軍事的に抑え込むために、第二次世界大戦後は、アメリカの軍事戦略の傘下に組み入れられたこと、またアフリカ大陸や西アジアのように豊富な資源は全くもっていなかったために、(第二次世界大戦以後は)アメリカからの軍事介入や経済的な戦争(経済封鎖・経済制裁)を受けず、自国の経済を計画的に発展することを許された、とても少数の国々の一つであることを覚えておく必要があります。

また、上記に関連して、現在の世界の経済・社会の仕組みのもととなっている、帝国主義について考えることは大切です。

15世紀以降の、帝国主義と、帝国主義のアレンジメントを必要とする資本主義が両輪となって、西ヨーロッパの白人・キリスト教徒が、地球上の隅々まで侵略・破壊を繰り返しましたが、日本は、西ヨーロッパによる植民地化(植民主義は帝国主義から派生したもの)から免れた、数少ない国のひとつです。
日本(日本は後期に帝国主義を追求した、唯一の非白人マジョリティーの帝国主義国)とエチオピアなどのとても少数の国々を除いては、すべてが西ヨーロッパ帝国主義の国々の植民地国となり、帝国主義国による虐殺・資源や土地・家屋の略奪、エスニッククレンジング、重圧な税金、人為的な飢餓、奴隷化、自然の破壊などに苦しみました。

地球上のどの地域も、そこに住んでいるひとびとが経験した歴史や、アメリカの強いプロパガンダなどで、それぞれの視点を形成しますが、地球上の約8割が植民地化された経験をもつのに対して、2割弱の帝国側にいた経験しかない日本で育つことは、世界の大多数の被害者側(今も経済的帝国主義の抑圧に苦しみ続けている)の視点や歴史を見失いがちなことには、気を付けておく必要があります。

アメリカを盲信して、「アメリカは強い国で、強い側にいれば100パーセント安全」と思い、アメリカの言いなりになることは、自ら破滅を選んでいることになります。

大体、核兵器保有国はたくさんあるにも関わらず、核兵器を市民に対して使ったのはアメリカだけで、既に敗戦することが明らかだった日本に使ったのは、日本人が非白人だったこと、ロシアへの脅しだったことからも、アメリカ政府が、日本人(=非白人)の命の価値をゼロ、あるいはゼロ以下とみなしていることは、明らかです。
現在でも、アメリカ政府が日本市民へ原爆を落とした行為は、アメリカを含む西側諸国の一般的な意見では、「多くのひとびと(=アメリカやアメリカの盟友軍)の命を救った英雄的な行為」であるとたたえられていて、多くの日本市民を標的にして大量殺人したことへの反省も悔いも、全くみられません。
残念ながら、これは、ヨーロッパで暮らしていると、普段は思いやりがあるヨーロピアン白人でも、上記の見方から違った見方をすることが難しいことは感じます。
ただ、年齢が若いひとびとの間では、帝国主義の影響などにも目が開かれていて、上記の見方から完全に離れて、「誰であっても、どこに住んでいても、ど市民の命を奪うことは完全に間違っていて正当化しようがない」という信念をもったひとびとも増えてきています。
でも、もっと年をとった人でも、自分にとっては心地悪い事実から目をそらさず(白人やヨーロピアン文化は、世界で唯一の洗練された、モラルの高いものといった思い込みを壊す、歴史的な事実を知る)、ヒューマニティーに目を向ければ、考えを変えること、行動を変えることは、いつでも、どの時点でも可能です。

大事なのは、アメリカのような世界中に脅威を与えている国に盲目的に従うことではなく、ほかの国々と協力して、お互いの国の主権を尊重し、同等なパートナーとして、地球環境のバウンダリーを守れる範囲で、すべてのひとびとが人間的な発展(教育は無償で誰もが簡単にアクセスできる、心身障害などがあれば、それに合わせたサポートを無償で受けられる、自然などは公共の場として誰にも無料で開放されている、など)・生きていくために必要なものに誰もが簡単に平等にアクセスできる環境をつくっていくことです。
生きていくために必要なものとは、少なくとも、以下が挙げられます。
ー 無料か格安の医療や福祉に簡単にどこからもアクセスできる
ー 健康に生きられる食物が格安に簡単に手に入る
ー 水やガス、インターネットや電子機器は、誰もが簡単に無料か格安で手に入る、アクセスできる
ー 安全に住むことのできる無償の住居

戦争となると、死んだり負傷する大多数は、普通の市民たちです。
戦争を進んで引き起こす、いわゆるエリートたちは、戦争により、自分や自分の家族・周りのひとたちの命や富に影響することはないことを知っていて、逆に、戦争によって、さらに富を増やすことができる可能性すらあります。
アメリカのような帝国だけでなく、戦争でとてもネガティヴな影響を受ける国でも、その国のエリートたちは、二重にも三重にも守られた環境をつくりだしていて、その国の8割以上の普通の市民たちに「戦争以外に選択はない」と戦争のドラムを鳴らし、踊らせようとするかもしれませんが、踊らないことは大切です。
もし、自国の政府が、自分たちエリートが利益をえるために、8割以上の自国の市民たちを売り、アメリカの戦争のドラムに踊らせるように仕向けていれば、それに気づき、NOを突きつけることは大切です。
選挙の投票は、それを表明するひとつの行動です。

アメリカ、あるいは、国際大企業の利益のために、ほかの国の無実の市民たちを殺すことや、自分や周りの人が殺されることを受け入れていいわけがありません。

アメリカは、戦争に対して多額の国費を費やし、国外で多くの違法侵略・違法戦争を引き起こし、現在は、2年以上パレスチナ人虐殺にも100パーセント加担し、アメリカ軍事複合業界(軍事企業だけでなく、データ企業、重工業なども含む)は、多額の利益をあげていますが、鉄道などの公共機関はまともに機能せず、個人が破産する一番大きな原因は医療費という、人間として発展するための最低限の条件すら満たすことができません。
そんな国に盲目的に従うことが、どんなに馬鹿馬鹿しいことかは、普通に考えれば、誰でもわかると思います。

次は、アメリカの、戦争へのドラムの典型的なリズムを、過去に起こった/現在おこっていることからみて、パターンを見抜きます。

Yoko Marta