なぜ、いわゆる「リベラル」民主主義は、凶暴なのか?
経済人類学者のJason Hickel(ジェイソン・ヒッケル)さんが、現在起こっている、帝国主義的な戦争・攻撃に対して、分かりやすいコメントを載せていたので、その解説を簡単に。
ジェイソンさんのコメントは、ここから見ることができます。
このコメントは、以下が背景となっています。
(背景を知らず、コメントだけ見ても、意味が伝わらないと思うので)
・ アメリカ・イスラエルによるイランへの違法侵略戦争(西側諸国ースペインを除いた区ヨーロッパの国々ーは、アメリカ・イスラエルの完全な違法行為については沈黙し、イランの正当な権利である自衛権を行使していることを強く非難し、既にアメリカ・イスラエルの違法攻撃に間接的に加わっている)
アメリカとイスラエルの違法攻撃が始まってから10日ほどで、既にイラン市民の死者は少なくとも1200人だとみられ、負傷者は、約1万2千人だとみられています。
そのうちには、完全な戦争犯罪である、小学校への爆撃で殺された170人近くの子供たちー子どもたちを校舎の外で待っていた親たちが爆撃をみて校舎に飛び込んで子どもを助けようとして、ダブルタップ攻撃で殺されたーも含みます。
また、大きな戦争犯罪である、イランから3000キロ以上離れたインド洋で、インド政府に招かれてパレードを行った若いイラン海兵(演習のため、全く武装していなかった)がイランに向けて航行する途中に、アメリカの潜水艦によって爆撃され、アメリカの攻撃が戦争犯罪であるだけでなく、爆撃で海に投げ込まれたイラン人海兵たちを助けなかった、という信じられないレベルの犯罪を行ったことも判明しています。
スリランカ政府が救助を行い30人程度の救助は行われたものの、アメリカ政府は、真実が知られることを恐れ、スリランカ政府に対して、救助された海兵さんと、遺体をイランに渡さないことを要求したそうです。現在のところ、プレッシャーに抵抗して、スリランカ政府は遺体をイランへと渡すことになりましたが、救助された海兵さんをイランへ戻すことは合意がされていないようです。
そのほかにも、数千年の歴史があるイランには多くの文化遺産がありますが、それらへの爆撃、救急隊員・病院・警察などを狙った爆撃も起こっています。
アメリカ・イスラエルは、イランの石油施設への爆撃を行い、石油が都市の川にも流出し、あちことで火災が起こり、その後は、そのガスが空中にあがり、毒性のある黒い雨を降らせています。これは、将来的にがんを引き起こす可能性がとても高く、土地や地下水を長年にわたって汚染し、この影響で数十年にわたって、がんだけでなく、免疫系の病気なども引き起こすとみられています。
もちろん、これも戦争犯罪です。
「自由や人権、国際法の尊重」などを声高にグローバル・サウスに説教する西側諸国からは、アメリカ政府とイスラエル政府の犯罪について、なんの批判もあがっていません。
・ アメリカと西側諸国が完全バックアップしている、イスラエルによるパレスチナ人虐殺・パレスチナ人に対するエスニッククレンジング ー 2年以上にわたって続き、停戦合意が2025年10月に結ばれた後も、パレスチナ抵抗組織は条約を守っているにも関わらず、イスラエルは条約を破り続け、ジャーナリストや病院関係者を狙って殺すこともとまらず、停戦合意の後のパレスチナ人死者(多くは子どもと女性)は640人をこえ、負傷者は少なくとも1700人だと発表されています。
緊急医療が必要なひとがガザの外に出る許可も、イスラエル政府が許可を出さず、毎日多くのひとびとが死んでいます。
薬や食料、冬の気候に耐えられる一時的なプレファブ住居などもほぼ入ってこない状況が続き、寒さと飢えが続き、普通なら死なないような病気で死んでいく人たちも絶えません。
ウエストバンクでも、ユダヤ系イスラエル人たちによる、パレスチナ人に対する暴力・殺人・家や農地・放牧地の乗っ取りや放火・破壊はとまらず、多くのひとびとが住む場所や農地・放牧地を失い、路上で暮らすことを余儀なくされている場合もあります。
イスラエル議会では、パレスチナ人だけに対して死刑を適用する法律も通過しつつあります。
イスラエルは、多くのパレスチナ人を違法に逮捕・抑留し、子供や女性も含めて、9000人以上がいまだに牢獄に閉じ込められているとみられています。
牢獄では、イスラエル兵によって、組織的に、パレスチナ人に対する拷問・レイプ・暴力が行われ、牢獄で殺されたパレスチナ人たちも多くいます。これらの被害は、国際基準によって、長年の間、記録されていますが、虐殺が始まって以来、エスカレートしています。
パレスチナ人男性囚人に対する、イスラエル兵の集団レイプの映像が流出しましたが、イスラエル兵たちは有罪になるどころか、犯罪者であるイスラエル兵たちがいったん抑留された場所に、市民や政府の高官が押しかけ、「(パレスチナ人を)レイプする権利」を主張し、犯罪者たちは、イスラエル社会で英雄として扱われています。
これらは、証拠も明確にあり、イスラエル兵たちも自分たちの(犯罪)行動を認めていますが、誰一人、責任を取らされていません。
でも、西側主流メディアでは、ガザの報道はほぼ消えました。
・アメリカと西側諸国がバックアップしている、イスラエルによるレバノンへの侵略・大量殺人。
イスラエルとレバノン抵抗組織との間で停戦条約が結ばれたものの、パレスチナと同様、イスラエルが一方的に合意を破り続け、毎日、レバノン市民を殺し、多くの市民の住居への爆撃を行い、ここ数日で大きな地上侵略もはじめました。
既に、50万人が避難民となり、家に戻れない状態となっています。
西側政府は、イスラエル政府に対して全く非難の声明は行わず、停戦条約をほぼ守り続けたレバノン抵抗組織を非難し続けました。
ただ、イランが(国際法に沿った)自衛のための攻撃を始めたことで、レバノン抵抗組織も、イスラエルの違法行為に対する、抵抗攻撃をはじめているようです。
先週だけでも百人以上をこえるレバノン市民が、イスラエル軍によって殺されたにも関わらず、西側主流メディアは、ほぼ報道しないか、「レバノン抵抗組織が多く住んでいる場所で死んだひとがいる」というフレーミングで、レバノン抵抗組織を狙ったもので、抵抗組織は殺されても当然、という製造された合意をつくりだしています。
レバノンに住んでいるひとは誰もが知っていますが、レバノン抵抗組織の政治部門は、正式なレバノン政府を組織する政党のひとつでもあり、かつ、停戦条約で、抵抗組織の組織員だったとしても、合意を破って攻撃を行わない限り、イスラエルが彼らを殺すのは、違法であり、条約違反です。
また、レバノン自体が面積の小さな国で、レバノン抵抗組織だけが固まって住んでいる区域はなく、政治とは全く関係のない多くの市民が混在しているので、このフレーミングは、これらの市民が殺されるのも当然、という前提をつくりだして、ひとびとの命を危険にさらします。
メディアのこういったフレーミングは、実際の殺人につながっています。
また、パレスチナ、レバノンでの抵抗組織がつくられたのは、そもそも、イスラエルが先住民たちであるパレスチナ人たちやレバノン人たちが数千年にわたって住む土地に侵略し、暴虐な殺傷で土地を奪い、違法占領を行ったからです。
西アジアは、いつも戦争や紛争がある地域、というジャーナリストや政治家もいますが、この地域を不安定にさせているのは、イスラエルの存在です。イスラエルは、アメリカやイギリスが資源、特に石油・ガス・鉱物が多い西アジアをコントロールするため(=帝国主義)に、都合のよい存在で、イスラエルで政治や社会で力をもっているのはアシュケナジ(ヨーロッパ出身の白人ユダヤ人か、その子孫)であり、イスラエルと西側諸国の関心は同じであることに留意しておく必要があります。
・キューバへの経済封鎖は続き、ほかの国が石油タンカーをキューバに向けて送っても、アメリカによって妨害され、キューバへとたどりつけないことが何度も起きています(国際法違反)。
既に、助かることのできた、子供のがん患者の命などが失われています。
このまま経済封鎖が続けば、数週間で、(アメリカの意図的につくりだした)飢餓がはじまるとみられています。
・ ヴェネズエラでの、大統領と大統領夫人の誘拐。誘拐後は、現在の政府に脅しをかけていることが知られていて、ヴェネズエラの石油の売上金は、アメリカ政府の従属国であるカタールの銀行で管理され、ヴェネズエラにわたるお金は3分の1程度ではないか、とみられています。
また、ヴェネズエラは、イスラエルのパレスチナ人虐殺に反対して、イスラエルには石油やガス・鉱物などを売らないことを政府で決めていましたが、アメリカ政府は、ヴェネズエラから盗んだ石油をイスラエルに送っていることが判明しています。
ここから、ジェイソンさんのコメントを。
※資本主義や帝国主義について知らないと分かりにくい部分もあると思うので、注釈もいれています。
明らかに、西側のリベラル民主主義は、信じられないくらい、凶暴なwarmongers (ウォー・モンガーズ/戦争を引き起こすような政策や行動を推進を推進するひとびとー特に政治家やリーダーが意図的に戦争や軍事行動を鼓舞する場合)です。
資本主義は、基礎的な条件として、帝国主義のアレンジメントを必要とします ー その(資本主義の)存在(存続)のためにー。
(資本主義の)鍵となる要素である資本の蓄積には、格安の労働者(労働力)と格安の自然が必要です。
国内で、これ(格安の労働者と格安の自然)を実現し続けるには、労働者階級を安くし(=実際に労働者階級が生み出している価値よりずっと安い給料を払う→ 資本家の利益として蓄積できる)、生態学的基盤を安くする(=乱獲や大規模な単一栽培、全体的な自然を無視したかんがい施設、化学物質で川や海を汚染するなどの自然破壊)ことですが、これには、限りがあります。
この矛盾(例/環境破壊が進んで農業・漁業・酪農が不可能になる、労働者に過酷な仕事環境を課すにも関わらず、基本的な暮らしができないほどのひどい賃金を払うことで、製品やサーヴィスを生産しても、それを購入できるベースが小さくなる・マジョリティーである労働者階級のひとびとの不満が高まる、など)に直面すると、革命が起こったり、土地がやせ細って、何も生産できなくなります。
そうなると、資本は、この問題を解決するために、国外で解決策を見つけなければなりません。
ここに植民地主義がやってきます。
((注)植民地主義は、帝国主義から派生したもの)
私たちは、これを実証的にみることができます。
Core(コア/核・中心)の資本主義経済に成長があるとき(コアは、西ヨーロッパ、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、イスラエル)、wealth (ウェルス/富・資産)が南(=グローバル・サウス)から北へと流れるのを保つために、グローバル・サウスから労働者・労働力と自然の大規模な盗用(流用)にたよっていることが明らかです。
彼ら(グローバル・ノースのいわゆるエリートたちー政治家や大企業の経営者・大株主・資産家・知識層などーエプスタイン・ファイルに登場するひとびと=エプスタイン階級)は、グローバル・サウスの国々が、主権をもった発展を獲得することを、妨げなくてはなりません。
主権をもった発展ー自分の国の国民に必要な国家の発展をはかるために、自国の資源や生産を組織的に行うことーを獲得し始めた国々は、(グローバル・ノースから)攻撃されます。
((注)攻撃されるとは、その国の民主的に選ばれた首相や大統領の暗殺・誘拐、アメリカやイギリス・フランスなどの国々による軍事クーデーター・侵略戦争・占領・軍事介入・政治介入・経済封鎖・経済制裁などー近年の例では、ヴェネズエラ大統領と夫人の誘拐、キューバの経済封鎖、イランへの侵略戦争などー歴史的には、アメリカやイギリスやフランスはここ数百年の間、世界中のほとんどの国で行ったことであり、いつものパターン。トランプ大統領が歴代大統領と違うのは、石油を盗むため、などと本音を言っていることで、それまでは、自由・民主主義・女性の人権などの美しいことばで取り繕っていたこと)
理由は、これ(主権をもった発展)は、グローバル・サウスのひとびとにとっては善い事だらけですが、Core(核・中心)の資本(西ヨーロッパ、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、イスラエル)にとっては、インフレーションを引き起こすからです。
なぜなら、これ(グローバル・サウスの主権をもった発展)は、インプット価格(商品やサーヴィスを生産するのに必要な原材料や労働力にかかるコストなど)を増大させ、最大利益をだすことを難しくさせます。
だから、彼ら(エプスタイン階級)は、これらの国々(グローバル・サウスで主権をもった発展を獲得しはじめた国々)に爆弾を落とします。
そして、これらの国々の開発、infrastructure (インフラストラクチャー/社会や経済活動を支える基盤となる施設やシステムー道路・鉄道・港湾・空港・電力供給施設・通信網・上下水道施設など)を破壊し、それら(労働力・自然)を再び、格安で盗用できるように戻します。
だから、私たちが、帝国主義的な戦争が(完全に)止まることをみたければ、私たちは、資本主義を打破しなければなりません。