イスラエルとアメリカによる、国際法違反のイランに対する侵略戦争 ⑤
ーエプスタイン・クラスが支配する西側には、理解できない価値観 ː 正義にコミットして、常に抑圧された側にたつ/抑圧に対して抵抗し続ける ー 抑圧に屈服するのは、尊厳を失うことで、尊厳は命よりも大切ー
Helyeh Doutaghi (ヘリヤー・ドゥタギ)さんは、イラン生まれ・育ちのイラン人女性で、国際法・地政経済学の学者です。
学者として、カナダやアメリカで17年間過ごしていましたが、パレスチナへのサポート、イスラエルによるパレスチナ人への虐殺とエスニック・クレンジングへの反対を明確にしていたことが原因で、アメリカのイエール大学の法と政治経済プロジェクトの副ダイレクターの職を停職処分となりました。
この停職処分の手続きは、公正さを完全に欠いたもので、AIを搭載した右翼シオニストのプラットフォームが、ヘリヤーさんを「テロリスト」として間違って分類した記事を公開したことがきっかけでした。
当然ですが、ヘリヤーさんには、AIの間違った分類は、どうすることもできず、それは、大学側の管理者たちもよく分かっていました。
それにも関わらず、ヘリヤーさんには十分な時間は与えられず、大学側がヘリヤーさんの尋問に選んだ弁護士は、イスラエル関連の事業に重点をおいている法律事務所の弁護士でした。
ここからも、大学側が、シオニスト寄付者を優先し、公正な調査を後回しにしたことは明らかです。
イエール大学を含めた、いわゆるエリート大学の多くは、イスラエルによるパレスチナ人虐殺から大きく儲けをだしている軍事複合企業への資産運用を行っています。
国際司法裁判所でも、イスラエルが虐殺を行っている疑いはとても強く、すべての政府・企業は虐殺を止める行動を取らなければならない、としているため、これらの大学の投資も、虐殺へ加担したとして、戦争裁判で責任を問われることです。
第二次世界大戦では、ドイツでIBMやフォルクス・ワーゲンが、大きくユダヤ人虐殺に加担したことで知られていて、戦後の裁判で裁きを受けました。
IBMは、コンピューターシステムをナチに使わせることで、ユダヤ人の摘発のためのリスト作りや、ユダヤ人を大量に合理的に素早く列車で強制所へと運ぶ時刻表などをつくり、ユダヤ人大量殺人に大きく加担しました。
現在のアメリカでは、パレスチナ人虐殺へ反対するひとびとが投獄されたり、警察などの機関からひどい暴力を受けたり、職を失ったりしていますが、イギリスも、かなり似ています。
イギリスでは、イスラエルによるパレスチナ人虐殺に反対して、直接行動(パレスチナでの偵察行動を行い、リアルタイムでイスラエル軍に偵察情報を送り続けているイギリス軍飛行機の翼に赤いスプレーをかける、など)を取る団体が、テロリスト認定となり、この団体をサポートする、と言っただけ、それを書いたプラカードを持っているだけで逮捕される、という理不尽な状況があり、多くのひとびとが、静かにプラカードをもって立っているだけなのに、警察官数人によって地面に投げつけられたり、かなりひどい暴力を受けていました。
最近、イギリス高裁で、イギリス政府の行ったテロリスト認定は違法であるという判決が出て、投獄されていたひとびとは解放されましたが、イギリス政府はこれを不満として、上告しています。
テロリスト団体、とは、実際に多くのひとびとに危害を与えた団体、アルカイダやイスラム教過激派組織、白人至上主義団体(実際に多くの非白人をリンチしたり殺したりした)を指しますが、上記の団体は、誰一人に対しても、危害を加えていません。
それと同時に、イギリス国籍をもつ2000人が、ガザの虐殺に加わったことがイスラエル政府の公式資料からも分かっていますが、彼らには、警察からのインタヴューも何もなく、普通に仕事や学業に戻ったとみられています。
この中には、パレスチナ人市民の家を破壊し、その家の女性の下着を着てパレスチナ人を馬鹿にする発言を堂々とソーシャル・メディアで発表していたユダヤ系イギリス人も含まれています。
ユダヤ系ブリティッシュ医師で、虐殺加担したことを誇りにし、イギリスに戻ってきてから、同僚たちに、パレスチナ人の子どもを殺したかどうか聞かれ、「十分な数を殺しきれていない(=パレスチナ人の子どもたちを殺したけれど、すべての子どもを殺すべきだったのに、すべてを殺しきれてはいない)」と、堂々と公的に語っているひともいますが、彼らが責任を問われることはありません。
同時に、パレスチナ系ブリティッシュの医師、Ghassan Abu-Sitta (ガッサン・アブ=シッタ)さんは、ガザで医師としてヴォランティアーを行い、現地での状況をさまざまなニュースなどで正確に伝えていたことが原因で、シオニスト団体に標的とされ、さまざまな事実無根のことで、裁判や医師としての倫理基準委員会などに訴えられ、それらに対応するために、日本円だと2000万円以上の弁護士費用や裁判費用を支払い、医師の倫理基準委員会での判決が出るまでの間、停職になった期間もあります。
ガッサンさんは、すべての裁判に勝訴しましたが、シオニスト団体は、敗訴しても自分たちはなんの責任も取らなくていい裁判形式(虚偽の訴えで敗訴しても、勝訴した側に裁判料や賠償金などを支払う必要がない)を選んでいて、この団体が、ガッサンさんをターゲットにすることは止まりません。
これは、ガッサンさんを黙らせるだけでなく、ほかの医師や、ふつうの人々にも、イスラエルが行っているパレスチナ人虐殺、エスニック・クレンジングに対して、ひとびとを沈黙させようとする脅し戦略です。
最近、ブリティッシュ医師たちが、これに反対して、こういった根拠のない訴え(ユダヤ人差別)を医師の倫理委員会で受け入れないよう、署名を行っているのもみました。
上記の例は、本当に数多くおこっていることのうちの複数の例でしかないのですが、実際にパレスチナ人虐殺を行ったユダヤ系イギリス人に対しては、イギリス政府は黙認しているのに対し、虐殺に反対している良心のあるひとびとに対しては厳しく取り締まる・犯罪者扱いする、というのがイギリス政府です。
ちなみに、イランという国自体が、1978年に、民衆たちによる蜂起で革命を起こし、アメリカの傀儡政権で軍事独裁主義を貫き国民たちを苦しめた王、シャーを取り除き、イラン・イスラム共和国をつくったときに、アメリカやイギリスのような帝国主義に反対し、抑圧されている人々を助けることが国の大きな目的の柱となっていて、50年以上にわたって、パレスチナ人の解放・主権などを求め続け、さまざまな方法でパレスチナ人をサポートし続けています。
パレスチナだけでなく、キューバやヴェネズエラなどの、帝国主義に苦しめられ続けている国々が経済制裁や経済封鎖で困っているときには、石油や食料などの物資を多く運ぶなどのサポートをずっと続けてきました。
だから、ヘリヤーさんだけでなく、とても多くのイラン人たちが、帝国主義の抑圧を受けているパレスチナ人を大きくサポートしています。
ヘリヤーさんに戻ると、ヘリヤーさんは、現在イラン国内にいて、イラン国内のひとびとの声を、世界に届けています。
ヘリヤーさんと長年の友人である、反帝国主義の学者、Bikrum Gill(ビクラム ギル)さんとの対談がとてもよかったので、紹介します。
ポッドキャストはここから、無料で見ることができます。
ヘリヤーさんは、テヘランへの違法侵略攻撃が始まった日には、テヘランにいて、爆撃の音を聞きました。
イランの宗教的な指導者であるアリー・ハメネイーさんが、イスラエルとアメリカの爆撃によって殺されたのを聞いたとき、ほかのイラン人と同様、心のそこからの怒りを感じたそうです。
この第一日目には、女子小学校がターゲットにされ、イスラエルとアメリカによる爆撃で、160人以上の子どもたちが殺されました。
別の地域で、体育館でバレーボールを練習していた少女たちも爆撃を受け、多くが殺されました。
西側主流メディアでは、これをほぼ報道しないか、誰が爆撃を行ったのかを消し去る表現を行うことがほとんどです。
2026年3月24日現在で、498の学校が爆破され、281の病院施設が爆撃されました。
ジャーナリストが集まるメディアに関する建物も爆撃を受けています。
警察や救急車・救急隊員・救急隊員の待機場所などもなんども爆撃されていることも確認されています。
救急隊員たちは、周囲のひとびとの安全を守るため、家族とは離れて暮らし、救急隊員同士も一か所にとどまることはできるだけ避け、休憩なども、離れた場所で行い、救急隊員が一気に全員殺されることを避けているそうです。
学校や病院、警察や救急車、ジャーナリストへの爆撃は、もちろん戦争犯罪ですが、イスラエルとアメリカのいつものパターンで、西側主流メディアも、西側の戦争犯罪については報道しないか、報道したとしても、誰が爆撃を行ったのかを隠す報道をします。
イスラエルとアメリカの戦争犯罪や、モラルとして考えられないような行動について、西側政府(日本も含む)は黙認や、「違法かどうかは現時点では判断できない/判断するのは自分たちの役割ではない」などとことばを濁し、この違法攻撃をやめさせる(既に1400人以上のイラン市民が殺されているーアメリカとイスラエルによる油田への攻撃で、がんや呼吸器・皮膚の病気への影響での将来的な多くの死者が出ることも予測されている)ことについては全く努力しないのに、ホルムズ海峡が事実上、閉鎖に近い状態になると、西側諸国はあっという間に団結して、ホルムズ海峡に軍艦を送ることもいとわない、というのは、とても皮肉なことです。
これらの西側諸国は、イラン人(非白人)の命の価値はゼロだとしか思っていないことは明らかです。
イランによる自衛行為の一つであるホルムズ海峡の封鎖については、西側諸国は即座にイランに対する非難を行いましたが、石油禁輸・経済封鎖をキューバに対して行っているアメリカ政府に対しては、黙認状態を続けています。
この人道に対する犯罪について沈黙していることは、「中立」ではなく、この犯罪に加担しているということを意味します。
アメリカは、キューバに石油を届けようとする他国の石油タンカーも、アメリカ海軍が軍事的に追い払い、事実上の包囲を行っています。
石油が入ってこないことが原因で、既に死者は出ていて、いくつかの国や団体が支援物資をキューバに届けることに成功したものの、石油がなくては、病院や救急車、届いた食料を必要なひとびとに配布することもできません。
これは、静かな虐殺です。
ヘリヤーさんは、イラン国内に住むのは17年ぶりでしたが、物理的にイラン国内にいることは、いくつかの点で、海外に住んだままイランのことを見ているのと、大きな違いを感じることになったそうです。
アメリカ・イスラエルによる違法侵略攻撃で、最高指導者のハメネイさんが家族ともども殺され、アメリカ大統領トランプさんの「(イランの人々に自由を与えるため、助けるために)多くの爆撃を落としているので、外出せず家にとどまり、爆撃がおさまったら(圧政を行ってあなたたちを苦しめる)政府を打倒しなさい」という声明とは逆に、爆撃をものともせず、イラン市民の多くが、喪を表す黒い服を着て、広場へと向かい、無言で涙ながらにハグしあったそうです。
この、年齢もさまざまな市民たちの集団が、イラン国旗や殺されたひとびとの遺影をもって、イラン各地の広場に集まっている映像は圧倒的でした。
ヘリヤーさんによると、爆撃が続いているにも関わらず、日に日に、さらに多くのひとびとが外に出て、ソリダリティーを表しているそうです。
ヘリヤーさんの周りだけでなく、多くのコミュニティーで、イマムや長老のような人々を招いて、若い人々を含むコミュニティーの市民たちが、誰もが感じているrage (レィジ/anger (アンガー/怒り)よりもっと強烈で、コントロールが難しいほどの烈火のような怒り)を通して、自分たちに今何ができるかを、語り合ったそうです。
こういったことも、ヘリヤーさんのように、コミュニティーに所属していて、そこにいるからこそ、経験し、感じることができることです。
ヘリヤーさんは、英語が話せることを活かして、イラン国内のふつうのひとびとにインタヴューを行い、世界に向けて発信することを選択しました。
なぜなら、西側メディアでは、イラン国外に住んでいるとても少数の過激派の特殊な意見「イランにどんどん爆撃を落としてほしい。イラン政府を打倒できるなら、多くのひとが死のうとそれはどうでもいいこと」だけを報道するからです。
イラン国内には、約9千万人のひとがいて、当然、さまざまな意見をもっています。
現政府の政策の多くに反対していたとしても、違法侵略攻撃を支持するひとびとは、ほぼいません。
また、イラン革命を深く信じ、現政府をサポートしているひとたちもいます。
今年1月の暴動も、始まりは、内部崩壊を狙った、アメリカ政府による貨幣操作によるインフレーションであることが判明しています。
イラン人のことを本当に考えるなら、最初に行うべきは、違法経済制裁の解除であり、西側によるイランに対する介入(経済・軍事・社会・メディア)を完全にストップし、イランのひとびとが自分たちで主権をもって決めたように国を発展できるようにすることです。
西側の助けが必要なのでなく、西側の違法・アンフェアな介入を止めるだけで、イランだけでなく、キューバやヴェネズエラ、アフリカの国々も発展することが可能になります。
ヘリヤーさんと、ビクラムさんは、どちらも学者として、感情から離れて物事を観察することを訓練してはいるものの、自分の国、自分も含めたコミュニティーのひとびとが死や破壊を目前にしているときに、団結してそれに抵抗する強い感情をしっかりと感じることは、とても特別なことだとしていたのは、印象に残りました。
これは、自分の政府(アメリカやイギリスなど)が、自分やまわりの人たちが払った税金を使って、無実のイラン市民たちを片っ端から殺していることを知りながら、心地いいソファに座って、他人事として、戦略分析などをしているのとは、完全に違います。
また、ヘリヤーさんは、イランへ物理的にいることで、気づいたこともあったそうです。
ヘリヤーさんが長年働いていたアメリカやカナダの学術機関は、パレスチナ人虐殺へ加担していますが、イランの学術機関は、パレスチナの主権を求めることをサポートし続け、虐殺には全く加担していません。
ヘリヤーさんは、知識のプロダクションを、西側(=帝国主義)から、イランのような反帝国主義の場所へと移すことの大切さを感じたそうです。
アメリカや西側は、経済的には力を失いつつありますが、ナラティヴをつくりだす圧倒的に大きな力をもっています。
たとえば、「アメリカは民主主義を誇り、人権と自由を尊重し、世界に正義をもたらすモデル国」というナラティヴや、「白人は非白人よりもずっと優れている」「イスラム教徒は、もともと暴力的でテロを起こす」なども、すべて完全に偽りですが、多くのひとびと、恐らく特にアメリカ人は、それを疑いもなく信じています。
この西側でつくられた偽りのナラティヴを打ち破ることは、大切です。
帝国主義国がグローバル・サウスの国々に暴力(経済的な暴力も含むー経済制裁など)で強制的に、全面服従させようとすることに対して、抵抗を行うstruggle (ストラッグル/苦闘)についての定義なども、自分たちがナラティヴをつくるエージェンシー(主体性)を取り戻すことが必要であることを、ヘリヤーさんは強く感じたそうです。
ヘリヤーさんの話を理解するためには、背景や歴史を理解しておく必要があるので、少し説明しておきます。
西側では、白人が抵抗を行うことについては英雄扱いとなりますが、非白人が白人に対して(正当な)抵抗を行うと、「テロリスト」認定されます。
西側は、基本的に、西ヨーロッパのキリスト教・白人か、彼らを祖先とするひとびと(アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなど)で、地球上の各地で、原住民たちに対して虐殺、エスニック・クレンジングを行い、土地や家屋、資源を奪い取ることで富を築きました。
アメリカやカナダの場合は、西ヨーロッパの白人キリスト教徒が、原住民に置き換わりました。
これは、イスラエルがパレスチナ人に対して行っていることと、基本的に同じです。(移住者植民地主義)
普通の人間には、ほかの人間に対して残虐なことを行うのは抵抗があるため、先住民たちを非人間化し、残虐な行為を正当化する必要がありました。
西ヨーロッパと、世界のマジョリティーである原住民のひとびととの見た目での違いは、肌の色素だったため、「白人は優れていて文明もありモラルも高く、動物に近く文明もなくモラルもない非白人原住民たちは、資源などを管理することもできず、それらを奪い取り有効に使い、キリスト教をさずけ文明化させるのは白人の重責」などという偽りのプロパガンダをつくりだしました。
それは、今でも、経済・社会・公的機関・法律・司法などの、ありとあらゆる仕組に埋め込まれています。
だから、普通の白人ヨーロピアンは、ヨーロッパ大陸で白人が白人に対して行った虐殺(ユダヤ人虐殺)については、それは起こるべきではなかった残虐なことで、二度と起こすべきではない、ということは理解できますが、世界各地で、白人ヨーロピアンが、非白人の原住民たちを虐殺、エスニック・クレンジングしたことが同様に残虐で起こるべきではなかった、という考えにはいたりません。
なぜなら、非白人は白人よりもずっと下で、命の価値はゼロだとみなされているからです。
今でも、大英帝国の植民地化は、植民地化された地域や人々にとって善いことをもたらした、と平気で言う人々もいれば、植民地化していた事実や、インド地域で人工的な飢餓を何度も起こしたことを知らない、知りたくないひとびともたくさんいます。
大英帝国が植民地化したインド地域では、1880年から1920年のイギリス支配下の40年で、インド地域のひとびと1億人を死なせたとされています。
植民地となる前は、大規模な飢餓もなければ、機織りなどの優れた技術もあり、自分たちが耕している畑の穀物なので十分生きていける状態だったそうです。
日本も、大英帝国よりは短い期間だったものの、帝国主義を行い、近隣の国々やパシフィック地域などで、残虐な行為を行ったことを知っていること、覚えていることは、とても大切です。
「昔のこと」というひともいるかもしれませんが、被害を受けた側は、今もその結果を生きていることを忘れないことは大切です。
残虐で非人間的な行為や破壊が行われたのが、自国ではなく遠い地域だと、見ないふりをすることも心理的にたやすくなりますが、この過去に向き合えない国々は、同じことを繰り返す可能性がとても高くなる、自国の中で犠牲者グループをつくりだし、残虐なことを行う可能性が高いことも心に留めておく必要があります。
イノセントな国や残虐な歴史がない国はない、という言い訳も西ヨーロッパでは聞きますが、西ヨーロッパの帝国主義の残虐さには言い訳はありません。
キューバや中国、イラン、ヴェネズエラのように、他国へ侵略したこともなく、自主権を保った自国の発展を行おうとしただけなのに、帝国主義国からの一方的な攻撃に対して自衛攻撃を行うしかなかった国々は、帝国主義の国々に比べて、もっとイノセントです。
でも、自国が非白人に対して行った残虐行為が「善」、あるいは「自分たちの安全を守るためには、犠牲者が出るのは仕方ない」としていれば、抵抗は「悪」となります。
また、帝国主義、植民地化のために使われた、社会的に構築された人種差別から、「非白人は頭が悪く、自分では何もできない、主体性も全くない被害者 ー 白人救世主が助けるべき」としての存在は受け入れられますが、「主体性をもち、自分たちの将来を自分たちで形作っていく非白人の存在 ー 特に、白人の行う帝国主義に対抗する、武器を伴う抵抗(国際法では合法)」は受け入れられません。
ここには、オリエンタリズムの要素も入っています。
イランは、帝国主義を行うアメリカとイスラエルに対して、正当な抵抗を行っていますが、それが西側政府・西側の知識層から大きく非難されるのは、イランが攻撃を受け続け「完璧な被害者」として黙って死んでいくのではなく、西側に対して、有効な反撃を行うからです。
西側は、西側以外の国々や非白人が、同等の立場となることを許せません。
ヘリヤーさんは、最後に、西側がイランを理解できないことの大きな理由として、イラン革命は、信仰によって導かれ、深く信仰に根付いていることを理解できないことを挙げていました。
ちなみに、フランスやロシアの大きな革命も、実際に積極的に関わった市民たちは人口の2~4パーセントだとされていますが、イラン革命には、10パーセント以上の市民たちが関わったそうです。
エリートたちが起こした革命ではなく、イラン革命は、「民衆が起こした革命」で、ロンドンを拠点とするイラン人アナリストのAli Alizadeh (アリ・アリザデー)さんは、誰もが、自分が革命に貢献し、自分はこの国の未来にモノ申す資格があり、権力者側は、それを聞く義務がある(=権力者側も、自分も同じ革命を闘った同等の立場のひととであり、自分の意見は権力側のひとびとと同じ重みがある)と感じているひとも多いことを語っていました。
民主主義で選ばれたモサデグ首相が、イランの石油を国有化したことが原因で、イギリスとアメリカにより軍事クーデターにより取り除かれた後、イギリスとアメリカによって据え付けられたシャーは、軍事独裁主義を長く行い、テヘラン大学の学生だったアリさんの父は、シャーの秘密警察により、拷問にかけられたそうです。
「民主主義・人権・自由」を声高に説教し続けてきた西側諸国は、シャーを完全バックアップし、秘密警察の設置や訓練なども手伝い、多くの無実のイラン市民がシャーによって殺されることを助けました。
西側諸国は、石油などの資源が、自分たちの思い通りに搾取できれば、その国の市民たちに何が起ころうと、全く気にしません。
イラン革命直後のイラクによる侵略戦争(西側諸国も近隣の湾岸諸国も、イラク側について、イランの石油を奪い取ろうとし、ドイツはイラクに化学兵器を提供した)で、国民みんなが侵略に対して闘い、親や親戚を失ったひとびとも多く、この革命前後とイラク侵略戦争を生きていた人たちは、西側諸国を嫌い、帝国主義に反対していますが、この経験をしていない若い人たちは、なぜ、自分の親や祖父母、親戚たちがそこまで西を嫌うのか、反帝国主義なのかが理解できなかったそうですが、今回の侵略戦争で、若いひとびとは、自分たちの親や祖父母が正しかったことを、身をもって理解したそうです。
これは、後戻りすることはありません。
ヘリヤーさんは、イランの数千年にわたる文化、深い信仰心からも、イランのひとびとが直感的につながる、イマム・フセインさんの話を挙げていました。
話に細かな違いはあっても、大まかにいうと、圧政に苦しんでいた民衆たちに頼まれたイマム・フセインさんがその地に向かうものの、圧政を行う側の軍隊にはばまれ、戦い抜いて、フセインさんも家族もすべて殺されます。
フセインさんは、圧政を行う支配者に服従すれば、命は助かるということを断り、家族もそれを断り、別の場所にいた妹も、フセインさんと同じ意見で、たとえその結果が死だったとしても、服従しない(=圧政に苦しんでいるひとびとを見捨てない)と明言・行動します。
その数年後、民衆たちは、圧政を行う支配者に対して立ち上がり、この支配者を、みんなで倒したそうです。
ヘリヤーさんも、アリさんも、最高指導者のハメネイさんが、いつも通りに、いつもの職場で職務を行っていたときに、アメリカとイスラエルの爆撃により、家族ともども殺されたことは、このフセインさんの話を誰にも思い起こさせた、としていました。
ハメネイさんは、テヘラン以外の場所に避難することは可能でしたが、「テヘランには、避難場所がなくて、テヘランに残るしかない人たちもいる。テヘランのひとびとみんなが避難できるまでは、自分も避難しない」と言い、家族ともどもテヘランに残って、職務を行い続けたそうです。
これは、イランの普通のひとびとの感覚だと、(イランの人々のために)殉死を選んだ(殺されることが分かっていながら、自分の命をイランの人々のためにささげることを選択した)、と直感的に思うそうです。
キリスト教が土台となっているヨーロッパには、キリスト教の枠内での「殉死」という概念は存在しますが、先述した「殉死」とは、大きく違います。
ヘリヤーさんは、シーア派イスラムの伝統として、「正義への強いコミットメントと、抑圧された側(弱い側)に立つこと、抑圧に対して屈服せず抵抗し続けること」を挙げ、以下のように言っていました。
その当時の暴政者によって殺されたイマム・アリー殉教・殉死の記念日ーこの考えは、私たちが正義のために立ち上がり、私たちは私たちが信じることを貫いて、殺されるのは、どうやって死ぬのかではなく、これは、どう生きるか、ということです。
私たちはどのように生きるかを選択し、その結果、私たちは、私たちの命を捧げることになります。
私たちの命は、私たちの尊厳よりも価値があるものではありません。
ヘリヤーさんによると、多くのひとびとが空爆をものともせず、広場に集まり、イラン政府へのサポート、殉死したひとびと(アメリカ・イスラエルにより殺されたひとびと全て)への報復(← 日本語や英語の報復ではなく、正義を回復するー加害者にその加害にみあった責任を取らせ、二度と同じ加害をしないよう抑制プレッシャーを十分にかけるーが近いのかな、と思います)を誓います。
西側は、エプスタイン・ファイルが象徴するような、お金や贅沢、欲、瞬間的な満足を求めることが、特にエリート階級では主流になっていて、イランのように、「正義に強くコミットし、抑圧された側(弱い側)に立つ」「命より尊厳が大切(プライドではなく、弱い側にたち、正義にコミットするということーアメリカの腐敗した仕組に組み込まれ、パレスチナやキューバの苦闘を見捨てたり、そこから利益を得ようとするのではなく、たとえ殺されることが結果として明らかでも、正義にコミットし、パレスチナやキューバを支え続けるという尊厳をもって生きる)」という価値観や倫理観は、完全に理解不能なのだと思います。
ヘリヤーさんは、ひとびとに共通する考え方として、以下を挙げていましが。
「どちらにしても、私たちは(アメリカ・イスラエルに)勝つか、殉死する。そして、そのどちらでも、私たちは勝利をおさめます。」
そして、彼ら・彼女らの気持ちが強いのは、宗教観として、自分たちの信仰心は試練にあうことが当然だとみなされていて、この非常事態下で、自分たちの信仰が試されているとして、さらに、アメリカとイスラエル(帝国主義)に対しての抵抗を高めることにつながります。
コーランでは、抑圧を受け入れることは、抑圧すると同じだけ、悪いことだとみなされているそうです。
先述した、イマム・フセインさんのお話は、抑圧に対して闘うこと・抵抗すること、抑圧を拒否することの原則を表しているそうです。
アメリカとイスラエルの軍事力は、イランよりずっと大きいけれど、イランの人々が完全に敗北し、帝国主義の前に屈することはないのではないか、と思います。
同時に、帝国内に生きている私たち(西側諸国や日本)は、自国政府に対して、この違法攻撃をアメリカ・イスラエルにやめさせるよう、また自国政府がこれに加担しないよう、行動し続ける必要があります。
また、日本のように、「抵抗は何よりも悪い/(権威に)抵抗するひとは、生きる価値がない」と刷り込まれている文化(=たまたま強い立場に生まれ落ちれば、好き放題にして、なんの責任も取らないで済む仕組をさらに強固にする)では、このヘリヤーさんのいう、「抑圧に屈服することは、抑圧を行うことと同じくらい悪いことで、抑圧を拒否し、闘い、抵抗し続けることが大切で義務でもある」は、とても勇気を与えられます。