フェミニズムを階級という視点からとらえなおすと、どんな抑圧にも対する共通の、みんなの闘いということがみえてくる
「フェミニズム」ということばで、居心地が悪いような、何かが間違っているような気持ちを感じるひとは、多分、少なくないと思います。
「フェミニズム」をどう定義するかは、本当にさまざまですが、「すべての抑圧に対して闘う」という枠組みのなかでみることは、大切です。
「フェミニズム」が往々にして使われるのは、以下で、それが私自身を含めて、多くのひとたちを居心地悪くするのでは、と思います。
ー 抑圧されているのは、労働者階級(=帝国主義を必要とする資本主義の経済システムが500年ほど続く現在の世界状況で、資本を持たず、労働力と引き換えに賃金をかせがないと生きることすらできないひとびとー地球上の圧倒的に多数のひとびと)で、深く抑圧されている男性も多く存在して、男女に関わらず抑圧されている仲間同士なのに、彼ら男性は除外され、中流・上流階級の男性と同じ社会階層に女性が移動することが「フェミニズム」の目的のようにいわれます。
もともと、中流階級・上流階級に属する、あるいは、そこに近い女性たちが、現在地よりも上だと認識される階級に移動することが、「進歩/ガラスの天井を破る(女性の抑圧はすでに解決された)」とされ、残りの大多数のひとびとは取り残され、社会・経済構造のせいであることを無視して、「個人の責任」と決めつけられます。
階級や経済・社会の仕組みを無視した「フェミニズム」は、中流・上流階級の女性たちによって導かれることがほとんどで、彼女たちにとって、大多数の労働者階級のひとびとは、男女に関わらず、存在しないものとして扱われています。
ー アメリカやヨーロッパを中心とする西側世界(元帝国主義国で、今も同じ帝国主義システムをあからさまではない形で行い続けている)が、資源が豊かで、戦略的に重要な位置にある西アジアやアフリカ大陸・アジアなどの国々を、違法侵略・占領する正当化に、フェミニズムが悪用されてきた長い歴史的な事実があります。
最近だと、イラン・イラク・アフガニスタン・リビア・シリアなどで、フェミニズムが、侵略・占領のために悪用されました。
「女性の自由・女性の人権が、独裁者によって抑圧されているので、女性の自由・解放のために(西側}が独裁者を取り除く義務がある」と、アメリカを中心とする西側が、内部から暴動を起こしたり、じゅうたん爆撃などを行い、女性と子どもを中心とする市民たちに対して大量殺人を行いました。
イランでは、アメリカが中心となった数十年にわたる経済制裁でイラン経済が発展することを難しくさせた上で、アメリカ政府が内部崩壊・政権転覆を目的とした貨幣交換レートの操作を行い(アメリカの高官が公言)、激しいインフレーションが起こし、正当なプロテストが起き、それが、アメリカとイスラエルの諜報機関の関与で、暴動者によって乗っ取られ(トランプ大統領もこれを認める発言をしている)、3000人強のひとびと(300人ほどの警察組織のひとびとも含む)が殺されました。
その際に使われたのは、「3万人(特に若い女性)がイラン政府の警察・軍隊組織によって殺された」という嘘のプロパガンダが、「イランの女性とひとびとを守るため」として、イランへの違法侵略攻撃への正当化として使われました。
もし、イランの女性やひとびとを守りたいなら、経済制裁を完全解除し、違法侵略戦争を行わないことが、最善の方法であることは、明らかです。
アメリカ政府は、イラン経済が成り立たないような経済制裁・経済封鎖を行いながら、あなたの政府は経済をうまくまわすことができない(=アメリカ政府が介入して、政権転覆を行い資源を独占するのは正当で、イラン国民をそれを望んでいる)、というのは、誰かを故意に骨折させ、骨折していることを非難するのと同じくらい、馬鹿げています。
西側諸国が、女性の人権・自由・解放などに関心がないことは明らかです。
なぜなら、アメリカの従属国である湾岸諸国の多くでは、男性の許可なしで女性が外出することは禁止されていたり、プロテストが禁止されていたり、王家の一方的な決定で死刑が行われたりと、女性を含めて、ひとびとの権利は、とても悪い状況ですが、西側の従属国である限り、女性の権利や人権などを理由に、侵略されたり、経済制裁を受けることはありません。
イラクやリビアなどの地域は、アメリカを中心とする西側諸国の違法侵略・占領後は、豊かな資源をもっているにも関わらず、資源への主権を否定され、自国の発展を不可能にされ、社会・経済が不安定で、資源は西側企業や西側政府にコントロールを握られています。
西側が、資源を盗む前には、常に「経済制裁」を長年にわたって行い、経済が成り立たない状況をつくりだし、ひとびとの不満が政府にむかい、内部崩壊させることを行っています。
経済制裁(ほとんどは違法)と、侵略・占領で、一番の悪影響を受けるのは、立場の弱い女性たちです。
経済制裁は、実際に爆撃される戦争よりも死者が多く出ることも、判明しています。
現在のアメリカ政府によるキューバの経済封鎖でも、石油の輸入がアメリカ海軍によって邪魔をされ、数か月石油がなかったことで、病院の呼吸器が動かせなくなり、ある病院では呼吸器につながれていた患者さん全員が亡くなったことも確認されています。
ー 西側の文明や文化・慣習だけが正しい・優れている、とする人種差別が、西側のフェミニズムには含まれている場合が多い。
西側政府や、西側の白人フェミニストたちは、「スカーフをかぶっている/ミニスカートやビキニなどを公の場で着ることが禁止・制限されている」といったことなどを理由に、女性が抑圧されている(私たち白人救世主が助けなければー非白人の彼女たちは、後進国で劣った文化のなかで育ち、何が女性の抑圧なのか自由なのかも理解していないーと決めつける人種差別)、と決めつけますが、慣習・文化・個人の意思などによって、身体の一部を露出することを望まない女性たちも多くいることは、完全に無視されます。
このスカーフで髪をおおう慣習は、さまざまな宗教や文化・慣習にも存在したものの、西ヨーロッパからの白人・キリスト教の侵略者たちが、地球上のあちこちで、原住民の人々に対して、虐殺・家や土地や農地などの資源を奪う・同化政策などを行うなかで、西ヨーロッパとは違う慣習は、西ヨーロッパからの侵略者に対する「抵抗」の現れ、野蛮であることの現れ、だとされ、暴虐な行為への正当化として500年近く使われ続けています。
ちなみに、イランは、日本のように数千年の歴史をもつ国、文化圏ですが、アメリカの傀儡(かいらい)政権のシャーの時代には、アメリカや西側へ忠誠をみせるために、シャー政権は女性の頭を覆うスカーフ着用を禁止し、警察が無理やりスカーフを女性からむしりとっていた時代もあったそうです。
女性のスカーフをかぶりたい、という意志を無視して、暴力的にスカーフをむしりとるのは、「抑圧」です。
アメリカ・ヨーロッパでは、キリスト教の影響で、男女別々の教育や、肌を見せない服装などが強要されていた時代も長いものの、近年では、子どもや女性のセクシャラィゼィションが急激に進み、これが女性や子どものためであるとは思えません。
なぜなら、これは、子どもや女性を商品化して、資本主義経済社会のなかで、子供や女性を利益を出すモノとして扱っていることが明らかだからです。
十数年前だと思いますが、スカーフをかぶっている女性が、「スカーフをかぶるのは自分の自由と意志で、自分のセクシーさは、とても個人的なことで、自分だけ、あるいは自分の大切なひととの間だけで共有し、公衆的な場所や、さまざまな人たちの前に見せることはしたくない」と言っていたのが、印象に残っています。
もちろん、自分がセクシーだと思う服装や姿態をすることも自由で、彼女たち・彼らが、性的オブジェクトとして扱われることが正当化されるわけではありません。
ただ、どうしてそうしたいのか、と考えたときに、メディア(広告やドラマ・アニメ・ゲームなど)からのメッセージや、社会からのプレッシャーなどが、どのように自分の考えや行動に影響しているのかを観察することも大切です。
赤ちゃんとして生まれたときに、露出の高い服装をしたい、セクシーだと周りから思われたい等と思っている赤ちゃんは存在せず、成長していくなかで、家族や社会、メディアなどから、吸収したことが元になっています。
ソーシャル・メディアでは、アルゴリズムが、特に子どもや若い人々を不安をあおり、アディクションに陥れるようにつくられていて、子どもや若いひとびとのセクシャラィゼィションへとつながっていることも指摘されています。
これで、利益をえているのは、西側の大企業や、それらの株をもつ大富豪たちで、子どもたちや若い人々の健康を害していることについては、彼らは全く関心もないし、責任を取らせる機関や機能も、現時点では、とても限られています。
誰が利益をえているのか、を常に考えるのは、この資本主義社会では、重要です。
これらの特有な「フェミニズム」から離れて、「すべての抑圧に対して闘う」としてフェミニズムを考えたとき、「階級」という視点は大切です。
前述しましたが、特に資本・利益の集中が究極化している現在では、地球上のほとんどのひとびとが、自分の労働力と引き換えに賃金をもらうことでしか生きていけない「労働者階級」にあたります。
「ブルジョワ/資本階級」にあたるのは、資本家(大企業の株主、大企業の経営者、価値の高い土地や家屋を大量に所有する地主たちなど)と、資本家の利益を代表するグループ(政治家、シンクタンクやコンサルティング企業のマネジェリアル地位にあるひとびとやアカデミック、ロビーイスト、ファイナンス業界の重役、主流メディアの編集など)ですが、日本だけに住んでいると「階級」という視点で考えることは難しいかもしれません。
The UK(イギリス・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの連合4か国)では、残念ながら、階級は、服装・話し方などで、瞬時に判断されます。
上流階級が人間として優れているといったわけでは全くなく、ほかのヨーロッパの国々と違い、革命や土地改革が起きなかったので、イギリス王室や貴族が、どこかの時点で、ひとびとから奪い取った土地をいまだに所有していて、そこから莫大な利益をえ続けていること、奴隷制や植民地などの帝国主義を必要とする資本主義で大きくもうけたことなどが、経済的な裕福さと階級を保つことにつながっているだけです。
イギリス国王のチャールズさんの弟は、多くの少女への性加害やトラフィッキングにも関わったとされ、エプスタイン・ファイルにも何度も登場していますが、勇気のある被害者からの証言によれば、王室の居住場所でも加害は行われ、イギリス軍用地が少女たちをトラフィッキングする飛行機の発着に使われたことも判明していて、王室は、これらを知っていた可能性が高いことも指摘されています。
エプスタイン・ファイルには、イギリス王室だけでなく、ほかのヨーロッパの国々の王室、湾岸諸国の王家のひとびと、西側を中心とする政治家やアカデミックなどが含まれていて、大多数が上流・中上流階級の白人男性であることが分かっていて、階級と人間性は全く関係ないことは、明らかです。
日本で「階級」が分かりにくいのは、第二次世界大戦後、完全降伏をもって、アメリカ主導の土地改革や、カルテルの解散などもあり、経済の急速な発展もあったことで、誰もが中流階級になったかのような錯覚をもたされたせいかもしれません。
でも、数値をみれば、多くの女性は非正規で低い賃金であり、多くの男性の雇用も不安定になってきているのは、明らかです。
また、親や祖父母の経済的・社会的地位が、子供の将来に大きく影響することも、明らかで、これは、ほかのいわゆる先進国でも共通していることです。
この「階級」という視点から考えると、男性は、多くの女性よりも特権があったとしても、資本階級から抑圧を受けている(低い賃金や劣悪な働く環境など)という点では同じで、お互いの闘うべき共通の敵は、「資本家」や「職場のボス」などの抑圧を自分たちに行っているひとびとです。
資本家などの地位にいるひとびとは、自分たちへの正当な抵抗が起こることを恐れ(労働者階級は圧倒的に人数も多く、実際に社会に必要なものやサーヴィスを生み出しているのは労働者たちで、彼ら・彼女らが働くことを拒否すれば、資本家も、その仕組ー資本主義ーも崩壊するから)、労働者階級のひとびとの間にある違いを利用し、分断させ、お互いを争わせ、自分たちに注意が向かないように仕向けます。
小さなスケールでいえば、強欲な経営者が劣悪な環境・低い賃金でひとびとを抑圧しているけれど、同じ仕事でも女性をずっと安い賃金で使い、男性には賃金を少し高くし、キャリアを上昇させる機会も多く与えることをあからさまに行えば、男性と女性の間での分断が深くなり、お互いを争わさせることも可能です。
そうなれば、強欲な経営者に対して、誰もが正当でフェアな条件で働くことを全員が求めて動く可能性はゼロに近くなり、全員をさらに悪い環境で働かさせることを可能にするかもしれません。
私たちが、「すべての抑圧に対して闘う」ことが目的だと認識してれば、仲間内での分裂や分断は、資本家などの思うツボで、仲間を大事にすることが大切だと分かります。
そうすると、労働者階級内で、女性や心身障碍者への差別的な扱いや発言も大きく減る可能性があります。
「ほかの人々に起こっている抑圧は自分への抑圧でもあり、自分への抑圧もほかのひとびとと共有されているもの」と認識していれば、労働者階級は、一致団結して闘い、貧困や失業、抑圧的な行動(立場のより弱い人への抑圧的な行動ー女性への差別や暴力、身障者などへの暴力など)を止める、最小限にすることも可能です。
同時に、これらを起こしている資本主義という土台を壊すことも大切です。
この帝国主義を必要とする資本主義は500年近く続いていて、自然やひとびとを破壊し続けていますが、人類の歴史では短い間で、これが人間によって引き起こされたように、人間ー私たちーによって、別の仕組に変えることも十分可能です。
また、家父長制も、資本主義というヒエラルキーが必要なシステムによって、お互いに強化・保持していることもあり、資本主義が崩壊すれば、家父長制も弱体化することは明らかです。
弱い立場におかれているひとびとほど、この仕組みを理解することは重要です。
弱い立場にいるのは、自然なことでもなければ、個人のせいでもありません。
資本主義の構造上、ヒエラルキーをつくり、多くのひとびとを抑圧・搾取して、利益をトップに吸い上げ続けなければ、この仕組みが崩壊するからです。
このトップにいる階層のひとびとは、自分たちに都合のいい仕組みを永久に続けたいので、お金と権力がトップにさらに集中し、大多数のひとびとの力を弱め、抵抗できない、抵抗することを考えることすら難しい状況に追い込みます。
でも、その仕組みも人為的につくられたものであり、私たち大多数の労働者階級(必ずしも賃金労働をしているわけではなく、賃金労働をしているひとびとのケアや、社会に不可欠な子供・老人のケアを行うひとびとも含む)がお互いのために、仲間として闘えば、この仕組みを壊して、ひとびとに必要なもの(安全な水、無償か格安の快適に住める家、無償の教育・病院・福祉・インターネットやガス、電気の無償など)を生みだし、ひとびとの、にんげんとしての発展(自分の得意・好きなことをのばして、コミュニティーで役立つことをして、そのひとの可能性を最大限にいかす、病気やけががあってもそれをサポートする仕組みが十分にあり、その人の可能性が最大限に引き出された人生が可能など)に注力した社会をつくることも、十分に可能です。
【参考】
Kollontai, Zetkin, and Luxemburg: Marxists and the emancipation of women
https://www.marxist.ca/article/kollontai-zetkin-and-luxemburg-marxists-and-the-emancipation-of-women
Hillary Clinton’s Imperial Feminism
https://www.thecairoreview.com/essays/hillary-clintons-imperial-feminism/
Marxist Feminism: Class Struggle, Capitalism, and Gender
https://gender.study/issues-of-gender-and-development/marxist-feminism-class-struggle-gender/