ヴェネズエラ地震の背後にあるものと、希望

Yoko Marta
05.08.26 09:48 AM - Comment(s)

ヴェネズエラ地震の背後にあるものと、希望

ヴェネズエラでは、先月の終わり(2026年6月24日)に、マグニチュード7.2の地震が起こった39秒後に、マグニチュード7.5の地震が起こりました。
地震の多い日本では、地震の怖さや被害の深刻さを身体的・直感的に感じることができ、心を痛めているひとたち、何が起こっているのかを注意して追っているひとたちも多いのではないかと思います。

The UK(イギリス・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの連合4か国)では、幸いなことに地震はとても稀なので、「地震」と聞いても、全く想像がつかない人々が大半です。
ヨーロッパの中でも、イタリア南部など地震がよく起こり、かつ被害が深刻になる傾向が強い場所もあります。
被害が深刻になる傾向が強いのは、地震の震源地や規模というよりは、ほかの社会的・政治的・経済的なことが影響しているようです。
イタリア南部は北部と比べるとずっと貧しい地域で、犯罪組織が建設業などを牛耳っていることも多く、法律的な基準を満たさない建築物が多く存在する(儲けを大きくするために、海水を多く混ぜたコンクリート使用、建築基準を満たさない場所への建築など)が、地震が起こるたびに取りざたされます。
また、貧しい地域であることで、崩れそうな建物や、橋や道路などをメンテナンスを担当する地方自治体の力も限られ、今すぐに危ない状態になっているものはなんとか手をつけても、残りは後回しになり、そういったメインテナンスが後回しになったインフラストラクチャーが、日本だと大きな被害には至らないレヴェルの地震で、崩壊し、多くの死者や被害が出ることになります。

私自身、1995年の阪神・淡路大震災が起こったときには、大学の卒論を書いている最中で、200キロほど離れた地域に住んでいたにも関わらず、それまでに経験したことのない揺れを経験して、驚きました。
同年に就職したときに、神戸出身、地震当時に神戸大学に在学していた同僚たちにあいましたが、彼ら・彼女たちがいっていた、「貧しい地域の家々は軒並みに倒れて火災が起き、かなり高級な地域は、もちこたえた家が多くて、弱い者いじめの地震」と言っていたのが、今も心に残っています。
彼ら・彼女たちから、友人が亡くなったこと、自分の実家が傾いて住むことが難しくなったこと、借りていたアパートメントが倒壊して、その下からなんとか這い出して助かった話もよく覚えています。
同時に、地震のことを聞かれて、なんとか話そうとしても、どうしても言葉が出せなかった同僚のことも、とてもよく覚えています。

日本で育っていれば、地震・地震への対応が、純粋に「自然」災害とくくれるものでないのは、感覚的に、なんとなく伝わるのでは、と思います。

先述したように、もともと経済・社会が弱体化させられている場所で地震が起こると、そうでない場所と比べると、被害は深刻化し、死亡者や負傷者の数も増え、かつ、地震への対応(救助・食料・水の配布や避難場所の提供・瓦礫を片づけて家や病院、学校。水施設などの再建など)にも大きな影響が出ることが避けられません。

ヴェネズエラの地震で、西側主流メディアが絶対に語らないのは、ヴェネズエラがいまだに1000以上の経済制裁を受けていて、かつアメリカやThe UKなどにある凍結資産の返却も拒否され続けていることです。
その上に、外貨のほとんどを石油輸出に頼っている経済であるにも関わらず、アメリカ政府が今年1月にヴェネズエラに違法侵略・違法攻撃を行い、100人以上のひとびとを殺したあと、マドゥロ大統領と大統領夫人を違法誘拐し、ヴェネズエラ政府にプレッシャーをかけ、石油のコントロールを握ることに成功しています。

ヴェネズエラ石油は、どこに売るかもアメリカ政府・アメリカ企業によってコントロールされ、売上金はアメリカ財務省が運営する口座へと入り、アメリカ政府の許可なしで、ヴェネズエラ石油の売上金をヴェネズエラ政府が引き出すことはできません。
ヴェネズエラ政府は、マドゥロ大統領誘拐までは、イスラエルとの国交断絶を行い、ヴェネズエラ石油がイスラエルにわたることは考えられませんでしたが、アメリカ政府の意向で、イスラエルへヴェネズエラ石油が輸送されたとみられています。
また、上記のアメリカ財務省が運営する口座の一つは、カタールにあり、ヴェネズエラ政府にとっては、カタール政府との関係性をよく保つことも必要です。
ヴェネズエラが経済制裁に苦しんでいる間、イラン政府は長年にわたって、大量に食料を送るなど協力関係を続けてきましたが、アメリカ政府による違法なイラン攻撃について、ヴェネズエラ政府が沈黙しているのは、カタール政府・アメリカ政府との関係性を悪くしないためだと思われています。

アメリカ政府による独占的な石油コントロールについては、イラク政府に対しても同様のことが行われています。
2003年にアメリカ政府とThe UK政府が中心となり違法侵略・違法占領を行ったあと、現在にいたるまで、イラク石油の売り上げはアメリカ政府によって完全コントロールされていて、何にどれだけの金額を使うのかをアメリカ政府に報告し、それが許可されないと、イラク政府にはたった一ドルすら渡りません。
たとえ、イラク国民に必要な浄水施設の建設やメインテナンスでも、アメリカ政府がNoを示せば、建設は不可能だし、その建設にアメリカ企業が独占的にとても高い価格で工事を行うことに合意したときだけ、イラク石油の売上金をリリースする、と言われれば、そこに選択肢はありません。
ここ数か月でも、イラクのひとびとと政府が望んだ首相候補はアメリカ政府が気に入らず、その首相を選択した場合は、石油売上金をイラク政府に渡すことを完全に止める・さらなる経済制裁を課すとして政治介入しました。
イラク政府は、アメリカの気に入る首相を選択せざるをえませんでした。
アメリカの気に入る首相とは、アメリカ政府・アメリカ企業の言いなりに、イラクの豊かな資源を彼らに自由に搾取させるひとで、それはイラク国民の大多数が望むこととは反対です。
イラク政府の国家収入の大部分は石油売上金で、それが止められれば、イラクのひとびとは、飢餓状態に陥ることも十分に考えられます。
実際、イラクの石油を奪うことを狙い続けていたアメリカと西側政府は、違法侵略・占領を行う10年以上前から、イラク政府を弱体化させるために、(違法)経済制裁をイラクに対して行いました。
1990年から2003年の間だけで、経済制裁が原因で、5歳以下の子供たちが50万人死んだことが判明しています。
イラクは、西アジア地域の中でも豊かな国で、高等教育(大学)などを含む教育の無料化、医療の無料化などを行っていて、国民全体の識字率・教育も高く、乳児の死亡率なども低い国でしたが、この経済制裁では、食料不足・栄養不足(輸入できない)、多くの医薬品・医療器具・薬などが輸入できなくなり、飲み水の不足も起こり、多くの市民と子どもたちが死んだだけでなく、栄養不足が長年続いた子どもたちは、その後の成長にも大きな影を落とし、「失われた世代」だとされています。
アメリカで、亡くなった後も賞賛され続けているアメリカ人女性政治家のマデレーン・オルブライトさんは、アメリカの経済制裁によって、多くのイラクの子どもたちと市民が死んだ(間接的にアメリカが殺した)ことについて聞かれ、「この経済制裁は正しい政策で、多くの(イラクの)子どもたちが死んだことは、(アメリカ国民にとって)価値のあることだった」という内容を答えています。
イラク政府にとって、アメリカ政府がイラクのひとびとの命をゼロ以下と思っていて、平気でイラクのひとびとを長期にわたって飢餓に陥れる政策を行うことは過去の事例からも明らかなので、アメリカ政府の命令を拒否することは、ほぼ不可能です。
アメリカ政府は、多くのグローバル・サウスの国々の、国家の主権を完全に踏みにじり続けています。

アメリカ政府によるマドゥロ大統領の違法誘拐が起こるまでは、長年の経済制裁により、海外取引に必要なSWIFT(スウィフト/国際銀行間通信協会)の国際決済からはじきだされていたこと、2019年あたりから、ヴェネズエラ石油を買うことを禁止する制裁も加わり、困難を極めていたものの、近隣の国々や、イラン・中国(どちらも反帝国主義の立場をとる)、ロシアなどとの協力・交易を行い、国を運営するのが不可能とも思える状態ながら、貧困率を大きく下げ、貧しい人々にも住む場所が手に入るようにし、識字率の大きな向上、乳児の死亡率の低下などに成功しました。
多くのグローバル・サウスの国々は、長い間の帝国主義下(植民地主義は、帝国主義から派生したもの)で苦しみながらも、抵抗を続け、多大な犠牲を払って植民地宗主国を追い出して政治的に独立した後も、西側からの経済的なコントロールが続き、自国の発展を行うことを不可能にさせられましたが、ヴェネズエラは、経済制裁などの苦難を与えられながらも、この西側の経済的なコントロール(※)を拒否し、主権をもった資源のコントロール(主に石油)を行い続け、その売上金を、国民のひととしての発展(教育や病院治療などの無料化と質の向上、必要な食料やガソリンなどへの大きな政府補助、貧困をなくすこと、貧しくても家をもつことができるサポートなど)のために使いました。
後述しますが、ここには、「コミューン」とよばれる、普通のひとびとが集まって、自分たちの地域をどう運営するかを決める(政府はそれをサポートし、資金を提供)という仕組みも根付かせました。

(※西側のコントロール/始まり)
国際銀行・国際通貨基金は、元植民地宗主国が圧倒的な決定権をもつ機関で、元植民地国が独立を果たした後も、これらの国々の豊富な資源・地勢的に重要な地域をコントロールし、これらの国々の豊富な労働力を安く抑え続けるために、ネオ・リベラル的な政策(教育や病院・福祉・道路や橋などのインフラストラクチャーへの国家予算をゼロ近くに削り、かつ国営化をやめさせ、西側政府・西側企業が自由にこれらの国々の豊かな資源を搾取できるようにする)を取ることと引き換えに、利率がとても高い借金をかかえさせました。
元植民地国は、豊富な資源をもっていても、政治的な独立後は、元植民地宗主国が起こす度重なる軍事クーデターや、政治・経済介入などによる市民戦争など、経済的な独立を行うことはほぼ不可能な状態をつくられ、国民たちが飢えることを選択するか、先述するネオリベラル政策と引き換えにとても高い利率の借金を抱えるかの二択しかありませんでした。
元の借金額を支払い終わった数十年後もいまだに利息分を払い続け、国家予算の3割以上がこの借金返済にあてられ、国民はどんどん貧しくなり、これらの西側政府と西側企業と共謀するごく一部のエリートだけがとんでもなく富裕になるというのも、よくあるパターンです。
西側諸国は、「非白人は自分たちの資源や経済をコントロールができない/貧しいのは、彼らのせい」と主張しますが、これは西側諸国がもともと強い立場にあったこと・圧倒的な軍事力を利用して、西側が常に勝つように、国際的な経済・政治・社会・司法を不正に操作しているからです。
リビアやイラク、シリアのように、これらの西側支配を拒否していた国々(反帝国主義の国々)は、次々に経済制裁&西側の違法侵略攻撃・違法占領により、国の主権を失い、豊かな資源は西側政府と西側企業によって乗っ取られ、豊かな生活や文化を享受していた多くの市民たちは、貧困と社会の混乱へと突き落とされました。
多くは、近隣の国々で難民となり、2割程度が、西側諸国へと向かいました。
西側諸国では、政府への正当な批判を避けるため、難民・移民への憎悪を煽っていますが、難民の多くは、西側諸国が違法侵略・違法占領・違法経済制裁を行った/行っている国々の出身です。
現在も、なんとか帝国主義を必要とする西側の資本主義へと組み入れられることを拒否し続けているのは、キューバ・イラン・ヴェネズエラ・中国ぐらいです。
(※西側のコントロール/終わり)

先述したように、ヴェネズエラ政府は、違法経済制裁などを回避するために、グローバル・サウス間での協力を強めました。
特に中国との間では、多くの開発協力計画を結び、家や工場、太陽光発電、橋などのインフラストラクチャーの開発を中国が担い、その対価としてヴェネズエラ石油を中国が受け取る、という、長期にわたる物々交換のような仕組をつくりあげました。
これでは、アメリカも制裁しようがありません。
医療に関しては、長年、優れたキューバの医師団から助けられています。
キューバは、アメリカ・西側政府による厳しい経済制裁が60年以上続く国ですが、高等教育を含めた教育はすべて無料、病院治療も無料で、約9割近くのひとびとが家を所有していて、医師の数がとても多く、優れた医師が多いことでも知られています。
キューバでは、厳しい経済制裁で国際取引がほぼ不可能なため、優れたキューバ人医師団を世界中に派遣して、貧しい国々には無料で、ある程度裕福な国々からは適切な金額がキューバ政府に支払われるというプログラムを、長年続けています。
アフリカ大陸でエボラが伝染しはじめたときも、西側諸国や西側機関が何もしない間、キューバの医師団が一番にかけつけ、現地のひとびとと協力して患者を救いました。
コロナのときも、ヨーロッパ大陸では最初に多くの感染者が出たイタリアに、まっさきに医師団を派遣し、患者を助けること・感染者を増やさないことに大きく貢献しました。
アメリカは、現在、キューバへの経済制裁・包囲をさらに強め、キューバに石油を運び込む船を拿捕することを続け(当然、国際法でも違法)、食料を配布するトラックや救急車のガソリンも不足し、停電で病院の人工呼吸器がとまることもあり、医療の質も量も、アメリカよりもずっと高いキューバで、乳児の死亡率、癌患者(特に子ども)の死亡率が、はねあがっています。
アメリカ政府は、多くの国々を脅し、キューバの医師団プログラムを停止するよう宣告し、多くの国々が従わざるをえませんでした。
特にグローバル・サウスでは、多くのひとびとが医療へのアクセスを失います。
(これを断れば、アメリカのエイド・プログラムや、エイズ用の治療薬を即時停止する等ー薬については、アメリカはパテントなどをとても長くし、ほかの国々が薬をつくる技術はあっても、自分たちで生産できないような独占的な仕組をつくっているーアメリカ企業には儲けが多くでるけれど、人類全体にはとても悪い影響)

キューバの政策のせいではなく、アメリカ政府がキューバの人々、グローバル・サウスのひとびとを殺していることは、明らかです。

それでも、アメリカ政府は、キューバ政府の社会主義的な政策が引き起こしていることだとし、ほかの西側政府もそれに追従するか、アメリカ政府の明らかな違法行為、無法状態を見てみないふりを続けています。

ヴェネズエラでも、マドゥロ大統領誘拐の数か月前から、ヴェネズエラ海域の封鎖がはじまり、アメリカ海軍の大きな軍艦が配置され、中国へのオイル・タンカーなどがアメリカ軍によって違法に拿捕されることが続きました。
これは、当然ながら、完全に国際法違反で、海賊のような無法行為ですが、西側諸国は、中国の経済力が弱まることを望んでいることと、自分たちには被害がないので、アメリカ政府に追従しています。

ちなみに、この石油タンカーの違法拿捕は、アメリカ政府だけでなく、The UK政府と欧州連合も行っていて、最近、ロシアの石油タンカーを、国際法を無視して拿捕しました。
この経緯は、とても狡猾です。
世界中の国々が行っている長年の慣習で、船の国籍を税金がないか安い場所で登録するのですが、この際、ロシアはカメルーン国籍の船で石油を運んでいたところ、The UK政府と欧州連合は、カメルーンにプレッシャーをかけ(いう通りにしなければ開発援助を止めると脅した)、船の航行中にカメルーン国籍から登録をはずし、国籍のない「ゴースト・フリート」として拿捕しました。
The UKは、ロシア船の拿捕を誇り高く報道しましたが、海賊行為であることは明らかです。
意図的に、国籍のない「ゴースト・フリート」に仕立てたのは、The UK政府と欧州連合だし、たとえ、「ゴースト・フリート」だったとしても、船に乗り込んで監査を行うことはできますが、拿捕することはどの法律でも許されていません。
The UK政府は、過去にも何度かイランの石油タンカーを海賊行為で拿捕していますが、そのたびに、イラン政府はThe UK政府の石油タンカーを拿捕し、引き換え条件として、イランの石油タンカーをリリースさせることに成功しています。
どの国が、無法国家なのかは、実際に何が起こっているか・歴史をみて、考える必要があります。

違法な石油タンカーの拿捕だけでなく、ヴェネズエラ周辺では、漁師の船などに対して、麻薬を運んでいるという名目で、全く証拠のないまま、多くの船を爆撃し、2026年5月時点で、すでに200人以上が殺されています。
これらは、すべて小さな漁船で、アメリカにドラッグを運び込むことは物理的に不可能であり、かつ、たとえ麻薬を運んでいる証拠があったとしても、爆撃して殺すことは完全に違法で、証拠が確認できたら、逮捕を行い、司法裁判所で適切な刑罰を受けるプロセスへと進むだけです。
中には、最初の爆撃後に生き残ったひとが船にしがみついているところが確認されたにも関わらず、アメリカの戦争省長官のヘグセスが二度目の爆撃を行う殺人指令を行ったことが映像に残されていて、これは、人道に対する犯罪としてとても重い罪となります。
既に、これらの漁船に乗っていて殺された漁師の家族たちが、アメリカ政府に対して裁判を起こしています。
ちなみに、このアメリカ戦争省長官のヘグセスは、インド政府に招かれて、海軍パレードに参加し、イランへと戻る途中だったイラン海軍(パレード参加の必須条件として、完全非武装であり、海軍の音楽隊を含んでいた)をスリランカ沖で急襲し、ほとんどの乗務員を殺しました。
それだけでも深刻な犯罪ですが、急襲で海に投げ出された乗務員たちのうち、まだ生きていたひとたちを救助しなかったのも、大きな犯罪です。
スリランカ政府が救助を行い、136人の乗務員のうち、約10人程度が助かったとみられています。
ヘグセスは、この人道に完全に違反した卑怯な攻撃について、虐殺宣言ともとれるような発言を自慢げに行っています。
もし、ロシアや中国が同じことを行ったとしたら、西側政府が速攻で批判声明・経済制裁などを行うのは確実ですが、このアメリカ政府の悪魔的な言動については、追従するか沈黙(=その行為を容認している)のどちらかです。
国際法は、グローバル・サウスには適用され、西側諸国(グローバル・ノース)には適用されない、というダブル・スタンダードは、誰の目にも明らかです。

経済制裁は、爆弾を落とされるよりも多くの死者を出すことでも知られています。
アメリカ政府と欧州連合による経済制裁では、1970年代から現在まで、約3800万人の死者(間接的な殺人)が出たことが分かっています。
ヴェネズエラに限っていえば、2017年から2018年のたった1年間で、4万人が経済制裁が原因で死んだと見られています。
経済制裁は、医薬品や食料、車や車の部品、スチールやガソリン、石油などを精製する薬品など、ありとあらゆる市民の生死に関わることに影響し、政府ではなく、市民たち、特に子どもたちと女性に大きな悪影響があることで知られています。
輸入や輸出に大きな制限があるだけでなく、経済恐慌やハイパー・インフレーション(鶏肉などの日常に食べるものの価格が数か月で百倍近くなることも)を引き起こします。
これは、その国の経済政策でどうにか回避できるレヴェルではなく、経済制裁は、こういった深刻な経済問題を意図的に引き起こし、アメリカや西側諸国の気に入らない政府を国の内部から崩壊させることを目的としています。
アメリカの高官たちは、恥ずかしげもなく、それを堂々と発言しています。
(例/アメリカ合衆国財務省長官のスコット・ベッセンは、イランでの2026年1月の暴動の原因となったインフレーションは、イラン国内での暴動を引き起こし政権転覆をイラン国民に行わせるために、アメリカ政府がイランの為替市場を操作して引き起こしたことを、公的な場で自慢げに明言しています)
国連のレポートでも、経済制裁は、Collective Punishment(コレクティヴ・パニッシュメント/集団懲罰)にあたり、アメリカ政府が批准しているジュネーヴ条約・ハーグ条約に違反し、かつ国際法やアメリカ国内法にも違反していることが指摘されています。

ヴェネズエラは長年、上記のような違法な経済制裁にさらされ、瓦礫を取り除く重機を輸入することもほぼ不可能で、とても古い型の重機があっても、部品を輸入することができないので、そもそも、素早く瓦礫を取り除いてひとびとを救助したり、救急車が通れるような道を作ることすら、とても難しくなります。
違法経済制裁のため、病院に必要な機器、医薬品の多くも輸入することが難しい状況が、長年にわたって続いています。
今回のヴェネズエラでの世界的・歴史的にみても、とても大きな地震は、長年のアメリカと西側政府による経済制裁により、長年にわたって、医療やインフラストラクチャーが弱体化させられている状況で起こったことで、それをヴェネズエラ政府が扱っていることは、よく覚えておく必要があります。
日本のように経済制裁もなく、自国の発展が可能だった国ですら、地震を扱うことはとても難しいですが、ヴェネズエラのような状態だと、どんなに能力があり国民たちのことを思う政府であっても、このように大きな地震を扱うのはとても困難です。

ちなみに、ヴェネズエラに対する経済制裁は、ノーベル平和賞の受賞者であるオバマ元大統領の時代に深刻化し、それが原因で、生き残ることすら難しくなったヴェネズエラのひとびと、特に医師やエンジニアなどが西側に大量移民を行いました。
これらのプロフェッショナルが一気にいなくなれば、病院やインフラストラクチャーが機能することは、ますます難しくなります。
オバマ元大統領は、戦争犯罪にあたるドローンでの暗殺も世界各地で行いました。
オバマ元大統領は弁護士で、議会を通すことが必要な、通常の戦争を起こすことを避けるために(反対される可能性が高いから)、ドローンの多用を行ったとみられています。
これは、新しい大量殺人の道具として、さらに発展し、ガザやレバノンでも子どもや女性を多く含む市民への殺人へと大量使用されています。
このきっかけをつくったのは、ノーベル平和賞を受賞したオバマ元大統領です。

トランプ大統領がいなくなれば、アメリカ政府は「再び」英雄的な国となるとする批評家たちもたくさんいますが、トランプ大統領は、今までのアメリカ的なやりかたを踏襲しているだけです。
今までの「民主主義をひろめるため」「女性の人権のため」という、みせかけのきれいごとを省き、「石油、鉱物、重要な航路を奪い取るため」と本音を言っているだけです。
アメリカ防衛・軍隊を担当していた元高官たちが、「アメリカこそがテロリスト国家/海賊国家」という発言を行っているのには、正当な根拠があります。
アメリカ合衆国の250年という短い間の歴史をみても、他国・他地域に対しての侵略・戦争・占領を繰り返し、戦争を行っていない時期は20年程度であることからも明らかです。

アメリカ政府や西側政府、西側主流メディアは、ヴェネズエラ政府に対して、ナラティヴ戦争を繰り広げていることにも注意しておく必要があります。

西側(政府・主流メディア)は、ヴェネズエラの経済状況について、ヴェネズエラ政府の社会主義的な政策が引き起こしたことであり、社会主義的な政策が機能しないことの典型的な例だとしますが、上記のように、アメリカ政府が中心となって行った経済制裁が原因なのは、明らかです。
また、よく出回っている嘘は、チャベス大統領時代に行った、貧しい人々向けに大量の住宅を中国やほかのグローバル・サウスの国々の協力で建設(「尊厳をもった家」として、安上がりの家ではなくきちんと長年にわたって住める家)しましたが、これらの家々だけが崩壊している、というものですが、現地のジャーナリストたちは、完全に否定しています。
倒壊・深刻な被害を受けた建物は、地震のFault line(フォルト・ライン/断層線)に沿っていて、逆に、貧しい人々向けの家が作られたのはそう昔ではなく、地震によく耐えて残った、とするジャーナリストたちもいます。
また、ヴェネズエラ政府は何もしていない、ヴェネズエラ政府は救援トラックをブロックしている、などが、主流メディアでは本当のことかのように報道されています。
救援トラックやヴォランティアーたちが、なんのコーディネートもなく大量にやってくると、緊急の救急車が通れなくなったり、瓦礫の下で助けを呼んでいる人たちの声がかき消されたりして、専門家たちですら、働くことが難しくなります。
とくに地震のあと、ひとびとが瓦礫の下で生き残れる時間は限られていて、その限られた時間内で、専門家がひとびとを見つけ出す必要があります。
ヴェネズエラ政府は、政府がコーディネートした機関や団体・グループが優先されるよう、ランダムにやってくる人々に少しの自粛を要請しましたが、それは、救援をブロックしているのではなく、逆に、救援を行うためです。

これらの主要メディアの嘘や紛らわしい報道は、ヴェネズエラの国内で暴動などを引き起こし、内部崩壊させることが目的す。
これは、アメリカや西側政府のいつものパターンで、それを見抜くことは大切です。
内部崩壊すれば、石油だけでなく、鉱物などのほかの資源を独占することも、西側政府・西側企業にとって、とても簡単になります。
また、政府が機能しなくなる、あるいはアメリカや西側の選んだ大統領をすえつければ、環境を守る法律、労働法なども取っ払って、ひとびとを奴隷のように使い、利益を増大させるために自然破壊・公害を起こしても、なんの責任も取らないことが可能になります。

現在、アメリカ政府は、300億ドルのヴェネズエラの資産を凍結しているだけでなく、マドゥロ大統領を誘拐した後、ヴェネズエラ石油を売ったお金のうち、54億4千9百ドルを隠匿し、ヴェネズエラ政府に渡したのは本当にわずかです。
The UKは、20億ドルに相当するヴェネズエラのゴールドを凍結し、ヴェネズエラ政府に返却することを拒否し続けています。
ヴェネズエラは、The UK政府に対して、コロナでひとびとが苦しんでいる間、このゴールドをヴェネズエラ政府に返すよう要求しましたが、The UK政府は断り、死ななくてすむはずだった人々の多くが死にました。
現在も、地震に対応するために、ロドリゲス暫定大統領がThe UK政府に対して返還を求めましたが、今回も拒否されました。
凍結されている資産は、ヴェネズエラのひとびと・政府に属しているもので、これは西政府が彼らから盗んでいることと同じです。

今回の地震は、規模も大きく、被害も大きくなったにも関わらず、アメリカ政府は、ヴェネズエラの凍結資産や、ヴェネズエラ石油の売上金をヴェネズエラ政府に渡すことはなく、「地震へのエイド」として、1億5千ドルを確約しました。

普通に考えれば分かると思いますが、ヴェネズエラに必要なのは、少額のエイドではなく、凍結資産(=西側政府が盗んだヴェネズエラの資産)の返却、違法な経済制裁すべての解除、自国資源のコントロールをヴェネズエラ政府に戻すこと、マドゥロ大統領と大統領夫人を違法逮捕から解放しヴェネズエラに帰国させることです。
これらは、どの国とも同等の、主権をもった国として、当然の権利です。
本来なら、要求する必要すらないことで、白昼堂々と盗みを行っている西側政府が違法行為をやめ、これらの違法行為が引き起こした被害について責任を取る(ひとびとの貴重な命は戻らないけれど、少なくとも賠償金を払うなど)ことが求められます。
国際機関、国際司法、国際司法機関は、西側のために、西側によってつくられたものではあるものの、ルールがどの国にも同じように適用されるのであれば、正義を行うためのツールの一つとなります。
ただ、国際司法機関は、実行機関(警察など)を持っていないため、世界中のすべての政府が正義が行われるよう、行動をとる必要があります。

アメリカ政府や西側政府は、ヴェネズエラに対する長年の違法行為を反省するどころか、この深刻な地震に乗じて、ヴェネズエラを実質的に乗っ取ろうとしていることが危惧されています。
なぜなら、地震などの自然災害や、西側が引き起こした侵略などに乗じて、国を乗っ取ることが、何度も過去に起きているからです。
ヴェネズエラの近隣国、ハイチでは、2010年に大地震が起こりました。
アメリカ軍隊が大量に乗り込み、軍事的・政治的にハイチをキャプチャーし、アメリカ企業をはじめとして西側企業が搾取するために一気に入り込み、子ども・女性への性的搾取、コレラの大発生(発生源は国連平和維持活動員たちが住んでいた場所からのコレラ汚染水が、ハイチの川に流れ込み、そこから一気に広がった)が起こり、救助どころか、逆に死者を増やす結果となりました。
ハイチでは、ここ百年ぐらいの間に、アメリカによる軍事侵略・占領が4回あり、どれも、ハイチの普通のひとびとの生活や命をさらなる苦難へと追い込みました。
近年でも、ハイチ大統領を誘拐して、アメリカ政府の気に入る大統領を据え付けたりと、政治介入は全く止まっていません。
地震のあとの飢餓が起こったのにも、アメリカ政府や西側大きく関与しています。
クリントン元大統領時代(1993年~2001年)の間に、ネオ・リベラル的な経済政策が強制され、アメリカからの極端に安い米や作物などの大量ダンピングで、普通の農民のの多くが、それまでの伝統的な作物(米、コーヒー、レモンなど)を栽培しても売ることができず、農地を離れざるをえず、都会に近い場所で仕事もサポートもないまま取り残されました。
この農作物の大量ダンピングは、アメリカ農作物の新しい市場をつくりだすためで(アメリカで売れないものをダンピング)、アメリカには大きな儲けとなりますが、ハイチの人々には破壊をもたらすだけです。
また、国外作物に大きく頼るようになれば、さらに、自国の主権を保つことが難しくなります。
現在も、ハイチの国家主権は戻っていません。
これは、ハイチだけでなく、グローバル・サウスの多くの国々に起こった/起こっていることです。

現時点で、ヴェネズエラには既に、アメリカ軍隊の大量の軍人、イスラエル軍隊、シリアのホワイト・ヘルメット(イギリスの諜報機関MI6の指揮下にあると考えられている)が入り乱れています。
特に、イスラエル軍隊については、パレスチナ人への扱いを理由として、イスラエルとの国交断絶を17年続けていたので、現在のロドリゲス暫定大統領の国に対する裏切り、という強いことばを使うひとびともいますが、アメリカ政府からの脅しを受けていると見られています。
アメリカ海軍によるヴェネズエラ包囲はまだ続いていて、ヴェネズエラ国民を守るため(食料や医薬品、ガソリンなどの必要品を絶やさない)には、アメリカ政府の要求をかなり受け入れざるをえないことは明らかで、これ自体が、銃をつきつけられていることと同じです。
地震という不幸を利用して、通常だと不可能な乗っ取りを行うこともくろんでいると見られていますが、簡単にはそうならないだろうという希望もあります。

最初のほうに書いたように、ヴェネズエラには、民衆の間に根ざした「コミューン」の存在が強くあります。
マドゥロ大統領の誘拐前に、アメリカ軍による包囲・ヴェネズエラ侵略が間近に迫っていることに対して、マドゥロ大統領が自国を守るよう、民衆によびかけました。
800万人の民衆(軍隊などのプロフェッショナルに属さない人)が、武器をもって、国の主権(テリトリー)をアメリカから守るために立ち上がりました。
これは、国の人口の約25パーセントで、少ない人数ではありません。
アメリカや西側諸国が、地上戦にもちこめば、ヴェトナムのように数十年にわたるゲリラ戦になり、国土を守るために闘っている人たちに、帝国主義の西側諸国が勝てないのは明らかで、西側諸国の兵士にも大きな死者を出すことになります。
だからこそ、大統領の誘拐は行ったけれど、地上戦には持ち込まなかったとみられています。
コミューンの発想は、ボリヴァリアン革命からきていて、国民たちひとりひとりが、政治に直接関わり、方向性を決めていく、とても民主的なやり方です。
たとえ、アメリカ軍が圧倒的な軍事力をもって支配しようとしても、このコミューンを完全につぶすことは、ほぼ不可能か、とても難しいとみられています。
実際、マドゥロ大統領が誘拐され、アメリカ政府がヴェネズエラの主要資源のコントロールをある程度握った現在も、コミューンは健在で、ひとびとは普通に生活を続け、全国のコミューンでの会議や決定も、今まで通りに続き、政府もそれに必要な資金のサポートを行っています。
西側では、ヴェネズエラ政府を長年サポートしていても、今回のロドリゲス暫定大統領が、アメリカ政府に屈するようにみえる政策に対して批判をするひとも多いですが、ヴェネズエラのひとびとやジャーナリストによれば、現在の状況をみれば、アメリカとの徹底抗戦を行うことは意味を成さず(地上侵攻は行われず、アメリカ軍は去り占領は起こっていない)、ボリヴァリアン革命を生きていくために、一見、一歩下がったようにみえる戦術を取っていると見られています。
西側の快適な場所にいて、経済制裁や包囲を受けて苦しんでいる国々のひとを非難するのは簡単なことですが、革命はインスタントに直線で進むものではなく、ジグザグを描きながら、ときには数歩さがっても、この苦しい状況の中、革命を生かし続けていく道を選んでいるヴェネズエラの人々を応援するには、彼らを苦しめている原因の、違法経済制裁、盗んでいる資産をヴェネズエラ政府・ひとびとに返却することを、自国政府に強く求め続けることが、西側に住んでいる私たちにとっての最小限の義務です。

【参考】
Imperialism-Induced Fault Lines: The Venezuelan Earthquake - MR Online
https://mronline.org/2026/06/29/imperialism-induced-fault-lines-the-venezuelan-earthquake/

Episode 38 - Venezuela After Maduro w/ Cira Pascual Marquina and Chris Gilbert — Return to Bandung
https://www.returntobandung.com/episodes/venezuela-after-maduro

Venezuelan President Hugo Chavez's Speech to the UN - Venezuelanalysis
https://venezuelanalysis.com/analysis/6521/

A Great Leap into Reality: Venezuela Today
https://www.counterpunch.org/2026/06/04/a-great-leap-into-reality-venezuela-today/

Communal Consults and Venezuela’s Fight for the Future
https://www.counterpunch.org/2026/05/18/communal-consults-and-venezuelas-fight-for-the-future/

US and EU sanctions have killed 38 million people since 1970
https://www.aljazeera.com/opinions/2025/9/3/us-and-eu-sanctions-have-killed-38-million-people-since-1970

@manolo_realengo
https://x.com/manolo_realengo/status/2070550414328541656

Tactical retreats: Why Venezuela’s revolution still stands : Peoples Dispatch
https://peoplesdispatch.org/2026/03/03/tactical-retreats-why-venezuelas-revolution-still-stands/

Yoko Marta