ヨーロッパで働くー Job Description

Yoko Marta
06.04.21 10:00 AM - Comment(s)

ジョブディスクリプション (Job Description)

 ヨーロッパでのお仕事内容は、基本的にJob Descriptionの詳細と合致しています。お仕事に応募する際、求人する際は、内容をしっかりと検討する必要があります。雇用企業と雇用者との間で、仕事に対しての責任や職務が明確なため、透明性が高くフェアであるという利点があります。インタビューでも企業側とインタビューを受ける側が細かい部分までしっかりと質疑応答を行います。この「フェア (Fair、平等)」という概念はヨーロッパではとても重要ですが、日本の感覚の「平等、対等」とはかなり違う為、ヨーロピアン社員と日本人マネージメントとの軋轢・不信の原因となるケースをかなり見ました。これについては、後日。
 日本では、欧米は「ジョブ型の働き方」、日本で長年親しまれているのは「メンバー型」と定義していることが多いようですが、ヨーロッパとアメリカでは労働法、社会福祉の考え方は大きく違います。EU内では労働者の権利が比較的強く守られている為、アメリカのように突然多くの人が解雇ということは起こりにくくなっています。ある程度の人数の解雇が必要な場合は、企業の規模にもよりますが、社員の代表団と会社がきちんと話し合い、会社として解雇を避けるための最大限の努力は行ったのか、社内の別部署への移動は可能か、どうしても解雇が必要であればどういった条件で解雇される人々が選択され(年齢、性別、産休中等の理由で解雇するのは法律違反)、どういったスケジュールや手順でインタビューや解雇が起こり、どういった保障が提供されるのか(解雇時に数か月分の給料を上乗せ、次の仕事に向けてのトレーニングが必要な場合はその費用負担等)を決定します。国によって法律に違いはありますが、企業側はフェアに対応することを厳しく求められ、違反した場合はかなりのペナルティとなります。

  Job Descriptionに戻ると、アメリカもヨーロッパも、Job Descriptionの意図は、お互いの仕事に関する要望・必要性や認識をできる限りすり合わせて透明性を高め、お互いがベストな状態で働くことです。解雇しやすくするという意図はありません。Job Descriptionは変更されない、というわけではなく会社のビジネスの方向性が変わったり、働く人の要望やスキルアップ等で変更したり新業務を追加する場合もあります。その際には、通常給料交渉も行われます。明らかに今までより会社にとってクォリティーが高い仕事を行い、利益をもたらすのであれば、給料アップはフェアだし、また他の社員たちのやる気をあげるという点でも効果的でしょう。ジョブ型とはいうものの、エンジニアリング企業で購買として仕事を始めたものの、マネージャーに適性を見出されテクニカルセールスへと同じ社内で職種を変更したヨーロピアンの友人もいます。たまたま、仕事の能力、人の個性を見極めることができる心情の細やかさ(一人一人の部下のキャリアの行方に深い関心)、人の配置を変更できる権限を持っている、他部署との連携も深く交渉に強いといった力量のあるマネージャーに当たったともいえますが、こういった能力は今、多くのマネージャーに求められています。そういったマネージャーと働くのは、働く人たちのやる気だけでなく、幸福度もかなり高くすることができ、結果的に会社の為にもなるのではないでしょうか。

Yoko Marta