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ヨーロッパで働くー雇用形態

Yoko Marta
07.04.21 05:06 PM Comment(s)

パートタイムも通常は正規雇用

 日本でいう正規・非正規の雇用区分はヨーロッパでは非常に分かりにくい概念です。日本だと正規はフルタイムで正規雇用で働く人で、それ以外は非正規(パートタイムのこともあれば、フルタイムの場合もあり十数年にわたって同じ企業で働いている場合もあり)のようですが、雇用者の権利が他の西ヨーロッパと比べて弱いイギリスでさえ、パートタイム・フルタイムに関わらず通常は正規雇用です。
 例えば、私自身、イギリスで事務系の仕事をパートタイムで週20時間程度を数年していましたが、正規雇用であり、ホリデーあり、時給はフルタイムで働く場合と同じで、政府の年金スキームに従い、会社が私の年金に上乗せする支払いをしていました。基礎年金・失業保険等に関わる保障にも会社が大きな割合で負担していました。給料交渉や面談もフルタイムの人と同様でした。会社からのノートパソコン貸与等についても平等です。
例)
フルタイムは週35時間(月~金勤務)、ホリデーは20日 
週20時間働いた場合ː 
ホリデーː 11日 (週20時間勤務でフルタイムの57パーセント勤務。そのため、フルタイムのホリデー20日の57パーセントで11日)
給料:フルタイムでは働く人の時給を割り出し、それと同じ時給
National Insurance(基礎年金、失業、産休等の保障)ː 会社と雇用者で支払います。収入額によって異なりますが、通常は会社が大きな割合で負担
Work Place Pensions(職場を通しての年金)ː年収が10,000ポンド(日本円で150万円程度 2021年4月7日現在)を超える場合は、会社は自動的に雇用者をこのシステムに入れる義務があります。(2021年4月現在)最低限の基準として、会社は給料の3パーセントをこの年金基金に払い込み、雇用者は給料の5パーセントを払い込みます。会社によっては、雇用者が払い込む割合に応じて会社も支払う(例ː 雇用者が給料の10パーセントを支払い、会社も同じ金額を払い込む)という契約書を交わしている場合もあります。
※イギリスの場合、病院は基本的にすべて無料です。大きな手術で数か月入院(食事、着替、必要な薬等もすべて支給あり)しても無料だし、診察に行っても無料です。ただし、歯医者は有料。薬が必要な場合は、薬局で薬を出してもらう時に、薬代とサブスクリプション代(約9ポンド-1品目)を支払います。また、失業した場合は、歯医者も無料となり、薬代、電車の運賃の大幅な割引、大学等の教育コースの割引、住民税に当たるものの割引等、失業した人達を少しでも助ける仕組みとなっています。
  家庭の事情等で時間を減らして働く選択をする場合も、多くの人は最初から正社員で、働く時間や労働者の権利も保障されています。スーパーのキャッシャーやデパートの店員もパートタイム、フルタイムに関わらず、通常は正社員雇用です。正社員でないケースとしては、ゼロ時間契約(ファストフード店等で、就業日時が定められておらず、会社の必要性に応じて呼び出しを受け働く)や契約勤務(特定のプロジェクトに専門家として3か月のみ勤務等)、自営業(フリーランスで自分のビジネスと並行して他の企業でも不定期に働く等)等となりますが、ゼロ時間契約については非常に問題視されており、裁判で働く人側が勝訴したケースもあります。
  パンデミックやギグエコノミーへの台頭もあり、ウーバーの配達のような形態も増えていますが、日本と比べるとヨーロッパでは労働者の権利が比較的強く守られており(日本の場合は、一握りの正規雇用者のみヨーロッパの平均よりも強く雇用を守られており、残りの働く人口の多くは権利も少なく安定しない雇用状態に見受けられます)、生きていく上での基本的な部分が保障されているのは社会にとっても大事なことではないでしょうか。  

  

Yoko Marta