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ヨーロッパで働くーCollective Power

Yoko Marta
07.05.21 05:31 PM Comment(s)

Collective Power among Europeans and North Americans

 誰しもハッピーな職場を望んでいると思いますが、突然職場環境が多くの人々にとって悪い状況に変わることもあります。組織編成の変更等で、シニアマネージャーが他の部署からやってきて、不適切な言動を繰り返す場合も起こりえます。中小企業だと、人事担当が他の業務との掛け持ちで、人事システムがほぼ存在しない、機能していない場合もあります。また、不適切な言動が繰り返されることが黙認、或いは放置されているということは、その上のマネージメントが機能していない可能性も高くなります。このような状況の場合、ヨーロッパでは一般的に何が起こるでしょうか? 

 ヨーロピアンと北アメリカ(アメリカ、カナダ)あたりの同僚たちは、一致団結し、どうマネージメントにアプローチするかを相談、決定し、行動に移します。ここでは、同僚のうちの一人に大きく影響が出ていて、他の同僚たちは、直接的な影響を受けていなくてもみんなが自分たちの問題として協力します。なぜなら、この問題が自分に直接影響がないとしても、道義的に問題があるからです。間違ったことが起こっているのに、見てみないふりをするのは卑怯であり、間違ったことに加担している(complicit)と見なされます。ただ、個人の力は小さいと誰もが分かっているので、皆でCollectiveとして行動を起こします。その場合は、集団できているのでマネージメントとしても見過ごすことは難しく、全員を辞職に追い込むことは不可能だし、何らかの行動を起こす必要が出てきます。マネージメントは何らかの解決法を提示し、このグループと話し合います。個人的な経験としては、問題行動のあるマネージャーが辞職した場合もあれば、厳重注意を受けて言動が落ち着いた場合もありました。働く場所が安全である、ということは労働者の基本的な権利であり、それを提供するのは会社の義務です。ちなみに、イギリスでは解雇の場合は、Written Warning(書面での警告)が2回あり、その後に口頭での警告(合計3回の警告)で解雇が成立します。ただし、これらが不適切であるとして裁判等でアピールすることも可能です。

 翻って日本人同士の場合はどうでしょうか?「自分には関係ないから(自分には利益がないのになぜ協力する必要があるのか)」、「何があっても上司の言う通りにしないといけない。集団の輪を乱してはいけない。どんなに悪く扱われていても耐えていればいつかは報われる」という態度を多く見ました。そのせいで、ますますひどく扱われて、残業代も支払われず、最終的に就労ビザまで失った人も見ました。不当に扱われていることに黙って従っているのは、「自分のために立ち上がる」ことを放棄していることでもあります。必ずしも周囲が気づいているとも限りません。黙って耐えていると、状況はさらに悪化すると断言してよいと思います。まず会社の規則をよく読み込み、相談できる部署があれば相談しましょう。もし、そういった部署が存在しない、或いは信用できないように感じるのであれば、イギリスでは、ACAS或いはCitizen Adviceで職場の問題について法律的なアドバイスを無料で行っています。一人で抱え込まず、状況をしっかりと把握し、信頼できる相談機関に相談し、何ができるかを考え、冷静に行動しましょう。残念ながら、不適切な言動をする人々が自分の職場のマネージャーにならないよう、コントロールすることは社長でもない限りできません。私たちにできるのは、Collective Powerとして、職場での不適切な言動にきちんと行動を起こすことです。一人一人の力は小さくても、Collective Powerとなると良い方向に変えることができる可能性が大きくなり、不当解雇といった脅威からお互いを守ることにもなります。一人一人が少しずつの勇気を出して、ヨーロピアンや北アメリカの人々のように一致団結して不正に立ち向かえるようになれば、職場も社会ももっと良い場所に変わるのではないかと思いますし、それは十分可能であると思います。

Yoko Marta