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軍事主義と闘うことなしに、気候危機と闘うことはできない ⑤

前回までの記事は以下より。
   
気候危機をかたるとき、「Security/セキュリティー」というフレーミングは避けられません。
ここには、「Border security/国境セキュリティー」「Food security/食料セキュリティー」「Water security/水のセキュリティー」「Energy security/エネルギーのセキュリティー」といったものが含まれます。
ちなみに、日本語では「Security/セキュリティー」も「Safety/セーフティー」も同じ「安全」ということばに翻訳され、違いが見えなくなりますが、英語でのセキュリティーとセーフ...

18.12.24 04:57 PM - Comment(s)
軍事主義と闘うことなしに、気候危機と闘うことはできない ④

前回までの記事は以下より


気候危機と軍事主義の関係は見えてきても、それが日本に住んでいるひとびとと、どう関係あるのだろう、と思うかもしれません。
点と点をつないで考えることは重要です。
日本には、アメリカ軍の大きな軍事基地があり、近年、軍事費も増大しています。
イギリスを含むヨーロッパでも、軍事費は大きくなっており、それでなくても貧富の差が大きいイギリスでは、公共事業費がどんどん削られてきています。
公共事業に含まれるのは、ヘルスケア(病院やホスピス等)、教育、気候危機に備える資金(イギリスでも何度も洪水に見舞われる地域や海面上昇でコミュニティ―を別の地域に移動させざるを得ない場合も)といった、人...

12.12.24 05:29 PM - Comment(s)
軍事主義と闘うことなしに、気候危機と闘うことはできない ③

前々回①前回②からの続きです。

シリアで起こった2011年の民主化デモの背景についての、西側諸国での主流のナラティヴは、とても単純化されていて、意図的に人々の恐怖を引き起こすものです。
気候戦争の前触れ ー ほかの多くの地域でも同じことが起こり、(豊かで繁栄している自分たちの国に)多くの(自分たちが望まない)移民がおしかけてくる」です。
このアメリカや西側諸国がつかう「War(戦争)」ということばにはよく注意を払う必要があります。これは、存在しない脅威に対して、人々の恐怖をかりたて、軍事複合産業を拡大・儲けさせることが目的です。
アメリカは、ある特定の地域(中東やアフリカ、一部のアジア地...

10.12.24 02:02 PM - Comment(s)
軍事主義と闘うことなしに、気候危機と闘うことはできない ②

前回、戦争・紛争が引き起こす大きな温室効果ガス排出量について大まかに説明しましたが、今回は、戦争・紛争が引き起こす環境破壊、これらの戦争・紛争によってつくりだされる強制難民たち(住んでいる地域から強制的に移動せざるを得ない人々)をSecurity threat(セキュリティー・スレット/安全保障への脅威)としてフレーミングする現状が間違っていることと、なぜそういった状況がつくりだされているのかについて。
大事なのは、地球上のすべての人々の安全を第一に考えることです。

アフガニスタンでは、戦争経済の一環として、違法の木の伐採が起こりました。
1990年から2005年(アフガニスタン市民戦争/内戦)の間...

06.12.24 06:02 PM - Comment(s)

最近は、世界中で起こっている戦争・紛争のニュースに心を痛めている人もいるかもしれません。
戦争や紛争は、人々の命を奪うだけでなく、実は気候変動にも大きく影響していることを意識している人は少ないかもしれません。
中東のカタール政府が出資しているメディアAl Jazeera(アル・ジャジーラ)では、ヨーロッパやアメリカ中心の視点ではなく、地球上の大体数の人々が住んでいる地域からの視点を伝えてくれ、パレスチナや日本を含むアジアの情報も、それぞれの文化を尊重する視点となっているように感じます。
特にパレスチナの報道については、イギリスの国営放送BBCでも、イスラエル側よりの非常に偏った報道をしていることで、...

05.12.24 05:16 PM - Comment(s)
ファット・フォビアを製造して巨大な利益を得ているダイエット・ウェルネス・フィットネス業界の仕組(=資本主義の構造)に対して闘う

Kate Manne(ケイト・マン)さんは、Fat Phobia(ファット・フォビア)も家父長制のイデオロギーによる抑圧の一つで、人種差別、男尊女卑等、さまざまなSocial Justice(ソーシャル・ジャスティス/社会正義)と共通部分があるとしています。

家父長制や人種差別は、特定の誰かが(或いはグループ)が権力・資源・富を独占し続けるための社会構造や機関(司法、警察、政治・経済・教育等)をつくり、メディアも効果的に利用し、残りの人々は独占階級である人々よりすべてにおいて「下」、或いは人間以下として、彼らの力を奪い、搾取します。
家父長制だと、男尊女卑やミソジニー、セクシズムやファット・フォビ...

02.12.24 03:50 PM - Comment(s)
ミソジニーを押し返す

Kate Manne(ケイト・マン)さんの造語「Himpathy(HimとSympathyをあわせたもの)」についての、興味深いポッドキャストから。
このポッドキャストは、テック業界で働いていたSara Wachter-Boettcherさんがポッドキャスターで、サラさんのケイトさんに対する質問も話も興味深かったです。

最初に、ケイトさんがなぜ「Himpathy」という言葉を作ったのか、ということなのですが、基本は、誰もが何が起こっているのかを認識しやすくするためです。
何が起こっているのかが明確に見えないと、対応・抵抗ができないので、まず最初にみんなで気づこう、ということです。

ケイトさんが挙げてい...

02.12.24 03:47 PM - Comment(s)
ミソジニーな言動を押し返す

※ミソジニーは社会構造なので、ミソジニーな言動を行う人は男性の場合もあれば、女性の場合も

前回は、Sexism(セクシズム)の定義については、話さなかったので、そこから。

ケイトさんは、以下のように定義していました。

主に家父長制の規範や期待を自然なものとし、合理化する機能を果たす、信念や文化的なナラティヴやイデオロギーのさまざまな面を併せたセット
例)女性は、自然と/本質的に、masculine coded roles(マスキュリン・コーディット・ロールズ/男性の特質・本質に沿った男性特有の役割)である、リーダーシップや政治家や権威を持つ役割には向かない(できない)← もちろん、事実ではない

ここでい...

02.12.24 03:44 PM - Comment(s)
概念を知ることの大切さー現象を見抜いて団結して闘うことにつながる

Kate Manne(ケイト・マン)さんの著作は、一部は日本語にも翻訳されているので、聞いたことがある人はいるかもしれません。
私自身は、英語で書かれたものは英語で読むので、日本語翻訳では読まないのですが、あちこちで引用されている日本語翻訳の文章をみると、話が少しずれているかな、と思う時が多々あります。
これは、翻訳者の問題ではなく、英語と日本語は語学として大きく離れている上に、文化・社会も大きく違い、英語・英語が母国語文化にある概念が日本語には存在しない場合も多く、無理やりあてはめた日本語だと、著者が意図した内容とは違ってしまう、というのはあ...

20.11.24 09:05 PM - Comment(s)
正当な怒りを希望に変えて行動を起こす

前回のアメリカ人黒人作家・ジャーナリストのTa-nehisi Coats(タナハシ・コーツ)さんのポッドキャストからの話の続きとなります。

タナハシさんは、黒人アメリカ人としての経験についても書いていますが、タナハシさんの本(Between the world and me)は、アメリカのいくつかの州の学校で禁止となったそうです。
禁止となった本はたくさんあって、多くは黒人や有色人種の作家の本だそうです。
いくつか挙げられた理由は、「白人であることを、恥であるかのように感じて不快になるから/心地悪いから(黒人を奴隷にしていた歴史や、黒人隔離・黒人の殺人・リンチを長年行っていた過去を知りたく...

20.11.24 09:02 PM - Comment(s)

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